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投稿日:2025年11月27日

OEMアウターで起こる裏地のよれと静電気問題の防止策

はじめに:OEMアウターの品質課題とは

OEMアウターの生産現場では、日常的に「裏地のよれ」と「静電気」の二大トラブルに悩まされています。

特にファッション業界は、納期とコストのはざまで品質トラブルが見逃されやすく、「まあこのくらい…」という“昭和的な慣習”が今も現場で根強く残っています。

しかし、BtoB顧客や最終消費者の満足度向上とブランドイメージ維持のためには、こうした小さな違和感を徹底して排除する姿勢が必要です。

この記事では、製造現場で20年以上培った知見を活かし、OEMアウターで頻発する裏地のよれや静電気トラブルの根本原因、そして即実践できる防止策について、現場目線で掘り下げて解説します。

さらに、購買バイヤーやサプライヤーにとって押さえておきたい「本音」や、最新の業界動向にもスポットライトを当てます。

OEMアウター生産現場での「裏地よれ」発生の背景

裏地がよれる本当の要因

裏地のよれは、主に以下の3つのプロセスで発生します。

【1】生地選定段階でのミスマッチ
表地と裏地の相性は実際に試験をしなければわからない場合があります。

摩擦係数、布の張り、目付けのバランスが不適切だと、少しの着用や洗濯でズレ・たわみ・よれが表れやすくなります。

特にコストダウンを最優先する過程で国産から海外製の裏地に素材をシフトした結果、粘着性の高い繊維やストレッチ性が予想外に強い布を使うなど、想定外のトラブルが顕著です。

【2】裁断・縫製工程の精度問題
裁断時の歪みや熱処理による伸縮、工員の熟練度によって品質は大きく左右されます。

また、海外工場での量産時には生産ラインの人員入替が多く、ノウハウ伝承の遅れが裏地トラブル増加の一因となっています。

【3】アイロン・プレス仕上げの影響
最後の仕上げ工程で十分な熱管理・歪み矯正ができていなければ、出荷後に着用した初回でよれが出ることもしばしばです。

現場では生産効率を重視しすぎて、手作業の目利きや品質確認を省略する傾向が根強く見られます。

現場ベテランが語る肝心ポイント

裏地のよれ問題は「とにかく安い材料」「とにかくラインを止めない」といった短絡的な指示が出ると、一気に加速します。

「99円の裏地でトラブル頻発、110円の裏地で全く問題なし」など、わずかなコスト差でも大きな品質差を生むのは典型例と言えるでしょう。

アウター裏地と静電気のメカニズム

なぜ静電気が発生するのか

静電気は、異種素材同士の摩擦、湿度変化、温度変化など、さまざまな要因で発生します。

秋冬物アウターでは、ウールやポリエステルなどの化繊が多用されるため、服の脱ぎ着や歩行時の摩擦で裏地が帯電しやすくなっています。

また、空気が乾燥しやすい工場季節では、帯電状況の見極めも難しく、目に見えない問題として放置されることが多いです。

静電気が起きやすい状況

・表地×裏地

→ 異なる化繊同士の組み合わせ(例:ナイロン×ポリエステル)

・仕上げ時

→ 表面に糸くずや粉塵が付着している

・着用者の下着素材・体質の影響

→ アレルギーや肌トラブル発生リスク

アウターがバチッと来るたびに、商品価値そのものに不信感を抱く消費者も一定数存在することは、統計データでも裏付けられています。

昭和から抜け出せないアナログ生産現場の実態

製造業の現場、とりわけ縫製業界では「昔ながらの手法」「ベテラン頼み」が色濃く残っています。

手作業を中心とした生産は一見安心感があるようですが、逆に属人化しすぎた結果、現代的な「SOP(標準作業手順)」や「ISOマニュアル」に馴染まない部分も多々あります。

また、小規模サプライヤーや国内町工場がチューニング段階で不具合を“職人のカン”で修正してきた歴史も根深く、トラブルの原因追及や再発防止の仕組みが不十分な点は否めません。

こうした背景が、裏地よれや静電気といった“地味な不具合”を野放しにしやすい風土につながっています。

裏地よれ・静電気の防止策:現場目線での解決アプローチ

防止のための素材選定・調達

・「実店舗、実サンプル」を必ず手配
見本帳やオンラインカタログだけでなく、必ず現品サンプルを調達メンバーや技術者が直接確認します。

摩擦、伸縮、重ね合わせたときのすべり感を複数人で分享し、現場感覚を反映した調達判断が必須です。

・”品質規格書”のアップデートを怠らない
お得意様からの指摘・クレームも、逐一規格書にフィードバックし品質要件に反映します。

・静電気対策素材、制電加工裏地
多少コストアップしても「制電糸入り」「界面活性剤処理」など、制電効果の高い裏地資材の積極導入を検討します。

→工場による試験縫製・摩擦試験を省略しない

製造工程での対策

・裁断工程
“始業点検”で裁断機の刃の摩耗、型紙のゆがみ、表地・裏地のウネリやヒゲ(繊維端の遊び)をダブルチェックします。

・縫製工程
「裏地」のみ別ラインで事前縫製、または熟練者の監督下で縫製するなど、ヘッド(班長等)が工程を整理し、人材が偏りすぎないよう調整します。

・プレス仕上げ
アイロン温度・時間管理を徹底し、特に“裏地が熱で伸びる・ちぢむ”現象を防ぐため、リーダーが現品目視チェックを行います。

・静電気防止剤の塗布
プレス・梱包前に静電気防止剤を噴霧したり、作業空間の加湿管理(湿度60%前後維持)で帯電量を抑えます。

最終検査・顧客への説明

・裏地のズレ・よれ確認
全数、またはAQL等の抜き取り検査を実施し、少しでもズレがあれば即リワークします。

・静電気試験を実施
帯電量の測定器や、実際の着脱による帯電シミュレーションを製品ごとに行うことで、消費者クレームを未然に防ぎます。

・消費者への取扱説明
静電気緩和のための家庭でできるケア方法(柔軟剤の使用、衣類同士の素材選び)も製品タグやWEBで積極的に案内する姿勢がブランドの信頼度向上につながります。

バイヤー・サプライヤーが押さえたい現場の「本音」

バイヤー側は単なる価格競争だけではなく、工場ごと、品番ごとに「生産時の現場トラブル率」「再発率」といったリアルな数字を把握して発注管理しましょう。

また、サプライヤーは「納期」「コスト」「歩留まり」だけでなく、トラブル対策の提案力や、予防管理の仕組み提案が強い付加価値となります。

優良顧客(バイヤー)は、「現場のリアルな声・課題改善にここまでコミットするサプライヤーなら“値入れ”できる」と判断します。

逆に「品質問題への対応が遅い」「現場理解に乏しい」サプライヤーは、いずれ淘汰されていくのが今の業界動向です。

昭和的アナログからの脱却:これからのOEMパートナーシップ

現場担当者が経営層やバイヤーに「プロセス重視の品質管理」「現場の習慣改革」の必要性を地道にアピールしていくことが不可欠です。

最新AI・IoT技術の導入、画像処理による裁断・縫製精度の見える化、データドリブン管理が加速する今、現場の“昭和的職人技”に最新技術を統合した「ハイブリッド型のものづくり現場」への進化も求められています。

まとめ:裏地よれ・静電気対策のこれから

OEMアウターで繰り返される「裏地よれ」「静電気」トラブルは、ほんのわずかな現場判断、工夫、組織改革で大きく改善可能です。

材料調達から縫製、仕上げ・出荷、顧客コミュニケーションまで、一貫して「現場のリアル」と「顧客目線」を突き詰めること。

これこそが、昭和の慣習を乗り越え、これからの製造業・OEM事業者が世界の舞台で戦い抜くために求められる真の競争力となります。

バイヤー、サプライヤー、そして現場スタッフ一人ひとりが高い意識を持って、「小さな違和感も見逃さない」ものづくりを実現していきましょう。

製造業の進化に終わりはありません。
現場起点の知見とラテラルシンキングで、新たなものづくりの価値を一緒につくっていきませんか。

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