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投稿日:2025年12月30日

温度変化に弱いコーターマシンで使う断熱部材の問題点

はじめに:製造現場の温度管理とコーターマシンの課題

コーターマシンは、紙やフィルム、金属など様々な基材へコーティングや塗布を行う製造工程に欠かせない設備です。
液体やペースト状の材料を均一な厚さで塗布するため、精度と安定性が徹底的に求められます。

そして、その安定した生産を支えているのが、ライン全体を包む温度管理です。
現場に長くいると、ちょっとした温度変化が製品品質や歩留まりに与える影響の大きさを嫌というほど感じています。
そのため、コーターマシンには必ず断熱部材や断熱材が使用されています。

しかし、昭和時代から続く「使い続けて当たり前」の断熱部材にも、実は見過ごされがちな問題が潜んでいます。
近年の生産性向上、省エネニーズ、そしてSDGsに代表される環境配慮が求められる中、温度変化に弱い断熱部材のままでは現場のパフォーマンスが頭打ちになることも少なくありません。

本記事では、現場目線でコーターマシンの断熱部材が持つ問題点、そしてその背後にある業界構造や改善へのヒントに深く踏み込んでいきます。

コーターマシンにおける断熱部材の役割

均一な温度制御=製品品質の生命線

コーターマシンの塗布工程では、材料そのものだけでなく、塗布ロールや基材、さらには設備周辺の空調温度までが高精度にコントロールされています。

わずかな温度差で材料粘度が変化し、塗布厚みや表面の仕上がりに影響します。
そのため、断熱部材は外部環境からの急激な温度変化や室内湿度を遮断するバリアとして、長年設計思想に組み込まれてきました。

現場では、断熱材パネルや保温カバー、エアロック付きの扉など、多彩な断熱部材が当たり前のように導入されています。

今も残る旧世代の断熱技術

しかし、その多くは20年以上前の設計思想、断熱材そのものも昭和の技術トレンドを色濃く残したものが多いのが実情です。
たとえば、ガラスウールやロックウールの保温カバー、厚手のスチールプレート断熱パネルなどは、今もよく現場で目にします。

現場感覚として「一度設置したら壊れるまで使い倒す」のが断熱部材の世界。
一方、エネルギーコストや環境規制の高まりといった“時代の変化”が、その陰にある問題点を際立たせています。

温度変化に弱い断熱部材の問題点

1. 経年劣化で断熱・保温効果が低下

昭和から続く断熱材の最大の課題は「経年劣化」です。
ガラスウールやロックウールは湿気を吸うと断熱性が失われ、ひび割れ・圧縮・脱落で空気層が消失し、断熱効果が激減します。

さらに、設置後に配管や機械のメンテナンスが入ると、断熱材の一部が剥がされたまま戻されない――。
そんな“現場合わせ”の手当てが繰り返され、知らぬ間に「覆っているつもりなのに全く断熱効果がない」状態が生まれます。

気付いた時には加熱ヒーターの稼働率が上がり、エネルギーコストアップ、そして肝心の製品温度制御も不安定になります。

2. 経年で内部に水分・ゴミが蓄積

工場は常に蒸気や水、粉塵など過酷な環境にさらされています。
安価な断熱材ほど、隙間から水分やゴミが侵入しやすく、ちょうどクッションやスポンジのようになってしまいがちです。

温度変化が大きい冬季には結露が発生しやすく、これが断熱材内に残ると「断熱材そのものが熱伝導体」に変わります。
これが逆に熱損失の元凶に。
また、衛生面でも断熱材の中でカビや雑菌が繁殖することがあり、食品・医薬品系の工場では大きなリスクとなります。

3. メンテナンス性の悪さと応急対応の限界

断熱部材のほとんどが、現場での付け外し・交換を前提としていません。
コーターマシンは定期的にライン清掃やロール交換などの大掛かりなメンテナンスが発生しますが、その度に断熱材を剥がしてはそのままになり、補修の後回しが常態化しがちです。

また、応急でガムテープやアルミテープ補修がされる一方、元々設計された断熱性能は二度と戻らず、知らず知らずの間に各所で「断熱材ありきの温度管理」という安全神話が崩壊している現場も多く見られます。

4. エネルギーコストの増加=SDGs時代の大問題

省エネやCO2排出量削減が企業価値へ直結する今、工場全体の熱源効率アップは最重要課題となっています。
断熱部材の劣化による加熱・冷却エネルギーの増加は、そのままエネルギーロスに直結します。

最近は、工場全体のカーボンフットプリントや「見える化」投資が進みつつある中で、断熱材の劣化によるコストアップやSDGsへの逆行が、経営レベルでの大きなリスクとして顕在化しています。

5. 導入時の断熱材選定がコスト優先に

もう一つ大きな問題が「断熱材の選定理由」です。
一度設置すると20年近く使うにもかかわらず、導入時には元請や施主の“コストダウン要求”で最も安価なパネルや素材が選ばれることが少なくありません。

これはサプライヤー視点から見ても「バイヤーが一時的な価格優先で選びがち」な傾向と言えます。
結果、耐久性やメンテナンス性、省エネ性能が軽視される悪循環が根付いています。
バイヤー担当者が将来の「省エネコスト」まで見越して断熱材を選定する体制を持つ企業は、まだまだ少数派です。

製造現場目線で考える、断熱部材問題への処方箋

現場主導で「断熱材メンテナンス文化」を根付かせる

最大のポイントは、「断熱材も消耗品」という認識を現場・管理部門双方で持つことです。
たとえば、半年ごとに断熱材表面の温度測定を行い、交換すべき場所を可視化するだけでも、長期にわたるエネルギーコスト削減に繋がります。

製造現場においては、「断熱材のカバーは剥がしたら絶対戻す/補修は即実施」など、ルール化も大切です。

最新断熱材・省エネ機器との組み合わせでトータルコスト視点を導入

時代の進化とともに、より軽量・高耐久・低吸湿の断熱材や耐熱性に優れた新素材が次々と登場しています。
施工性の高いカバー一体型断熱、外気との温度差を「見える化」するIoTセンサーパッドなど、現場に“ちょうどいい”ソリューションも増えています。

導入時の「材料コスト」だけでなく、「交換頻度」「エネルギー節約分」「メンテナンス工数削減」などトータルコスト比較でバイヤーが選定できる体制を構築することが、長期的な競争力確保には不可欠です。

付加価値やSDGs貢献の観点での現場提案も力強い武器に

サプライヤー側としては、断熱材提案の時点で「この素材にすれば CO2削減量が年間●トン」といった定量的な資料を用意するだけで、バイヤーの意思決定に大きく寄与します。

また、「メンテナンスサポートまで一体で支援」「5年ごとの割安交換プラン」などの付帯サービスを付与することで、バイヤー側も安定生産・品質保証につながる長期的な視点で比較検討しやすくなります。

ラテラルシンキングで“見えない損失”を掘り起こす

温度変化に弱い断熱部材の本質的な問題は、現場感覚では“当たり前すぎて誰も気にしない損失”が、経営・全体最適視点で見ると“実は経常損失の山”という点に尽きます。

例えば、「保温カバーが壊れたまま使った場合と新品時とのランニングコスト差」「結露やカビ発生による製品の不良率増加」といった角度から、新たな課題発見・施策立案が可能です。

製造現場の声を反映しつつ、ラテラルシンキング的に「現状の断熱材運用を疑い、横断的に他工場・他社の事例を活用する」ことで、従来の固定観念・前例主義から一歩抜け出した競争力強化につながります。

まとめ:温度変化に弱い断熱部材を未来志向で見直す

昭和から続くアナログな断熱部材の運用は、見過ごされがちですが実は製造現場の品質、コスト管理、ひいてはSDGs経営にも直結する重要テーマです。

現場目線でそのリスクを掘り下げ、トータルコストと付加価値の観点で新たな断熱部材選定と運用へシフトすることで、これまで真の意味で達成が難しかった「安定生産×省エネ×環境」の三立が実現できます。

バイヤーを目指す方は、こうした現場課題を自分ごとと捉え、サプライヤー目線では経済性・持続性・安心安全の観点で付加価値を明確化することが、これからの時代の製造現場に求められる重要な視点です。

製造業の新しい地平線は、こうした基礎的な部分の“見直し”から始まります。
温度変化に弱い断熱部材の問題を、あなたの現場でもぜひ一度点検してみてください。

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