投稿日:2025年9月15日

中小製造業から輸入する際に輸送コストを抑える購買戦略

はじめに:輸送コストが利益を左右する時代へ

中小製造業がグローバル調達を進める中で、製品や部材を海外から輸入する機会が増えています。
しかし実際に輸入を行うと、製品価格そのものではなく、輸送コストが利益を大きく圧迫している現状に直面することが少なくありません。
昔ながらの「安いから海外」という発想で動くと、為替や石油価格、国際情勢による運賃高騰ですぐに赤字化もありえます。
この課題は、サプライチェーン全体の透明化やコスト構成の見直し、「昭和のアナログ購買」の脱却が求められていることの証拠といえるでしょう。

本記事では、現場で培った実践的なノウハウと、最新業界動向を踏まえ、中小製造業が輸入時の輸送コストを賢く抑え、利益を最大化する購買戦略を徹底解説します。

なぜ輸送コストが大きな課題なのか

中小製造業の現実と課題

中小規模のメーカーでは、少量多品種・短納期対応が求められます。
海外サプライヤーと取引する際、小ロット調達になることで1個当たりの運賃負担が大きくなりがちです。
また、LCL(混載便)はFCL(コンテナ便)に比べ1立方メートルあたりの単価が割高です。
大手と比較して交渉力や情報力でも不利な立場となり、輸送や通関コストの高止まりが利益率を大幅に圧迫します。

コスト高騰の業界動向を押さえる

コロナ禍以降、国際コンテナ不足や港湾の人手不足、運送業の「2024年問題」など、日本の製造業を取り巻く環境は激変しました。
原油高によるサーチャージ上昇が続き、為替変動も読みにくくなっています。
今や「運ぶコスト」を最適化せずに海外調達を進めることは自殺行為とも言える時代です。

購買戦略1:適正な取引条件とINCOterms(インコタームズ)の活用

INCOterms(貿易条件)の再確認が重要

誰が輸送リスク・コストを負担するのかを正確に把握することは、中小企業こそ重要です。
サプライヤーと交渉時、「FOB(本船渡し)」や「CIF(運賃・保険料込み)」の意味と数字を理解し、自社の体力や調達規模に合わせて最適な条件を選ぶことが肝心です。
FOBは港までサプライヤー負担、そこから先が自社負担となります。
CIFは最寄りの港まで運ばれ保険込みですが、その分サプライヤーの見積に高値が上乗せされがちです。

最適条件を選ぶラテラルな視点

例えば、現地の物流会社やフォワーダーとの直接契約を検討することで、サプライヤーのマージンを排除したコスト削減が可能になる場合があります。
また、「DAP(指定地持ち込み渡し)」条件で日本国内まで一括見積もりを出させ、複数サプライヤー横並び比較をするというのも比較的アナログな業界では効果的な一手です。

購買戦略2:輸送モード選定と積載効率の最大化

フォワーダーの選定と見積もりの取り方

国際物流は一括見積ではなく、同じ条件で複数のフォワーダーから都度見積を取るのが基本です。
特に部品点数が多い中小製造業の場合、空きスペースを他社とシェアする「コンソリデーション」や条件の柔軟な小口混載便サービスを上手に組み合わせましょう。

積載率を賢く上げる方法

梱包仕様の小型化・平準化、パレット単位の荷姿統一、帰り便(リターンカーゴ)の活用など、工場側の現場改善が運賃を大きく左右します。
サプライヤーから納品される梱包資材の無駄を指摘し、「日本式パレットサイズ」指示や、複数品目の一括梱包依頼で立米(㎥)単価を下げる―。
昭和時代の「お任せ調達」から一歩踏み込む知恵と行動力が必要になります。

購買戦略3:納期と在庫の最適化によるコストダウン

発注・在庫管理の見直しで緊急輸送を防ぐ

納期遅延や数次分納による「緊急エアー輸送」は、せっかくの低コスト調達を台無しにします。
生産管理・購買・物流が横串で連携し、発注リードタイムの前倒しや安全在庫水準の確保、サプライヤーの在庫持ち提案(VMI含む)など、中期的な体制構築が必須です。

バイヤーのロジックを理解することが差別ポイントに

サプライヤーの立場でも「物流費込み価格では競争力が弱い」とバイヤーが考えていることを把握しましょう。
納入リードタイム短縮、パレタイジングや小分け出荷など日本側の工場現場に即したサービス提案が、選ばれるポイントになります。
実はサプライヤー側の柔軟な対応力もまた、コスト抑制に大きく貢献できるのです。

購買戦略4:情報を制した者がコストを制す

業界相場・最新情報をキャッチアップ

昔ながらの人脈頼りや、付き合いの長さで決まっていた昭和型購買体制から脱却するには、情報武装が不可欠です。
国際物価や海上運賃、通関規制の動向をデータサイトやネットワークで適宜キャッチアップしましょう。
最近ではAIによる運賃相場予測や最適ルート選定サービスも増えています。

パートナーとのネットワーキング強化

今後はサプライヤー・バイヤー・フォワーダーが全体最適を目指し一体となるべき時代です。
工場のリアルな困りごと、物流現場の制約条件なども正直にオープンにし、パートナーとともに「競争より共創」の発想でコストダウンのアイデアを出し合うことが求められます。

まとめ:ラテラルシンキングで新たな調達地平線を切り拓く

輸送コストの最適化は、単なる値下げ交渉や石油価格の動向頼みではありません。
サプライヤー現地への根回しから梱包仕様、発注計画の見直し、INCOtermsの最適設計まで、現場目線のきめ細やかな工夫と、最新ツール・情報の活用が欠かせません。

中小製造業の皆さんには、ぜひ「予算や過去慣例を絶対視しないラテラルシンキング」で自社にフィットした最善解を探して欲しいと思います。
そして、購買・生産・物流というサイロを超え、サプライヤーや物流パートナーともフラットに意見交換を進めることで、この変化の時代を勝ち抜ける新たな競争力が生まれます。

本記事が、中小製造業の皆さんのビジネス推進・コスト最適化、そして業界全体の生産性向上の一助となれば幸いです。

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