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属人化した見積作成で利益確保が困難になる経営課題

目次
はじめに:製造業の現場で今、見積作成が抱える重大な課題
製造業の根幹を支える調達・購買業務において、見積作成は経営の意思決定や利益確保に直結する極めて重要なプロセスです。
しかし、現場を歩いて痛感するのは、見積作成業務がいまだ「属人化」に大きく依存している企業が少なくないという現実です。
属人化した見積作成は、一人ひとりの担当者スキルや経験値によって品質やスピードに大きな差が出やすく、競争が激化する現代の製造業界ではまさに「経営のボトルネック」になっています。
この記事では、20年以上製造現場で培った実践的な視点から、属人化した見積作成がなぜ利益確保を困難にするのか、どのような業界的背景でいまだに根強く残るのか、そして打破のためのヒントやラテラルシンキングを示していきます。
バイヤー志望の方、実務に携わる方、サプライヤーの方にも価値ある新しい視点を提供します。
属人化した見積作成の実態とは?
属人化の具体的な形態
見積作成の属人化とは、特定の担当者やベテランのみが見積業務を主導し、知識やノウハウが「暗黙知」として個人の頭の中に閉じ込められてしまっている状態を指します。
工場や調達・購買部門の多くでは以下のような属人化の風景が見られます。
– 原価・工数の計算根拠が担当者任せになり、全社標準のルールやシステムがない
– 過去の見積や交渉履歴がファイリングや個人PCの中にあるだけで一元管理されていない
– 経験豊富な「カリスマ」の引退・異動で失われるノウハウが多すぎる
– 設計変更や新規案件への素早い対応力にばらつきが生じる
このような状況下では、企業の成長や事業承継の面でも大きなリスクを内包しています。
昭和から続くアナログな手法の根強い理由
なぜ見積作成の属人化、そしてアナログなやり方がいまだになくならないのか、その裏には下記のような業界独自の事情が横たわっています。
1. 「現場主義」や「習慣化されたやり方」への過信
長年培ったベテランの勘や職人技が尊重されやすく、クラウドやAIなどの新技術導入へのハードルが高い。
2. 市場構造的な交渉力の偏り
完全な買い手市場(バイヤー優位)、もしくはサプライヤーが少ない寡占状態では、旧来のやり方でも商流が回ってしまう。
3. 決算や目先の受注優先の短期志向
経営の現場で恒常的に忙しい状態が続き、業務改善やDXプロジェクトにリソースを割けない。
つまり「昭和の成功体験」「現場への信頼」「変化へのコスト感」などが複雑に絡みあい、属人化の温床となっているのです。
利益確保が困難になる経営課題の本質
属人化が直接引き起こす収益悪化のリスク
見積作成の属人化は以下のような形で、利益確保や安定経営に対し極めて深刻なダメージを与えます。
– 過小見積による「赤字受注」の常態化
スキルの浅い担当者が情報不足のまま客先要求に合わせて際どい価格設定をしてしまうケースや、リピート品に対し適切な値上げ・コスト変動反映ができず利益を削り続けるケース。
– 売上機会の喪失
ベテランが属人対応してきた案件が、休職や退職といった属人先の変更でスムーズに引き継がれず、失注や納期遅延が発生する。
– コスト分析・改善提案の欠落
価格の適正根拠やコスト構造の分析ができず、サプライヤーへの値下げ要求・社内コスト削減指示も「丸投げ」になる。
– 交渉力の低下と取引不信
データ・根拠に基づかない「勘と度胸」の交渉は、サプライヤー側の信頼を喪失しやすく、逆に足元を見られてしまう。
このような収益悪化のシナリオは、一度発生すると継続的な企業競争力の低下につながっていきます。
業界全体の旧態依然とした体質にどう対峙するか
バイヤーもサプライヤーも「言葉に出せない不満や不安」を抱えながら、状況が大きく変わることはありません。
特に、下請け工場や中小規模のサプライヤーの場合、顧客の属人見積や値下げ要求に「イエスマン」でいるうちは安全ですが、収益機会や成長性はなかなか高まりません。
一方で、大手企業であっても「ベテラン依存の属人化」が解消できないままだと、M&Aや事業再編のタイミングで情報伝達の壁や突然の業務停滞となって跳ね返ってきます。
ここに、アナログな業界にも強く残る「根深い経営課題」の本質が隠されています。
ラテラルシンキングで考える:突破口はどこにあるか?
現状打破には通常の延長線ではなく、従来型の「垂直思考」から脱して「ラテラルシンキング」の活用が必須です。
属人化排除の第一歩は「問いの再設定」
多くの現場で「この人しかできない」は無意識のうちに正当化されがちです。
しかし一旦、問いかけを変えてみましょう。
「この人しかできない」理由は、どんなナレッジやプロセスが隠されているからなのか?
「その場限り」の交渉や値積みを「見える化」「標準化」するには何が必要か?
この「問いの再設定」が現場改革の第一歩となります。
属人化解消のための具体的アプローチ
属人化した見積作成を解消し、利益確保体制をつくるには、以下の観点が有効です。
1. 暗黙知の形式知化
– ベテラン担当者の見積算定、原価の積上げロジック、過去の成功失敗パターンをインタビュー→マニュアルやテンプレート(デジタル化)に落とし込む
– 工程原価や外注費、材料値動きもリアルタイムで連携できる仕組み作り
2. DX・ITの段階的導入
– クラウドベースの見積管理、AI推定による「仮説価格」の自動算出、過去見積実績の解析によるベンチマーキング
– システム化とあわせて「現場に使いやすいUI設計」「属人化しやすい部分=フリーテキストを減らす工夫」をセットで行う
3. 見積プロセスの多能工化
– 見積作成を一本化せず、工程・品種ごとにローテーション制やクロスチェック文化を導入する
– 人的資源の再配置で病欠・繁忙ピークにも柔軟に対応できる仕組みとする
4. 数値目標・客観データを活用した交渉
– 社内利益率のボーダーライン設定、価格決定の根拠を「見える化」することで、客先・サプライヤー双方に納得感ある交渉を実現
5. インセンティブと学習評価のしくみ
– 属人的な「勘」に頼るのではなく、学習成果や改善提案を評価し、全社的な知見の水平展開を促す
こうしたアプローチは、単なる「システム導入」や「マニュアル化」だけでなく、「現場の納得」と「継続的改善」の両輪で考えることが肝要です。
まとめ:属人化からの脱皮が製造業の未来を拓く
見積作成の属人化に起因する利益確保の困難さは、他の部門や業務にも必ず波及します。
属人化を理由に旧態依然のやり方に閉じこもる時代は、すでに終わりを告げています。
変化の激しい現代の製造業では、情報資産の形式知化とデータドリブンな交渉力が事業継続の最大の武器になります。
バイヤー志望の方、プロのサプライヤー担当者の方への提言としては、
– 見積作成の属人化をただの「伝統」や「仕方がないこと」と思わず、新しい疑問、新しいやり方に一歩踏み出してみる
– DXだけでなく、現場へのインタビューや業務フローの徹底可視化から着手する
– 利益確保のための「標準プロセス化」と「実践的な現場改善」を両立させる
このアプローチが、デジタル大競争時代に負けない製造業の強靭な経営基盤をつくります。
属人化からの脱皮は一朝一夕にできるものではありません。
しかしラテラルシンキングを駆使して小さな成功事例を積み重ねていくことで、やがて業界全体の慣習や価値観すらも塗り替えていくことができます。
製造業の未来は、「過去の勝ちパターン」ではなく「横断的な知の集積」と「新しい視点」にこそ、真の突破口があるのです。
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