投稿日:2025年12月28日

自動化を阻害するコーターマシンで使う電磁弁部材の問題点

はじめに:コーターマシンと製造現場の自動化の現状

製造業において、いかに効率的に、そして安定した品質で製品を作り上げるかは永遠のテーマです。

特に昨今、人材不足と働き方改革が叫ばれる中、現場の自動化は避けて通れない課題となっています。

その中でもコーターマシン――具体的にはフィルムや紙などの基材上に精密な塗工(コーティング)を施す装置――は、バッテリー、電子部品、医療分野など幅広い業界で欠かせない存在です。

しかし、実際には自動化が進みにくい現場も多く、その足かせとなっているのが「電磁弁部材」の問題点です。

この記事では、20年以上の工場現場経験者としての視点から、なぜコーターマシンで使われる電磁弁が自動化推進の障壁となっているのか、その本質に迫ります。

また、アナログ体質が抜けきらない現場でのリアルな課題も交え、バイヤーやサプライヤー、将来の製造業を担う方々へのヒントをお届けします。

コーターマシンにおける電磁弁の役割とは

まず、コーターマシンにおいて電磁弁が担う重要な役割を押さえておきましょう。

電磁弁は、エアーや液体、気体などの流体を「開く」「閉じる」動作で制御する部品です。

フィルムやシートへのコーティング工程ではバルブの開閉タイミング、ライン停止時の安全確保、薬液や溶剤の精密供給などに欠かせない存在なのです。

従来、これらの制御はオペレーターの手動操作や、ごくシンプルなリレー回路程度に頼ってきた工場も多く、今もなお「昭和から抜け出せないアナログ現場」が多数存在します。

しかし自動化を進めるには、電磁弁を含めた各種部材と、制御システムの高度な連携がカギを握ります。

現場で生じる電磁弁部材の主要な問題点

1. 標準化されていない仕様と非効率な設計

未だに「昔から使っているから」「特定メーカーのものしか動かしたくない」といった理由で、標準化が進んでいないケースが多いです。

古い型式の電磁弁は、配線方法やコネクタ形状、取り付け寸法などがバラバラ。
それに合わせて制御盤も一から手作業で配線し直し、その都度細かい図面チェックが必要になります。

こうした非効率な設計のまま使い続けていると、ラインの新旧混在によるトラブルが発生しやすく、新しい自動化装置との組み合わせでも余計なコストやタイムロスが生じます。

2. 部材調達リスク:納品遅延とコスト高騰

さらに昨今は、海外メーカー品の納期長期化や、半導体不足の影響を受けて、必要な電磁弁自体が手に入りにくくなっています。

国内メーカーも旧型商品の生産終了が目立ち、「うちのラインに合う部材が市場から消えつつある」という悲鳴も現場ではよく聞かれます。

リプレースや修理パーツとして在庫を抱える必要が出てくるものの、その分コストも跳ね上がるのが現実です。
調達購買担当者は選択肢が狭まり、泣く泣く高価な代替品を購入するといった事例も少なくありません。

3. 保全性・メンテナンス性の低下と現場負担

工場の現場では、「あの電磁弁は特殊工具が必要」「取り外しに手間がかかる」「配線間違いが起きやすい」といった声が根強いです。

現場の自動化・少人化が進む一方、煩雑で属人的な作業を助長する部材が残っていれば、結局トラブル時のダウンタイムは減少しません。

また、年配のベテラン要員がいなくなった時、引き継ぎがうまくいかず「電磁弁の交換に半日かかる」「原因不明のトラブルが発生した」といった事例も目立つようになっています。

4. 制御システムとの連携の難しさ

古い電磁弁部材は、最新のPLCやシーケンサ、IoTデバイスとの完全な連携が難しい場合が多いです。

制御盤のアップデートを機に、電磁弁も新しい規格に乗り換えたいのに、「ライン全体を止めないと換装できない」「制御システム変更時の動作検証がめちゃくちゃ面倒」といった課題で一歩踏み出せない現場もあります。

シームレスな連携が叶わなければ、生産データの自動取得や予知保全のDX施策も進みません。

なぜアナログな昭和体質が根強く残るのか?

顧客要望や品質要求の厳格化に応えつつも、なぜアナログ的な現場が多いのでしょうか。

その理由には以下のような業界ならではの背景があります。

設備投資リスクと「壊れるまで使う」文化

製造業は、特に中小や下請け工場ほど「まだ使える設備は極力延命し、投資コストを抑えたい」という意識が強いです。

莫大な予算をかけて新型ラインに総入れ替えするより、「電磁弁一本交換であと5年使えるならそれで乗り切る」スタンスが根強くあります。

この“部分的延命策”が結果として、最新自動化への移行を遅らせる一因となっています。

現場力への過信と担当者の属人化

特定のベテラン作業者やメンテ担当が現場を守り抜いてきた歴史があります。

「電磁弁が故障したら○○さんを呼べばすぐ直る」「現場は経験でなんとかするもの」といった体質が、時代の変化に追いつかせない要因となっています。

業界独特の「職人芸」や「勘・コツ」の価値観が色濃く、デジタル化や標準化への抵抗感につながっています。

仕様書や設計思想の固定化

一度決まった装置設計や仕様が、顧客・サプライヤーの双方で長く踏襲される傾向もあります。

昭和時代から続く「このラインに合わせるなら、この型番の電磁弁しかダメ」というルールに縛られ、新しい標準化やメーカーフリー化が進みにくいのです。

これからの自動化推進に向けた処方箋

コーターマシンの自動化・効率化を目指すためには、現場目線で何を変え、どこに着目すればよいのでしょうか。

標準化へのシフトと設計変更のススメ

まず重要なのは、設備仕様や部材選定の段階で「標準化」を意識することです。

納期や価格、互換性を考え、特定メーカー縛り・独自仕様を極力避ける。

配線端子やコネクタ、メンテナンス方法、カタログで“世界標準”を意識した設計変更を現場で提案していくべきです。

社内会議や更新計画時に「汎用品」「規格品」の採用可否を慎重に議論し、現場全体の自動化成熟度を一段階引き上げましょう。

バイヤー・サプライヤー間での情報共有の強化

バイヤーは目先の仕入れコストだけでなく、「調達リスク」「長期供給体制」「メンテ性」といった観点でサプライヤーに積極的に相談しましょう。

逆にサプライヤーも、現場の声や将来の設備保全ニーズ、部品の生産中止予定などをきめ細かく情報発信し、顧客と一緒に仕様の見直しや自動化対応策の提案を心がけることが大切です。

現場教育とデジタルツールの導入

属人的なトラブルシューティングから脱却し、マニュアルや動画ツール、AR/VRによる作業教育、生産データの蓄積を図りましょう。

電磁弁の交換や異常時対応なども「いつでも誰でも同じ品質で実施できる」体制を構築すれば、人材不足時代にも対応できます。

IoTやAIを活用し、部材の状態監視や予防保全の実証実験を積極的に進めることも将来の自動化現場に欠かせません。

今後の業界動向とバイヤー・サプライヤーへの期待

半導体や電子部品の供給不安が続く中、部材調達力や設計の柔軟性はますます重要になっています。

電磁弁部材一つをとっても「ただ仕入れる」から「現場の変化に合わせて最適化する」時代に移行しつつあります。

バイヤーの皆様は、サプライヤー任せにせず「自社の自動化ビジョン」や「現場課題」を積極的に共有し、未来志向で装置仕様や部材選定へ関与することが成功の鍵となります。

サプライヤーの方は、「業界のアナログ体質」「現場の困りごと」をしっかりヒアリングし、今後5年、10年を見据えた部品供給体制や保守サポートのあり方を再設計するチャンスです。

まとめ:足元から変えよう、“昭和止まり”の部材調達と自動化戦略

コーターマシンで使う電磁弁の問題点は、単なる部品不良やトラブル以上の「現場体質」「業界文化」「将来不安」が複雑に絡みあっています。

まずは現場の標準化、小さな設計変更、サプライヤー選定の見直し――足元から一つずつ改善を積み重ねることで、自動化・効率化の新たな地平線が開けるはずです。

人手不足・高齢化、そして不確実な部材調達時代だからこそ、今一度“昭和からの脱却”を現場全体で意識し、未来を切り拓くものづくりに挑戦していきましょう。

製造業の皆様、業界を支えるバイヤー・サプライヤーの皆様が、より強い現場力と競争力を実現できることを願っています。

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