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小ロット多品種対応を強みに海外ブランドOEMを獲得する提案力

目次
はじめに
現代の製造業界において、小ロット多品種生産への対応力は、かつてないほど高い付加価値を持ち始めています。
特に海外ブランドのOEM(相手先ブランド製造)案件を獲得する上で、柔軟な生産対応と提案力は差別化の重要な武器です。
この記事では、現場感覚に根ざした視点から、小ロット多品種対応を強みに海外ブランドOEMの案件を勝ち取るための実践的な提案力の磨き方について解説します。
小ロット多品種生産が求められる背景
グローバル市場で台頭する「個別化ニーズ」
少量生産で多品種を手掛けるニーズは、グローバル市場における消費者の多様化・個別化によって加速しています。
ファッション、家電、インテリア、雑貨など、海外ブランドが求めるのは「独自性」のある商品です。
大量生産よりも、むしろ「短納期・小ロットで柔軟にバリエーション展開できるサプライヤー」が重宝されているのが現状です。
サステナビリティとヒット予測困難時代の生産戦略
世界的なサステナビリティ意識の高まりで、在庫リスクや廃棄ロスを最小限に抑えたいという意識が高まっています。
ヒット商品を見極めにくい市場ゆえに、小ロットでのテスト販売や、需要に応じたスピーディーなモデル追加がOEM生産にも求められるようになっています。
昭和的アナログ現場からの脱却と進化
旧来の大量生産主義が抱えるリスク
かつての製造業は「大量・低コスト」こそ正義という価値観が根強いものでした。
しかし今や、過剰在庫や柔軟性の欠如が大きなリスクとなっています。
生産計画や受注対応が固定的だと、変化の激しい海外ブランドの要求に応じきれません。
日本の多くの工場が依然として紙ベースや口頭伝達中心のアナログ文化で動いており、これが現場の「変化対応力」を鈍らせる要因となっています。
デジタルツール×現場力で提案型サプライヤーへ
電子帳票、IoTシステム、デジタル在庫管理などの導入は、サプライチェーンの可視化と素早い意思決定をサポートします。
現場の職人力と、こうしたデジタルツールを融合させることで、海外ブランドへの「提案型OEMパートナー」へと進化できます。
小ロット多品種対応力がもたらす顧客への安心感
「少量×多バリエーション」で試作~量産を一貫サポート
例えば、ファッションブランドは毎シーズン新たなトレンドを盛り込んだ多数のSKU(最小管理単位)で市場投入します。
バイヤーとしては、トレンド予測が難しいため少量から市場投入し、ヒットを見て増産したい。
このとき、サプライヤーが初回ロットを小回りよく納品し、かつ同じ品質でリピート量産も保証できる―この安心感こそが、次回も発注したいと思わせる最大のポイントになります。
工程統合・柔軟なライン編成の重要性
業界の中には「多品種=段取り替え負担増=生産効率悪化」と消極的なイメージを持つ現場も少なくありません。
しかし、生産ラインをモジュール化し、最小限の段取り替えで多品種対応できる柔軟な仕組みづくりが、まさにこれからのサプライヤーには求められます。
現場発!海外バイヤーを納得させる提案力
「御用聞き」から「一緒に売れる製品をつくる」姿勢へ
海外のOEMバイヤーは、「価格」「納期」だけでなく「商品の魅力を最大化する手法まで提案してくれるパートナー」を求めています。
単なる御用聞き・価格競争型の受け身サプライヤーから一歩抜け出し、試作段階から「この素材ならロスが減り納期短縮ができます」「新工程の導入でバリエーション展開が容易になります」といった具体的な手法や数字を提示できることが重要です。
ニッチ市場への着眼と製品企画の協働
小ロット多品種対応力のある日本の工場は、英語などでコミュニケーションできる若手人材を起点に、現地マーケットリサーチ力を組み合わせて「バイヤーと一緒に売れる製品案を創る」体制への転換も進めています。
例えば「素材の提案」「組み合わせ発想」「現地規制や通関対応ノウハウの提供」など、製造技術と現場知の融合こそが生き残りの鍵となります。
アナログ業界で根強く続く“目利き力”を武器に
デジタル化だけでは補えない「勘所」
AIやIoTが進化しても、昭和から連綿と続く現場の“目利き”や“ノウハウの伝承”は決して失われていません。
微妙な色味の再現や、手触り・堅牢性といった定量化しにくいスペックは、日本の現場に息づく経験値がアドバンテージになります。
「バイヤーの品質要求の“本質”」を嗅ぎ取り、数字以上の部分で納得させられるのが、アナログ業界で磨いた現場力の真価です。
多品種化による現場の自律性と提案力の強化
製造現場を多品種小ロット型へ転換すると、一人一人の裁量が大きくなり「現場発」のアイデアや気づきが増えます。
海外バイヤーへ納品するうちに、現地のニーズやクレーム傾向、トレンドセンサーが磨かれ、「こう改善したら売上が伸びる」「ここを仕様変更すべき」といった現場発の提案がよりダイレクトにバイヤーの心に届きます。
海外ブランドOEM獲得を実現するプロセス
1. ターゲットブランド選定と徹底的な市場リサーチ
自社が対応できる小ロット多品種の“最大値”と製品ジャンルの強みを明確化し、その技術がフィットするブランドを選定することがスタートとなります。
ターゲット国の流行、競合サプライヤーの動向、現地消費者の特徴などを調査し、「強みのある部分で勝負する」「価格勝負ではなく提案力で差別化する」戦略を練ります。
2. プレゼン資料&サンプルで“現場発の提案力”を体現
海外バイヤーへのプレゼンテーションでは、①工程柔軟性、②段取り替えの迅速さ、③品質・納期の保証体制、④過去事例(他のブランドでの実績)、⑤現場から発案した新素材や工程短縮案―これらを具体的に示しましょう。
試作品やミニマムロットでのテスト提供を通じ、現場力の高さ・対応の柔軟性を「モノ」と「実績」で証明することも効果的です。
3. 現場スタッフ総出の“ウォークスルー”で信頼構築
オンラインプレゼンの時代とはいえ、最終商談段階では現場見学・ウォークスルーの重要性が増しています。
現場の日常オペレーション、クイックな工程変更、現場スタッフの知見などを実演し、バイヤーに「現場力」の信頼感を植えつけることで、受注の決定打となります。
今後の小ロット多品種対応工場のあり方
“全員参加型”現場改善と人材育成
小ロット多品種生産は、従来以上に現場の柔軟性・自主性が問われます。
工程ごとにリーダーや改善係を配置し、全員が「どうしたらもっと柔軟に、もっと品質を高められるか」を意識した活動がさらに重要になります。
また、DX(デジタル変革)推進とあわせ、コミュニケーション力や海外視点を持った若手育成も不可欠です。
日本の現場発“高付加価値型OEM”の未来
AI自動化・IoT導入が進んでも、現場での微調整や独自工夫力、サプライチェーン全体を見渡す勘所は、日本独自の“現場の底力”です。
これからは「変化を価値に変える力」「自社の技術を言語化し提案する力」がより強く求められます。
小ロット多品種対応は、単なる生産方式の転換ではなく、日本発グローバルブランドとの“共創型パートナーシップ”への第一歩となるのです。
まとめ
小ロット多品種生産の強みを最大限に活かし、海外ブランドOEMの案件を獲得するには、現場の柔軟性、人材の自律性、そして何より「現場知×デジタル」の提案力がカギを握ります。
アナログ業界に根付く勘所と、最新技術・グローバル視点との融合こそが、製造業の新しい競争力になります。
現場発のアイデアと改善力、積み上げてきた昭和的価値観の強みを活かしながら、さらなる高付加価値OEMパートナーとして成長を目指しましょう。
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