投稿日:2024年12月29日

乱塊法と分割法、直交表実験計画

はじめに

製造業において、製品の品質向上や生産効率の向上は常に重要な課題です。
そのために役立つ手法の中には、「乱塊法」や「分割法」、さらには「直交表実験計画」があります。
これらは、試行錯誤や無駄なリソースを削減し、目的達成への道筋を明確にするための強力なツールです。

この記事では、これらの技法を実務にどのように活かすのか、具体的な事例を交えて解説し、それぞれの利点と注意点についても触れていきます。
製造業の現場で活躍する皆さまに役立つ情報を提供し、業務改善に寄与できればと思います。

乱塊法とは

乱塊法とは、実験計画法の一つで、実際に現場で計測や試験を行う際に、測定結果に影響を与えかねない要因を無視し、評価対象のみに焦点を当てる手法です。
これは、変動は冒したくないが、避けられない変動がある場合に有効です。
例えば、設備の温度や湿度が物理的に完全に制御できない条件下において、最も効果的な材料の組み合わせを見つけたい場合などに利用されます。

乱塊法の実例

仮に、A工場において新型の合金材料の耐久性をテストする必要があるとします。
工場内の温度が日中に変動するため、同じ条件下での試験結果を得ることができない場合、乱塊法を用います。
材料を複数の「ブロック」に分け、ブロック内ではランダムに試験を行います。
こうすることで、温度の影響を排除し、純粋に材料の組成の違いから生じる差異を見つけ出すことができます。

分割法とは

分割法は、実験設計において、大きな要因をいくつかの部分に分け、それぞれに対して詳細な解析を行う手法です。
これにより、包括的な実験設計における各要因の影響度合や相互作用を明確にすることができます。

分割法の実例

例えば、製品の表面処理の最適化を目指す場合、処理温度、薬剤の濃度、時間など複数の要因があります。
これらすべてを同時に検討するのは現実的に困難です。
分割法では、まずは大きなカテゴリー、たとえば温度に関する変動を明らかにし、その次に濃度や時間のように段階的に分析を進めます。
これにより、最も影響が大きい要因を特定しやすくなります。

直交表実験計画とは

直交表実験計画は、多くの要因を含んだ実験を効率よく行うための計画法です。
直交表はその名の通り正規化された表であり、実験における無駄を極限まで減少させつつ、影響の乏しい要因をも客観的に判断することが可能です。

直交表実験計画の実例

B社で製造工程の新たな導入システムを開発する際、新たな設備投入とオペレーションシーケンスを組み合わせ、最も効率的なコンビネーションを模索する必要がありました。
ここで直交表を用いることで、温度、圧力、人員配置など、考慮すべき複数の要因を押さえた実験設計が可能となり、迅速にベストプラクティスを見つけることができました。
従来のすべての組み合わせを試す方法に比べ、多大な時間とコストの節約を実現しました。

まとめ

乱塊法、分割法、そして直交表実験計画は、それぞれの状況に応じて適切に活用することで、製造工程の最適化や改善に大いに役立つ手法です。
これらの手法を理解し、活用することは、製造現場における競争力の強化につながり、製品の質を向上させる鍵となります。
古典的なアナログ手法を超え、データ駆動型の品質管理を実践するために、これらの手法をぜひ取り入れてみてください。

現場での経験や実務とこれら理論的な手法を組み合わせることで、より実効性の高い改善策を生むことができるでしょう。
皆さまの現場でのさらなる進化をお祈りしています。

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