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投稿日:2026年2月3日

生産管理システム更新がDX推進の足かせになるケース

はじめに:生産管理システム更新とDX推進のジレンマ

製造業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)は、今や避けて通れない課題となっています。

特に、工場の現場を支える「生産管理システム(Manufacturing Execution System:MES)」の更新は、DX推進の第一歩と思われがちですが、実際にはそのシステム更新自体が、かえってDX推進の足かせになるケースが少なくありません。

私自身、20年以上にわたり調達購買や生産管理、品質管理、さらには自動化分野で現場を担ってきた経験から、こうした現場感覚に立脚した実態を解き明かしたいと思います。

この記事では、生産管理システムの更新がなぜDX推進のブレーキになるのか、その背景や問題点、そして現実的なアプローチについて、実践的かつ業界目線で深掘りしていきます。

結論から述べる:生産管理システム更新の罠

多くの企業では、生産管理システムの老朽化やサポート切れを契機に「最新のシステムにアップグレードすれば、デジタル化が進む」と考えがちです。

しかし、この発想には2つの大きな罠があります。

1つ目は、「現行業務フローの焼き直し」になってしまう点です。

2つ目は、「DXの本質」である業務変革やデータドリブン経営から逸れてしまい、“システム更新そのもの”がDXの目的になってしまうという点です。

現場の本音としても「これまで通りの業務ができれば良い」「今までの帳票と同じ出力ができれば十分」といった声が根強く、システム更新の本来の意味がぼやけてしまうのです。

昭和的発想がもたらす足かせ

現場の“なぞる”文化

長年、製造業の現場では「前例通り」「右にならえ」の文化が根付いてきました。

これは、かつて“失敗しないための最善策”であり、習熟した技能と守るべきルールが高度な品質と生産性を担保してきました。

しかし、その反面「現状を紙の帳票からデジタル画面に置き換えるだけ」「工程日報をそのままシステム入力するだけ」といった、付加価値の生まれにくい発想に陥りやすいという落とし穴にもつながっています。

結果的に、“デジタルなガラパゴス化”が進み、社内外連携やサプライチェーン全体での優位性を獲得するDXからは遠ざかっていくのです。

旧来型ベンダー依存症

また、生産管理システムの更新には、「これまで長く付き合ってきたベンダーに任せれば安心」という心理が根強く働きます。

カスタマイズや拡張性よりも、「今まで使ってきた機能がそのまま使えるかどうか」に軸足が置かれ、“引き継ぎ”が主眼となりがちです。

結果として、「システムを新しくしたが、業務のやり方もデータの使い方も、何一つ変わっていない」という状況が出来上がります。

Excel連携や、紙運用の温存など、いわば「名ばかりデジタル」の工程に逆戻りしてしまい、投資対効果が見えにくくなってしまいます。

なぜこの問題が根深いのか

現場主導と経営主導のギャップ

生産管理システムの更新プロジェクトは、しばしば「現場の声を大事にする」方向で進みます。

一見良さそうに見えるのですが、“現場が不便に感じるポイントをそのままシステムに取り込む”あまり、部分最適化が肥大化しがちです。

経営サイドが目指すDX=会社全体の業務刷新、データ経営、チェーン全体最適とは、そもそも目指す方向が違っていることが多いのです。

したがって、「現場ニーズ(≠DXの目指す姿)」に引きずられることで、数億円規模の投資をしても、従来業務の電子化で終わってしまうケースが多発します。

“形式”が優先され、本質が置き去りに

特に日本の大手製造業では「形式的な完璧さ」や「帳票様式の踏襲」が重視されます。

たとえば「QC工程表」「作業指示票」「仕掛り帳」など、紙で運用してきた帳票に、過剰なまでにこだわってしまう傾向があります。

このため、「帳票レイアウトの完全再現」に多額のコストがかかったり、過去データ移行ばかりが話題になるなど、本来目指すべきデータ活用やプロセス変革は後回しにされがちです。

バイヤー・サプライヤーが気を付けるべきポイント

サプライヤー視点:バイヤーの本音を読み解く

サプライヤー、つまり生産管理システムを提供する立場では、導入先バイヤーの潜在的な課題や、現場の“保守的な心理”を見極めることが重要です。

バイヤー側は往々にして「全面刷新よりも部分改善」「切り替え負担は最小に」といったニーズを持っています。

同時に、「DXを推進したいが、現状業務を壊すのは怖い」というジレンマに悩んでいるケースも多いです。

サプライヤーとしては「システムそのものの性能」よりも、「業務のあるべき姿を対話で一緒に描く力(コンサルティング力)」や、「試行錯誤・段階的推進の設計力」が差別化ポイントになります。

バイヤー(導入担当)視点:落とし穴に要注意

一方、バイヤーとして生産管理システムの導入を担当する場合、「本当に今の業務フローが最適なのか?」「将来像として取り込むべき機能やデータ活用とは何か?」を、システム選定や設計段階から徹底して考える必要があります。

現場へのヒアリングも、「現状の不便さ」だけでなく、「どうすれば抜本的な効率化や生産性向上につながるのか」をテーマにすることが重要です。

それにより、「現状維持バイアス」に振り回されない、現場主導と経営主導が連携した真のDX推進が実現できるのです。

実体験から言える“本当に進むべきDX”の道

小さな勝ちを積み重ねる

現場では、「いきなり大規模刷新」は難しいのが現実です。

そのため、「まずは1ライン、1工程から始め、小さな成功体験を積み上げていく」ことで現場の納得と将来への拡大性が両立しやすくなります。

この「実証型アプローチ」「PoC(Proof of Concept)」の積み上げこそが、地に足のついたDXの第一歩となります。

“業務×データ”の現場視点改革

デジタル化の本質は「データ活用」です。

たとえば「現場作業者主体の改善提案を、データで裏付ける」「工程の歩留まりをリアルタイムに見える化して、現場で即座に対策を打てる」など、システム更新がもたらす“新しい発想・現場起点の業務変革”が大事です。

これが、単なる“システムの入れ替え”を超えた真のDX推進と言えるでしょう。

最後に:生産管理システム更新の先にあるもの

昭和的な“なぞる”発想から脱却し、真に業務改革・データ改革へと生産管理システムを進化させることが、製造業DX成功の鍵です。

現場の声を大事にしつつも、「業務×データ」「部分最適×全体最適」「現状維持×将来像」という2軸で考え、お互いの視点を補完し合うことが現実的な道です。

生産管理システム更新は単なる通過点に過ぎません。

その先にある「新たな稼ぐ仕組み」「競争力の本質強化」こそ、今後のものづくり現場が目指すべきDXの地平線だと確信しています。

これからDX推進や生産管理システムの見直しに取り組む皆様に、現場目線かつ未来志向の一助となれば幸いです。

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