調達購買アウトソーシング バナー

投稿日:2026年1月5日

パルパー駆動軸部材の芯ずれ問題と対策

パルパー駆動軸部材の芯ずれ問題と対策

はじめに:昭和型現場でも避けられない「芯ずれ」のリアリティ

製紙工場やリサイクルプラントをはじめ、あらゆる製造現場で長らく稼働しているパルパー。なかでも駆動軸部材の「芯ずれ」問題は、現場担当者にとって永遠の課題です。

いまだにアナログ的な手法が主流となっている職場も少なくありません。昭和から続くベテラン現場力と、今まさに求められているデジタルソリューションの狭間で、芯ずれ問題にどう向き合えば良いのか。

この記事では、大手メーカーでの現場経験と管理職としての視点をもとに、芯ずれがなぜ起こるのか、どこで現れるのか、そして本当に実践的な現場対策まで、分かりやすく解説します。

パルパー駆動軸部材の「芯ずれ」とは何か?

軸芯=マシンの命綱

パルパーの駆動軸は、モーターから伝達されたトルクを羽根車や撹拌部に伝える命綱です。軸受けやカップリングを介して回転が伝わりますが、「芯」がずれていると全部のバランスが崩れます。

芯ずれとは、「理想的な設計通りの軸の中心線」が、何らかの理由でズレてしまう現象です。ミクロン単位の微細なズレから、目視でも分かるような大きなズレまで、現象の幅は広いです。

なぜ問題か?現場での影響

芯ずれが起こると、
– 異常振動の発生
– 軸受部の発熱や異音
– ベアリング、シール類の早期摩耗
– モーターなど駆動系への過負荷
– 最悪の場合、軸の破損・ライン停止

といったトラブルの温床となります。

現場目線でいえば、たかが「芯のズレ」では済みません。生産計画が大幅に狂い、想定外コストや納期遅延を招いてしまいます。

芯ずれが発生する根本原因

設計起因:見落とされがちなマージン設計

– 製造段階での寸法公差管理の失敗
– 設計時に現場環境(熱膨張等)まで考慮していない
– 古い図面を引き継いだまま現場対応している

設計、製造、現場がバラバラに動いている企業に多いパターンです。「この設計通りに作ったはずなのに…?」と責任の押し付け合いになることも。

現場起因:据え付けと保全の現実

– スケジュール優先で据付工事を省略
– 複数の技術者による慣れの違い
– ベテラン流の「勘と経験」に頼りきりで再現性が低下
– 定期点検時に芯出しを怠る

アナログ現場でよく起こる問題です。特に「ラインが止められない」現場では、見えない芯ずれが蓄積し、数年後に大トラブルとなって顕在化します。

経年劣化と外的要因

– 基礎コンクリートの沈下など、設備の土台変形
– 振動や外力、地震による位置ズレ
– 摩耗やガタによるクリアランス拡大

定期的な点検と記録が不十分な現場ほど、「いつの間にかズレていた」という事例に悩まされます。

現場での芯ずれ事例と“本当の被害”

目に見えるトラブル、見えない損失

芯ずれによる不具合事例として最多なのは、ベアリングからの異音や発熱です。「グォーン」「ゴロゴロ」といった音、「焼けた匂い」によって現場で初めて気づくことが多いです。

重要なのは、こうした異音が出るときにはすでに重大な損傷が進行している、という現実です。ラインを止めて調査・修理しなければなりません。

さらに、軸受・カップリングが破損ばかりか、同じラインに複数の影響が波及します。突発停止によるロス、復旧コスト、予備部品ストックの不足、取引先との信頼低下――眼には見えない損失も甚大です。

データでは現れない「勘」と「思い込み」の落とし穴

昭和的現場文化では、「ベテランの勘」に頼った定期点検が今も根強く残っています。精密な芯出しをせず、「たぶんこのくらいで」と据え付けが完了してしまうと、必ず数年後に大問題となります。

筆者自身、ベテラン工の「長年やってるから大丈夫」の一言を信じてライン全体停止、その後のトラブル対応で大きなコストと時間を失った苦い経験があります。

芯ずれの検知・管理・予防のテクニック

軸芯測定の標準プロセス

大切なのは、「設置」も「保全」も原理原則に立ち返ることです。

– ダイヤルゲージやレーザー芯出し工具の活用
– 基準面から芯高・左右のズレ量記録
– 複数拠点でのデータ記録・比較
– 設備稼働後も定期的な再測定

熟練者の“勘”を否定するのではなく、数値化された基準値を必ずセットとすることで、再現性と省人化の両立を目指しましょう。

工場のIoT化で芯ずれ検知

近年では、
– 無線振動センサーの常時モニタリング
– AIによる異常パターン自動検出
– 遠隔監視で早期警報

といったデジタルソリューションも現実化しています。

新人や若手でもベテランクラスの異常検知が可能になり、属人的になりがちな問題も大幅に低減可能です。

日常点検と帳票化、継承ナレッジの整備

手順書や過去事例の記録(トラブルカルテ)は、絶対に紙だけにせず、データ化して社内共有しましょう。

– 芯出し調整時の数値、作業者、トラブル内容
– 写真や動画による記録
– 共通トラブルQ&A

中小零細の町工場レベルでも、簡単なスプレッドシートやタブレットでの記録を仕組み化するだけで「昭和の勘」が「平成・令和の資産」へと進化します。

業界全体の“芯ずれアナログ文化”をアップデートする

なぜアナログ的発想から抜け出せないのか

製造業、とくに工場現場ではいまだに「人頼み」「経験頼み」の文化が強いです。理由としては、

– 短納期・大量生産現場の“待ったなし”プレッシャー
– 過去トラブルの体系的な情報共有が苦手
– 設備更新投資の優先度が低い

といった構造的問題があります。

サプライヤー、バイヤー目線もシビアに持つ

「芯ずれ」のような基礎トラブルは、意外に取引先からも指摘・監査対象となり得ます。

とくにサプライヤー側では、惰性での保全・対応が信用下落につながり、最悪の場合、主要取引停止ということも。

またバイヤーとしては、自社工場の芯出し作業の正確さや再現性を技術力と捉え、サプライヤーの製品や保全体制を評価するポイントにもなっています。

新たな人材像・現場リーダー像が求められる

今現場では、「古き良き文化」と「先端デジタル」との架け橋となるような人材が強く求められます。

– ベテランから現場ノウハウを学びつつ
– データ化・数値化・標準化を推進
– 決して“ぬるま湯”にならず、時に現場へ切れ込むリーダーシップ

こうした人材こそが、これからの製造業現場の真の競争力の源泉となる時代です。

まとめ:芯ずれ対策は「現場目線の根本治療」から

パルパー駆動軸部材の芯ずれ問題は、機械トラブルの根本原因であり、現場の長期的な損益改善・信頼形成のカギとなるテーマです。

現場のベテラン力=「人」、最新IT=「モノ」、実行力=「仕組み」――これらを融合した予防・検知・記録作業が、今まさに加速しています。

芯ずれに悩む方は「何となくやってきた」手順を今一度見直し、現場こそが企業の本当の価値・技術力であるとの自信を持ちましょう。小さな芯のズレが、大きな進化のきっかけとなる時代です。

ベテランも若手も、サプライヤーもバイヤーも、現場発・実践目線で芯ずれ対策に挑んでいきましょう。

ノウハウ集ダウンロード

製造業の課題解決に役立つ、充実した資料集を今すぐダウンロード!
実用的なガイドや、製造業に特化した最新のノウハウを豊富にご用意しています。
あなたのビジネスを次のステージへ引き上げるための情報がここにあります。

NEWJI DX

製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。

製造業ニュース解説

製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。

お問い合わせ

コストダウンが重要だと分かっていても、 「何から手を付けるべきか分からない」「現場で止まってしまう」 そんな声を多く伺います。
貴社の調達・受発注・原価構造を整理し、 どこに改善余地があるのか、どこから着手すべきかを 一緒に整理するご相談を承っています。 まずは現状のお悩みをお聞かせください。

You cannot copy content of this page