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金属加工業がECで成功するためのプロダクト撮影とストーリーライティングの技術

目次
はじめに:製造業とECの時代
製造業の現場は、長らくBtoBのアナログ商取引が主流でした。
FAXや電話での受発注、対面商談、展示会依存の受注――。
今でも多くの中小金属加工業者が、こうした昭和的な取引慣行から抜け出せていない現状があります。
しかし、DNVBやD2C、産業用部品マーケットプレイスといった新しいデジタルプラットフォームの台頭により、金属加工業者も「自社製品でオンライン販売チャネルを立ち上げたい」「もっと幅広い顧客に知ってもらいたい」という要望が高まっています。
しかし、現場でよく耳にする課題もまた現実なのです。
「写真なんてスマホで十分でしょ?」
「ストーリー?そんなの必要ですか?」
そんな疑問を感じている方にこそ、本記事で“売れるEC”の真髄――プロダクト撮影とストーリーライティングについて、実務と業界動向を交えながらわかりやすく解説いたします。
なぜ金属加工業にECが必要なのか
市場縮小と新規開拓の必要性
国内製造業の多くは、既存取引先への依存度が高く、「紹介や引き合い」が業績を左右する構造にあります。
しかし人口減少・産業構造変化により市場規模は徐々に縮小しています。
新規市場を開拓しなければ、徐々に売上高も頭打ちになるのは避けられません。
取引の透明化と標準化の波
部品マーケットプレイスや、プラットフォーム型の見積・発注サービスが増加しています。
「品質の見える化」「価格の透明化」「迅速な選定・調達」といった要素が求められる一方、発注側は匿名化・標準化志向が強まっています。
この流れでは「顔が見えない商品」があふれがちです。
ECで独自性を伝えられる企業が生き残る
だからこそ、商品そのものや自社の独自性を正しく魅力的にPRできる企業だけが選ばれます。
その“要”こそが、「写真」と「ストーリー」なのです。
なぜ写真とストーリーが重要なのか
人は「見た目」で8割判断する
製造現場出身者にとって、スペックや図面、加工精度といった「数字」「合理性」が価値の根拠となりがちです。
しかし、バイヤーも含めた発注担当者やエンドユーザーは、写真や説明文で“第一印象”を形成します。
心理学では「メラビアンの法則」で有名ですが、購買判断の7割以上は視覚情報に基づいています。
言い換えれば…
・暗い・汚い・背景が雑然
・どんな用途かわからない商品写真
・単に加工品を並べただけの見せ方
これだけで受注機会を大きく損ないます。
無形価値を伝える「ストーリー」の効力
どんなに高精度・高付加価値の部品でも、「何が、なぜ、どういいのか」が伝わらなければ“ただの金属の塊”です。
ストーリーは、商品そのものに込めた想い・開発エピソード・こだわり・納入現場の感動体験――。
数字では測りきれない“情緒価値”や“作り手の顔”を伝えることで、顧客をファン化し、「選ばれる理由」になります。
金属加工品を魅力的に撮影する技術
1. 撮影の前に:魅せたいポイントを整理する
金属加工品には「バリひとつない表面精度」「複雑曲面」「鏡面仕上げ」「一体構造」「小ロット多品種対応」「素材の違い」――様々な強みがあります。
まずは自社商品の【最大の売り】を明確にします。
そして、ターゲットとなるお客様が購入・選定時に重視するポイントが何かを再確認しましょう。
例えば、
・食品機械分野→衛生管理や耐薬品性
・自動車分野→高剛性、軽量化、精度保証
・研究開発分野→小ロット、多品種試作、短納期
など。
これに合わせて撮影コンセプトを考えます。
2. 機材とセッティングへのこだわり
スマホカメラでも十分な解像度は得られますが、本気のEC運営なら一眼レフ+マクロレンズがおすすめです。
また金属は映り込みや反射が多いため、下記にも注意しましょう。
・白い背景紙&ソフトボックスで全体を明るく(自然光 or LED照明)
・斜めからライティングしてエッジ・質感を際立たせる
・不要な映り込み(カメラや手、自身の衣服)は除去
・F値を調整し被写界深度の浅さを活かす
背景が“作業机そのまま”では、どんなに良い商品も安っぽく見えてしまいます。
余計な情報をそぎ落とし、商品が引き立つ画作りに徹しましょう。
3. 使い方提案とスケール感の工夫
ただ単品で写すだけでなく、
・手で持っている(実寸が想像しやすい)
・組み付けイメージ写真や装着例
・顧客現場での活用シーン
こうした写真も加えましょう。
“自分が使ったらどうなるか”がひと目でイメージでき、購買検討を大きく後押しします。
4. 加工前・加工後、工程紹介も写真で伝える
特にBtoBの部品ECでは、仕上げ前後の比較や、各種加工プロセス(旋盤→フライス→研磨…など)を写真で見せると、お客様の安心感と期待値を高める効果があります。
プロダクトストーリーの書き方とポイント
1. 「誰のどんな困りごと」を解決するのか?
機械部品は「使う側の課題解決」に繋がってこそ真価を発揮します。
「他とは違う我が社の商品」で終わらず、
【その商品によって“どんな人が”“どんな困難を解消したか”】を明言します。
典型的なのは、
・従来工法だと納期2週間→当社の工法で2日短縮
・従来品は重くて取り付け作業が困難→軽量化によって一人作業可能に
などです。
2. ものづくり現場の「汗」と「工夫」
“ウンチク”や“うちの技術はすごい”自慢でなく、
・加工条件を見出すための打ち合わせ
・設計者と作業者の知恵の結集
・成形で最も苦労した部分
・突発トラブルをどう乗り越えたか
といったリアリティのあるストーリーが、心に響きます。
3. 現場×顧客の感動物語
実際に納入した顧客の声・現場での感動エピソードがあれば、ストーリーの核になります。
「導入現場で“すごい、これが欲しかった”と言われた」
「作業現場の安全性が、この新機構で格段に向上した」
など、具体的な反応やエピソードを織り交ぜましょう。
4. 製品が生まれる背景を“人”で語る
「10年後も生き残れる部品を目指した試行錯誤」
「町工場の小さな現場力で、大手メーカーにも負けないこだわり」
単なる“成果”でなく、“作り手の顔”や“時代背景”“地域性”が伝わるエピソードを盛り込むと、“他では手に入らない感動”=ブランド力となります。
SEO対策:検索で見つけてもらうための工夫
1. 想定ターゲットの検索キーワードを意識する
バイヤーや設計者、個人発注者が検索しそうなワードを入れ込みます。
例:「金属加工 EC」「高精度 部品 オンライン販売」「短納期 小ロット」「ベアリングハウジング 製作 価格」など。
2. 検索で比較されるポイントを先回りして明示
価格、納期、精度、対応可能素材、実績数、発送形態など、バイヤーが比較検討に使う指標を、写真やストーリー内でしっかり可視化します。
「最短即日出荷」「ISO認証取得済」「年間100万個出荷」など、信頼につながるキーワードを自然に散りばめましょう。
3. FAQ形式も有効
「どんな図面データ形式に対応可能ですか?」「一点から対応してもらえますか?」など、よくある疑問をQ&A化することで、SEO的にも評価が上がりやすくなります。
事例紹介:成功している金属加工ECの実例
1. A社:町工場なのに全国受注を実現
A社は、旋盤加工の小ロット短納期対応が強みの町工場です。
自社サイトで全製品の写真を、背景を真っ白に抜いてシンプルに統一。
さらに「工場長による製品解説」動画や、「社内のベテラン職人インタビュー」を定期的に配信しています。
結果、地方の無名企業でありながら、月間10万PVを誇るECサイトに成長しました。
2. B社:他業種からの問合せが激増
B社は、特殊研磨仕上げの部品を中心に扱う企業です。
独自開発の「鏡面仕上げ」があるだけでなく、「工具から自社開発」「職人が手拭きで最終チェック」といった工程ストーリー・人の顔を積極的に露出。
「精密研磨 加工 オンライン」というSEOワードで上位を獲得し、大手メーカー・アニメーター・アーティストなどからも注文が増加しました。
まとめ:昭和から令和への変革に必要なこと
これからの製造業は、「作れる会社」から「選ばれる会社」に進化することが求められます。
金属加工業がECで成功するには、写真もストーリーも“お客様と現場をつなぐコミュニケーションツール”だと認識することが何より大切です。
・わかりやすく、専門性が伝わる写真
・現場の汗や想い、顧客との関わりまでも伝えるストーリー
・検索される視点を意識し、情報をしっかり届ける工夫
こうした取り組みが、やがて「この工場に頼みたい」「この部品でなければ」と言われる強いブランドを築きます。
昭和時代から抜け出し、令和型ものづくりへ――。
まずは一歩、写真とストーリーの力で、新しいお客様との出会いの窓口を開いてみてはいかがでしょうか。
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