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投稿日:2026年2月19日

セキュリティソリューションを外注した場合のメリデメ

はじめに

製造業では、近年ますますITへの依存度が高まり、情報セキュリティ対策が不可欠になっています。
とりわけ、生産管理や調達購買、品質管理などの現場におけるデジタル化が進展する中で、サイバー攻撃への脅威は年々巧妙かつ高度化しています。
こうした背景のもと、セキュリティソリューションを社内で抱えるべきか、それとも外部に委託(アウトソーシング)すべきかという議論がますます重要になってきました。
本記事では、工場出身者ならではの現場目線と業界特有の背景も踏まえて、セキュリティソリューションを外注した場合のメリット・デメリットを深く考察します。
バイヤーを目指す方や、サプライヤーの立場でバイヤーの考えを知りたい方にも具体的な示唆をお届けします。

1. 製造現場とセキュリティの現状

1-1. 昭和的アナログ業態に根強い油断

未だにファックスや伝票処理が現役で活躍している現場も少なくありません。
こうした業態では、デジタル化の隙を突いた攻撃や物理的なセキュリティの破綻が生じやすいという歴史的背景があります。
加えて、機密情報や図面、レシピなどが紙ベースやごく簡素な電子ファイル管理にとどまっている実態も見られます。

1-2. なぜ今「外注」が急増しているのか

IT人材の不足、特定社員への過度な属人化、最新技術のキャッチアップ難といった課題が複合的に表面化しています。
大手企業といえども、自社独自で時流に即した最適なセキュリティ対策を講じるのはハードルが高く、専門知識・ノウハウ・人材を外部委託によって補おうとする流れが年々強まっています。

2. セキュリティソリューション外注の主な形態

2-1. フルアウトソーシング

サイバーセキュリティ全般を外部ベンダーに一括で委託する方法です。
システム監視から脆弱性対策、教育に至るまでパッケージとして提供されます。

2-2. スポット/部分委託

ネットワーク診断や社内ヘルプデスクの一部、セキュリティ教育プログラムのみなど、現場の課題に応じて限定委託する形態です。

2-3. コ・ソーシング(共同運用)

自社担当者と外部パートナーが常時連携し、役割分担をしながら継続的に業務を進めていく手法です。
最近では多くの大手製造業がこの方式を取るケースが増えています。

3. メリット:なぜ外注が有効と言われるのか

3-1. プロフェッショナルな知見と技術の享受

製造業の現場には、IoT機器や制御システム(OT)などITとは異なる独自機器が数多く存在します。
外部ベンダーは、多様な業界への導入実績や最新のセキュリティ技術、グローバルで標準化した運用ノウハウを持ち合わせています。
このため、自前で構築するよりも漏れなく短期間で強固なセキュリティ体制を整備できます。

3-2. 人材不足の解消と属人化への歯止め

ITリテラシーやセキュリティナレッジに長けた社内人材は、製造現場では希少です。
外部委託を活用することで、特定社員へのノウハウ集中や長期欠員のリスクを軽減できます。
さらに、定期的な教育プログラムやトレンド情報の共有を通して全社員の底上げも可能です。

3-3. コスト予測性と迅速な導入効果

多くのソリューションでは定額サービス型、パッケージ提供型が主流となっており予算計画が立てやすい特徴があります。
また、初期導入の速さや現場負荷の低減も魅力です。
自社のみで企画立ち上げから検証、運用までを完結させるよりも遥かに迅速な体制が構築可能です。

3-4. 継続的なアップデート・最新動向への即応

サイバー攻撃等の脅威は日々進化します。
自社運用では後手に回りがちなアップデートやパッチ管理も、ベンダー側にリスク検知・対策運用が組み込まれているため、現場に最も求められる「安心・安全」が持続しやすくなります。

4. デメリット:外注に伴う落とし穴とリスク

4-1. コミュニケーションギャップと「現場感覚」喪失

セキュリティ業務が外部パートナー主体になりすぎると、実際の現場運用やヒト・モノ・カネの管理のリアリティが伝わりにくくなります。
特に、工場特有の機械設備やライン現場の動線に紐づいたリスクは、現場を知らない外注先にはイメージしきれない場合があります。

4-2. 情報漏洩やベンダーロックインの危険性

外注先に経営中枢データや製造工程の詳細が開示される状況は、サプライヤーや競合他社への情報流出リスクにつながりかねません。
また、ベンダー独自のシステムや管理手法に深く依存しすぎると、乗り換えや自社運用への移行時に高いコストや業務断絶が発生しやすくなります。

4-3. 緊急時対応や責任範囲の曖昧さ

障害やインシデント発生時に「どこまでが外注先の責任か」「現場がどこまで自主的に動けるか」について明確なルール設定が必要です。
体制整備が不十分だと、イレギュラー時の初動対応や、復旧までのスピードが大幅に低下するケースも生じます。

4-4. コストの長期化・逆転リスク

初期は安価に思える委託費用も、拡張やカスタマイズ、追加対応が重なることでコストメリットが薄れるケースがあります。
とりわけ、万一サイバーインシデントが発生した場合の復旧費用・契約外対応料はしばしば想定を超えるため、入念な比較検討と契約管理が必須です。

5. 成功の秘訣:現場発信型の協働体制へ

5-1. ベンダー選定時の「現場立ち会い」

セキュリティソリューションの委託先を選定する際は、必ず現場ヒアリングや実機の視察を組み込み、現場ボトムアップの意見形成を強く推奨します。
製造現場ならではの一手間や運用課題を事前に十分伝えることが、後のトラブル防止と導入効果の最大化に直結します。

5-2. 定期的なKPI・運用評価

委託後も、ベンダーとの契約任せきりにせず、定期的なKPI設定やサービス品質評価、業務フロー見直しを行いましょう。
例えば、サイバー演習の年数回実施や、セキュリティインシデントの共有会を設けることで「外注だから現場は知らんぷり」状態を防ぎます。

5-3. 属人化防止のためのドキュメンテーション

情報・連絡経路やリスク評価、変更履歴などを体系的に記録・共有しておきましょう。
属人的な運用に偏ると、担当者交代や委託先変更時に苦境を招きます。
特に昭和的な「俺のノート管理」「口伝え」文化が根強い現場ほど、システマティックな文書化が重要です。

6. バイヤー/サプライヤー視点で考えるべきポイント

6-1. バイヤー(委託発注側)が意識すべきこと

・ベンダーの実績や企業規模だけでなく、現場対応力や緊急時サポート、対応地域範囲までしっかり確認しましょう。
・現場スタッフへの教育・リテラシー向上費用を、織り込んで見積依頼・契約交渉を進める姿勢が肝心です。

6-2. サプライヤー(受託側)が注意したいこと

・バイヤーが何に困り、どこまで守備範囲を求めているのかを詳細にヒアリングし、要件定義に反映することが信頼につながります。
・説明責任や文書化の徹底、「現場目線」での運用提案を盛り込み、他社との差別化につなげましょう。

まとめ

製造業という基幹産業では、サイバーセキュリティの「外注」は避けて通れない選択肢となりつつあります。
一方で、技術トレンドや経営判断だけでなく、現場実態やアナログ文化への配慮も絶対に無視できません。
外注のメリット・デメリットを見極め、現場とベンダーが一体となった実践的なセキュリティ体制を築くことが、ひいては日本のモノづくり現場の競争力向上につながります。
メーカーでもバイヤーでもサプライヤーでも、「現場ありき」の視座に立って、共に未来を切り開いていきましょう。

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