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作業者の熱中症予防製品の調達方法と選定基準

目次
はじめに:製造現場のリアルな熱中症対策ニーズ
製造業の現場は、空調が行き届きにくい大空間や高温作業環境が多く、作業者の熱中症対策は年々高まる課題です。
夏場には、重量物の搬送や溶接・鍛造、建材加工などの現場で、異常なほどの暑さと湿度にさらされることも珍しくありません。
現場を預かる管理者や、調達購買担当者として、働く仲間を守る「本当に効く熱中症対策製品」の選定と手配は、最優先すべきミッションだといえるでしょう。
また、調達購買業務は単なる価格交渉や発注処理を超え、現場の安心・安全に直結する製品選定力が問われます。
昭和的な「帳票主義」や「値切り交渉一辺倒」ではなく、本質を見極める確かな目と、最新技術・動向をキャッチする姿勢が重要です。
本記事では、実際に工場で現場指揮や調達を担当してきた経験から、実践的な熱中症対策製品の調達・選定ポイントを解説します。
熱中症対策の最新動向:なぜ今、ここまで注目されるのか
少子高齢化や人手不足が進む製造業では、健康障害による生産停止が経営リスクに直結しています。
平成期までは「休憩を多く取る」「塩飴支給」といったアナログな対応が一般的でしたが、年々気候変動による猛暑が激化するにつれ、これらでは到底対応しきれません。
経済産業省や厚生労働省でも「WBGT(暑さ指数)」の活用や「熱中症特別警戒アラート」発令など対策強化を推進。
一方、工場内では高機能なファン付き作業服(空調服)、冷却ベスト、スポットクーラー、ウェアラブルセンサーなど、デジタルを生かした新製品の導入が進んでいます。
熱中症発生→労災発生→生産停止・信用毀損……
そんな負の連鎖を断ち切るため、調達担当者・バイヤーには「現場の命を守る基準」が求められています。
熱中症予防製品の主な種類と特徴
作業者個人に装着するタイプ
・空調服(ファン付き作業着、ベスト等):内蔵ファンで体表周辺に風を送る。バッテリー式が主流。
・冷却ベスト、アイスベスト:保冷剤や冷却水循環カートリッジ内蔵。低温やけど防止仕様も重要。
・冷感インナー、クールタオル:気化熱や特殊素材による冷却効果。
現場環境を冷やすタイプ
・スポットクーラー、冷風扇:広範囲冷却は不十分だが、局所的な冷却に有効。
・ミストファン・ミスト噴霧器:蒸発冷却で空気温度を下げる。防水設備・清掃手順が条件。
管理・見守りデバイス
・ウェアラブル熱中症センサー:作業者の温湿度データ、心拍数等をリアルタイム検知。
・WBGT計測器、アラート装置:作業エリアごとの暑さ指数監視・警報。
それぞれ、導入コスト・維持費・使用環境への適合性が異なり、単純な「カタログスペック比較」では効果の差が現れやすいのが実情です。
調達購買担当者視点での選定基準
現場別の適合性の確認
現場の室温、湿度、風通し、作業負荷(重作業か否か)、電源の確保可否等を事前に把握します。
例えば空調服は密閉度の高いクリーンルームでは使いづらいが、大型工場や屋外作業では高い効果を発揮します。
現場作業者やラインリーダーとの情報共有が、調達購買活動の「現場適合力」を高めます。
安全基準・耐久性・メンテナンス性
・PSE(電気用品安全法)表示や各種安全認証の有無
・バッテリー寿命や落下・耐衝撃性能、長時間稼働時の信頼性
・自社での定期点検・保守遂行の難易度、洗濯・カートリッジ交換等の消耗品ランニングコスト
特にファン付き作業着や冷却ベストは、粗悪な模倣品が流通しているため、信頼できるサプライヤーか否かの見極めが重要です。
コストメリットと投資対効果
単価や一時的な値引きに囚われず、「労災削減・作業効率向上」など本質的なコスト削減につながるかを判断します。
たとえば、熱中症事故防止で減らせる「休業補償費」「看護師巡回コスト」なども効果算定に加えます。
試用・現場評価の推奨
できればデモ機・サンプル貸出を複数社から取り寄せ、現場スタッフが実際に1日使ってみての評価を集約しましょう。
バイヤーが“独断で”選ぶのではなく、現場運用者と協働し「本当に使い続けたくなる」製品を選ぶ姿勢が大切です。
サプライヤーの選定ポイントと現場目線での付き合い方
サポート力・導入研修体制
・納入後の説明会開催(現場作業者・安全衛生担当向け)
・マニュアルや啓発ツールの充実度
・不具合発生時の即応体制や追加消耗品の迅速供給
特にアナログ文化が根強い工場では、納品して終わりではなく、「最初の1ヶ月使い方を手厚くサポート=定着率アップ」という一歩踏み込んだ付き合い方が成果を生みます。
他社導入実績と信頼性
同業種での運用例や「使ってみた率直な声」を確認しましょう。
例えば、自社と類似した作業工程・現場面積・作業者年齢層の導入事例があれば、参考になります。
アフターフォローの充実度
保証期間や修理対応だけでなく、毎年夏季に最新製品情報をくれる、現場点検をしてくれる、といった“関係を作れるサプライヤー”との長期的なパートナーシップが、工場経営の強みにつながります。
アナログ工場でもできる!最新製品導入のコツ
「新製品は現場で嫌われる」
「現場の慣れているやり方を変えさせたくない」
こうした声が根強いアナログ業界でも、熱中症対策製品は“命を守る道具”として特別視されはじめています。
現場説明では「なぜこれが必要か」を数値・体験で示し、
・着用後の作業効率比較(サンプル提供)
・実際に使ったベテラン作業者の感想を全体朝礼で共有
など、順を追って納得度を高めることが成功のコツです。
また、技能や経験がものを言う現場文化だからこそ、
「体が資本=健康投資は経営の根幹」
というメッセージを持続的に発信しましょう。
失敗しないためのチェックリスト
・自社現場の作業環境別に必要な製品群をリスト化済みか
・予算計画と調達計画が南北分割できているか(全社一斉調達か現場ごとの自由調達か)
・機能・スペックの優先順位、現場意見の吸い上げ体制が整備されているか
・カタログの数字だけでなく、現場での実演評価会を実施済みか
・「誰から買うか」も重視し、信頼できるサプライヤーを確保しているか
まとめ:熱中症対策=未来のものづくりを守る調達
熱中症対策製品の導入・調達は、
「現場の安全・健康」と
「ものづくりの生産継続性・信頼性」、
さらには
「製造キャリアとしての誇り」
を守る仕事です。
調達購買担当はメーカーの“縁の下の力持ち”であり、「単なるモノ選び」を超え、現場の安心・企業価値向上を実現できます。
サプライヤー目線では、こうした現場志向のバイヤーの考えを汲み、提案・サポート力を一層高めることで信頼関係が築けます。
今こそ、昭和的慣習だけに固執せず、現場目線とテクノロジー進化の“両輪”による新たな付加価値を体現しましょう。
その一歩が、ひとりひとりの命を守り、製造業の未来を創っていくのです。
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