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投稿日:2025年8月13日

年間ブランケットと引取計画の組み合わせで段取り回数を減らす価格設計

年間ブランケットと引取計画の組み合わせで段取り回数を減らす価格設計

はじめに

製造業の調達・購買部門で、コスト削減や生産効率化を目指す際によく耳にするのが「段取り回数の削減」です。
特に、受注生産型や多品種少量生産が基本となる現場では、毎日のように段取り替えに追われ、本来注力すべき品質向上やリードタイム短縮に手が回らないという課題が依然として存在します。
そんな中、旧態依然としたアナログ商習慣が色濃く残る製造現場にも、徐々に戦略的な「年間ブランケット契約」と「精度の高い引取計画」の組み合わせによる段取り回数削減、ひいては合理的な価格設計が導入されはじめています。

この記事では、昭和から続く業界の常識に挑みつつ、現場で本当に役立つ実践的な段取り回数削減策と、それを前提とした現場目線の価格設計について深く掘り下げます。
特に、調達バイヤーの実務を志す方や、サプライヤーがバイヤーの発想を理解する上でも有益な内容を目指します。

ブランケット契約とは?製造業でのメリット

ブランケット契約とは、一年間など一定期間の総発注数量(または金額)を事前に確定させ、都度の注文や納品スケジュールについては、あとから具体的に決めていく方式の契約形態です。

多くの国内メーカーでは、昭和時代から“都度発注文化”が根強く残っていますが、以下のメリットを踏まえ、徐々にブランケット契約の導入事例が増えつつあります。

– 発注頻度を抑え、事務工数・伝票処理の簡素化
– まとめ買いによる価格交渉力の強化
– サプライヤー側で安定生産・調達計画を立てやすい
– 購買単価の固定化により予算管理しやすい

引取計画の組み合わせが生む業務革新

しかし、ブランケット契約だけでは「現場の段取り回数削減」までは十分に達成できません。

ここでカギとなるのが、“引取計画”の精度と戦略性です。
これは、実際にいつ、どの数量を、どの製品ごとに納入・生産引き取りするかを細かく計画化し、バイヤーとサプライヤーが合意・実行するステップです。

従来、引取計画は「必要になったら連絡」「月初ごとに都度調整」という運用が多く、どうしても現場のムダな段取り替えや過剰在庫を招いていました。

そこで、現場のワークフローを可視化し、品目ごとの生産ロット最適化や、工程能力と生産リードタイムから逆算した引取スケジュールを策定することで、段取り替え回数を劇的に減らすことができます。

段取り回数とは?その具体的コスト構造

「段取り替え」とは、ある製品の生産を終えて次の製品を製造する際に必要となる設備・治工具の交換、試運転、清掃など一連の準備作業を指します。
これには下記のような目に見えないコストが発生しています。

– 人的工数(正社員・派遣社員・技能工の拘束時間)
– 設備の停止時間=生産機会損失
– ミスや不良発生リスクの増加
– 作業生産性・品質安定性への悪影響

また、工場によっては段取りごとに「段取り賃」と称した一律固定費を生産コストに上乗せしている例も少なくありません。

段取り削減が生み出す価格競争力

段取り回数を減らすことは、サプライヤーの直接的なコストダウンにつながります。
すなわち、一回の段取りあたりの生産数量を増やし、段取り自体の“割高なコスト”を分母の個数で薄められるからです。

この構造を理解した上で、バイヤーはこうした協議をサプライヤーと積極的に展開する必要があります。
「年間ブランケットで○個まとめて引き取るから、段取りコストを価格から外してもらえませんか」
「月間3回の引取頻度を2回に減らす代わりに、1回まとめ引き取り時の単価ディスカウントを…」
といった具合に、“WIN-WINのコストシェア”を提案できるのが、これからの戦略的バイヤー(調達担当)の必須スキルです。

実践!現場目線での「段取り最小化計画」

では、実際に年間ブランケット契約と引取計画を組み合わせ、段取り替え回数を最小化しつつ価格設計を行うにはどんなポイントがあるのでしょうか。

1. サプライヤー現場ヒアリングと工程可視化

まずは仕入先サプライヤーに対し、「段取り替えの発生タイミング」「段取り1回あたりの所要時間・コスト」「ロットの最適化限界」などをヒアリングします。
紙運用の昭和的管理表や工程板であっても、現場担当や工場長のノウハウを徹底的に引き出すことが重要です。

「この設備はロット○個未満だと毎回段取りが必要」「色替えや金型替えの都度ラインストップになる」といった“現場のリアル”を可視化できれば、引取ロット設計の土台になります。

2. 生産ロット・納入ロット・在庫リスクの三位一体検討

段取り最小化のためには、バイヤーが「適正在庫」も加味したうえで、生産ロットサイズと引取(納入)ロットサイズを摺り合わせることがポイントです。

例えば
– 1000個のブランケット契約→毎月200個を5回納入より、
– 500個✕2回で一回あたりのまとまった生産・納入

とすることで、サプライヤーは段取り2回で済み、段取りにかかる総コスト・ダウンタイムを劇的に削減可能です。

一方で、バイヤー側に“在庫負担”が生まれるため、社内物流や倉庫費用とも相談の上、最もトータルコストが下がる組み合わせをシミュレーションしましょう。

3. 絶対忘れない!段取り改善による価格反映要求

段取り回数減によってサプライヤー側に“見える化”された目に見えるコスト(例:段取り人工、損料など)は、必ず見積段階で単価に反映させるべきです。

単に「まとめ買いで安く」と言うだけでなく、
– 「段取り工数が年△△時間削減できる」
– 「金型交換費用が1年でn回分→m回分に減ることで○万円効率化」
など、数値ベースの交渉材料を準備しておきましょう。

これにより、サプライヤーにも「合理的な値引き」「真のパートナーシップ」を実感してもらえますし、バイヤーとしても社内への説得材料が強固になります。

昭和的商習慣から抜け出すには

段取り回数を減らす契約・計画の導入は、アナログな製造現場においては“常識外れ”に映ることもあります。
特に
– 「昔からの都度発注・都度納入が安心」
– 「営業担当との細やかな調整がサプライヤー企業の存在価値」
– 「在庫=悪」という偏った社内文化
が根強い企業では、導入が後回しになりがちです。

しかしグローバル競争時代においては、こうした昭和的価値観を打破し、「段取りコスト見える化→合理的な取引関係」を両社で構築することが命題となっています。

少なくとも、バイヤー自身が“現場目線の合理化メリット”を骨の髄まで理解し、「なんとしても導入したい」という熱意を持つことがスタートラインです。

まとめ:新たな製造業の地平線を開拓する

昭和の時代、「ヒト・モノ・カネ」のマネジメントは上司の勘と都度調整に頼ることが多く、調達・生産の現場も経験則や職人的手腕で回してきました。
しかし現代では、市場変化のスピード・人件費高騰・人手不足がますます加速し、「段取り回数削減によるコスト最適化」は避けて通れぬテーマとなりました。

年間ブランケット契約と精度の高い引取計画の組み合わせは、単なる管理の効率化にとどまらず、サプライヤー・バイヤー双方に明確な利益をもたらす“新たな地平線”です。
これを武器に、真に競争力と持続性のあるものづくりを目指すべきです。

バイヤー志望の方、サプライヤー目線で交渉相手を深く理解したい方は、ぜひ「段取り替えの現場負荷」に着目した価格設計と、現場主導の改革マインドを持ち続けてください。
それがきっと、あなたのキャリアと会社の未来を大きく変える“ラテラルシンキング”な一歩になるはずです。

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