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品質計画のコアレビュー計画実施重要要素品質評価要素テスト計画

目次
はじめに:製造業の品質計画が持つ本当の意味
製造業において、品質計画は単なる書類作成やマニュアル遵守以上の意義を持っています。
長年現場で培われてきた知恵とノウハウ、そして絶え間ない改善の積み重ねこそが、真の品質を支えています。
本記事では、現場目線に立った「品質計画のコアレビュー計画実施重要要素」「品質評価要素」「テスト計画」について掘り下げていきます。
また、時代の変化に取り残されがちな昭和的なアナログ文化と、デジタル化で変わるべき部分、守るべき部分のバランスにも触れながら、「これからの品質計画」のヒントをお届けします。
なぜ今、品質計画見直しが注目されているのか
外部環境の劇的変化と顧客ニーズの多様化
かつての製造業は、「均一なモノを大量に、低コストで」が大命題でした。
しかし今日では、顧客の嗜好・ニーズは細分化し、高品質・高信頼性を求められる場面が増えています。
不良発生によるブランドイメージの低下や、サプライチェーン全体のトラブルリスクまで拡大しています。
特に自動車・家電分野では、小さな品質問題がリコールなどの大きな損失に繋がるリスクも顕在化しています。
ISOやIATF16949、グローバル品質基準の上昇
さらに、国際標準であるISO9001やIATF16949などの導入が前提となり、単なる帳票作成にとどまらない「実効性ある品質計画」の重要度が年々高まっています。
多様化するサプライヤーとの協働も進み、現場の実態を理解し、実用的かつ柔軟な品質管理が求められています。
現場に根ざした品質計画とは何か
1. ドキュメント管理と実運用の乖離を埋める
品質計画書——たしかにプロジェクトごとに作成し、審査も実施しています。
しかし、現場では「書類作成が目的化」することが珍しくありません。
本来の目的は「現場で何が起きているのかを丁寧に見える化し、適時適切なフィードバックと制御を行う」ことです。
私自身、工場長時代に「紙のマニュアル通りに動けば良い」と誤解する若手に何度も本質を問い、現場の肌感覚と書類の間を翻訳する役割に力を注ぎました。
2. コアレビューと現場コミュニケーション
計画段階から「現場メンバー」を巻き込んだコアレビューがなぜ重要なのでしょうか。
設計チームが作成した理想のプロセスも、実際の現場流れ・設備制約・作業員スキルを無視しては、絵に描いた餅になってしまいます。
コアレビューでは、工程設計者・現場リーダー・品質保証責任者・購買とサプライヤー担当者まで一堂に会すると、課題や盲点が自然に浮き彫りになります。
こここそが品質計画の「生きている部分」、小さな違和感や現場の暗黙知が大きな問題を未然に防ぐ鍵なのです。
実効性あるコアレビュー計画の重要要素
1. QCDSEバランスで見る
品質(Quality)、コスト(Cost)、納期(Delivery)、安全(Safety)、環境(Environment)の5つがバランス良く盛り込まれているかを確認します。
たとえ品質向上を謳っても、コストや納期を無視した改善は長続きしません。
逆に、コストダウンを重視し厳しい納期設定が現場作業のムリ・ムダ・ムラ(3M)を増やし、重大な品質事故につながる例は過去にも多くありました。
2. 事前リスクアセスメントの徹底
設計段階で「どこが壊れやすいか」「どこでバラつきが出やすいか」、FMEA(故障モード影響解析)やDRBFM(デザインレビュー・ベースド・オン・フェーリアモード)などを用いて洗い出します。
この工程は書類上だけでなく、過去の現場トラブルの実例やサプライヤー側のノウハウも加味することがポイントです。
優秀な現場責任者ほど「この部品は毎回コスト優先で出来ているけど、想定外の負荷がかかる工程がある」など、肌感覚のリスクをきちんと発信しています。
3. サプライヤーとの垣根を超えた横断的レビュー
多くの部品が外部から調達される現代の製造業では、設計~調達~製造の壁を取っ払った議論が不可欠です。
バイヤー視点で重視するのは、現場での情報共有スピードとトラブル発生時の即応性です。
一方でサプライヤー側も「自分たちの工程での制約」や「取引先として守るべき秘密情報」を抱えています。
両者の利害調整や歩み寄りを現場で何度「すり合わせレビュー」できるかが、継続的な品質改善の本丸だと言えます。
品質評価要素と改善の現場流アプローチ
1. 定量評価と「見えない品質」の可視化
不良率や歩留まり率といった数値はもちろん重要ですが、「帳票には現れない品質」も重大な経営課題になることが多いです。
私は現場で「現場の異音」「接触したときの肌ざわり」「毎日使う作業者の不満」といった非定量情報を必ずヒアリングし、定量と定性の両軸で品質を見ています。
また、クレームや市場での評価、納入後トラブルをフィードバックとして迅速に品質計画へ反映するための仕組み(たとえば、定例の夜間メンテナンスで現場から直接聞き取りを行うなど)を運用してきました。
2. 連続改善(カイゼン)の文化と見える化ツール
製造現場に根強く残る「責任の押し付け」や「失敗隠し」の文化を、現場改善提案やQCサークル活動で打破してきました。
1人のベテラン作業者の「小さな違和感」こそが、数千万円のコストダウンや重大トラブルの未然防止につながった事例も多いです。
アナログなアイディアも、デジタルで「改善提案データベース」を見える化し、若手がベテランの知恵を検索・応用できる仕組みが今後ますます重要となります。
実践的なテスト計画:PDCAの本質
1. 設計と現物のギャップを埋める試作・検証
試作段階で「設計値」と「実物」のズレを可視化し、想定通りの性能が出るか厳密に確認します。
また、「昼間は問題なかったが、夜間や稼働時間が長くなると不具合が発生した」という潜在不良も、耐久テストや環境試験などの多面的なテスト計画で見つけ出します。
現場では「制約ある中で何を優先してテストするか」の判断が欠かせません。
特にOEMやサプライヤーに外注をする場合、自社で十分な評価ができるよう「評価試験の標準化」「第三者チェック体制」も求められます。
2. リアルタイムなフィードバックと迅速な設計改修
テストの現場で見つかった課題は、その場で工程設計チームにフィードバックし、スピーディーに原因追及・対策を行います。
現場と設計、サプライヤーが一体化し「不良ゼロを目指すより、失敗を早く見つけて直せる文化」が強い現場づくりに直結します。
アナログ現場とデジタル現場に共存する品質管理
1. ベテランの暗黙知×デジタル可視化の相乗効果
「昔ながらの手法を全てデジタル化するべきか?」現場ではたびたび問われます。
答えは、「ベテランの経験値と感性」をIoTセンサーやAI解析で見える化すること。
たとえば、「職人の勘」を温度データや異音センサーで補助し、トラブルの兆候検知に役立てます。
ただ単にシステム化するのではなく、現場の肌感覚と新技術を融合させる運用が鍵になります。
2. 昭和的な「現場主義」から脱却するポイント
昭和の現場文化——口伝え、気合いと根性論、責任の所在が曖昧になりやすい会社都合の運用はもはや通用しません。
現場目線のカイゼンをデータ化・共有化し、定期レビューに組み込む「オープンな品質文化」こそ、次世代の生産方式です。
今こそ、「失敗談をオープンに語り合う場」や「現場から直接経営に意見を伝える仕組み」を構築する必要があります。
まとめ:これからの品質計画に求められること
製造現場は人と人の知恵、経験、改善への情熱から生まれる「生きた品質計画」が命です。
紙面上の品質計画やチェックリストと、現場で日々生まれる知見・気づきを繋ぐ「コアレビュー」「多職種でのオープンなコミュニケーション」「迅速なテストとフィードバック」が両輪となります。
徹底したQCDSEのバランス、事前リスクアセスメント、現場×設計×サプライヤーの垣根を超える協働。
数値だけでなく非定量的な「違和感」も評価軸に加え、アナログな改善文化とデジタル手法を融合する。
失敗可能性を率直に議論し、素早く試し、素早く直す。
これら全てを現場から一歩ずつ推し進めていく営みこそが、昭和から令和への脱皮を遂げる、次世代製造業の品質文化を築く原動力となります。
バイヤー、サプライヤー、現場作業者、それぞれの立場を理解し合いながら、共に高め合う「品質共創」の現場を、皆さん自身の手で築いていきましょう。
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