- お役立ち記事
- 各工程での品質重点化による全体品質向上レビューテスト有効化ソフトウェア変更失敗予防
各工程での品質重点化による全体品質向上レビューテスト有効化ソフトウェア変更失敗予防

目次
はじめに:製造業における現場主義と品質重視の本質
品質はものづくりの根本です。
しかし現場では「忙しさ」「納期のプレッシャー」「ヒューマンエラー」など、理想通りにいかない壁が多数立ちはだかります。
昭和から続く“現場の勘”や“属人化した品質管理”のままでは、世界水準の競争力を維持できません。
本記事は、各工程での品質重点化にフォーカスし、全体品質を高めるためのレビューテスト有効化や、ソフトウェア変更時の失敗を予防するための現場実例・業界動向・実践知識を解説していきます。
初歩的な品質管理だけでなく、ラテラルシンキング(既存枠を超えた発想法)を組み込むことで、次世代の製造現場へ進化するための視点も提供します。
品質問題は“現場のサイロ化”から生まれる
高度成長期から続く製造業の組織体制は、多くが“工程ごと縦割り”。
設計/調達/生産/検査——いずれもチームが分かれ、担当思考が染みついてきました。
このサイロ化が「不具合の責任所在不明」「横串の品質管理手法の不統一」など、致命的な品質低下を招きます。
現場あるある
– 「前工程が原因なのに、ウチのせいにされた」
– 「この作業はずっとこのやり方…変える理由が分からない」
– 「レビューは形だけ、実効性に乏しいルーチン」
こうした問題を抜本的に解決しなければ、真の意味での品質向上はありえません。
“工程ごとの品質重点化”の重要性
現場で長年仕事をしてきた私が痛感するのは、「品質は後から作り込んでも間に合わない」ということです。
後工程での“検査強化”だけでは、不良流出のリスクをゼロにできませんし、コスト面でも大きなマイナスです。
“工程内品質保証”の考え方
各工程ごとに、“そこでしかできない品質確保”を徹底することが大切です。
– 設計→設計ミスが後工程に及ばないよう、要求仕様の明確化とレビュー徹底
– 調達→信頼できるサプライヤー選定、入荷時点での厳格な確認
– 加工/組立→標準作業手順の教育徹底、画像・自動化検査導入
– 最終検査→なぜミスが残る?の原因分析と工程へのフィードバック
現場作業員への“なぜそれをやるのか”という動機づけも欠かせません。
現場とデジタルの融合
IoTやAI、自動検査機器を現場活用することも大切です。
「いつ・誰が・何を・どうやって」品質データを記録するか、リアルタイム性を持たせて工程間で情報共有できれば、潜在不良を早期発見しやすくなります。
レビューテストとソフトウェア変更の最新潮流
製造現場はかつて“ハード中心”でした。
近年は工程制御、トレーサビリティ、IoT連携、インテリジェント自動機など、ソフトウェア比率が年々高まっています。
現場で頻繁に遭遇するのが「設備・工程変更時、ソフトウェア更新ミスによる品質事故」です。
レビューテスト有効化のポイント
Point 1:関係者全員の“シナリオ共有”
変更内容・品質要件・現場インパクトを、設計者/生産/保守/品質全員で正しく理解できるレビュー体制を作りましょう。
多忙だからと丸投げにしない、部門横断で“なぜ今この変更を実施するのか”価値を全員理解して進めることが大切です。
Point 2:ハード・ソフト一体の“現場での稼働テスト”
「デバッガ上では正常に動いても、現場設備と連携した瞬間にトラブルが発生する」——これは現場あるあるです。
必ず“現場接地型”の統合レビューテスト、つまり現物検証と現地シミュレーション工程を設けましょう。
Point 3:現場フィードバックループの運用体制
異常信号やログデータは現場で即座にレビューできる仕組みを標準化しましょう。
不具合発生率が下がり、ナレッジの属人化予防にもつながります。
ソフトウェア変更失敗の主な原因と“昭和の落とし穴”
バージョン違いのファーム転送、パラメータ記入ミス、想定されていなかったインターフェースの細かな仕様違い——。
私自身が管理職として現場を見てきた経験でも、こうした“小さな違和感”から大問題になる現場を数多く見てきました。
昭和体質の現場では、未だに「ツール依存・人依存」が根強く残ります。
Excel/紙台帳/ホワイトボードでの記録、属人作業(あの人しか分からない設定)などが標準になってしまっています。
これでは品質の見える化、不具合の予防が困難です。
失敗予防の具体的アクションプラン
1. 変更管理台帳の“工程横断デジタル化”
変更要求・承認・記録・影響分析・結果レビューまで、全てのプロセスをワークフローで管理しましょう。
部門ごとに別ファイルで台帳を作るのは、もう終わりにすべきです。
統合デジタルツール(例:QMS、ERP、専用ワークフローシステム)導入を段階的に推進しましょう。
2. “二重レビュー”と“現場シミュレーション”
担当一任のレビューから、最低2名以上による「ロール分担型レビューテスト」を取り入れます。
また、机上レビューだけでなく「現場想定の異常系テストパターン」を必ず盛り込みます。
3. 教育と“現場ローテーション”
新技術や新手順は属人化しがちです。
実際の現場オペレーターやエンジニア同士の“定期的なローテーション”や“勉強会”を公式に促してください。
ラテラルシンキングで“品質文化”自体を変える
現場が自律的に「よい品質」を生み出すには、失敗体験もノウハウもオープンに共有できる文化が必要です。
上司が“失敗事例をペナルティに使う”のではなく、“再発防止と知恵化”に利用すること。
また、他業界の知見(例えば、情報システム業界のダブルチェック法や医療業界のポカヨケ)を現場流に応用する意識も大切です。
ポイントは「決して今ある仕組みに満足しない」こと。
現場主導で “今の一手先” “今と違うやり方”を常に検証する。
それが“現場目線+ラテラルシンキング”で品質文化を革新するコツです。
サプライヤー/バイヤー目線で捉える品質マネジメント
良いバイヤーは、単にコスト・納期だけでなく、サプライヤーと一体となった品質改善に取り組みます。
「仕入元まかせ」にしないためにも、定期的な工程監査や品質会議、技術交流会を積極的に実施しましょう。
また、「何か問題が起こったらすぐ分かる」現場信頼関係(見える化されたデータ共有)構築が不可欠です。
サプライヤー側としても、積極的な品質提案・独自改善実績のPR、納入後のフィードバック対応力が選ばれ続けるためのポイントとなります。
まとめ:現場目線と本質主義で進化する製造業の品質カルチャー
本記事で述べたとおり、
– 各工程での本質的な品質重点化
– 横断的なレビューテストの有効化
– ソフトウェア変更時の失敗予防
– サプライヤー/バイヤーの双方協働による品質改善
いずれも“現場視点”“ラテラルシンキング”的アプローチが欠かせません。
これからの製造業は、昭和型の精神論・勘と経験のみに頼らず、データ・人材・技術を融合した品質マネジメントへ大きく舵を切る必要があります。
変化を恐れず、毎日の現場改善に磨きをかける皆様が、日本のものづくりの進化を牽引していくと信じています。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)