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糸切れを未然に防ぐリアルタイム張力モニタリングと自動補正制御

目次
はじめに:昭和の製造現場から現代の自動化への挑戦
製造業の現場では、長年にわたり手作業や熟練工の経験による“勘とコツ”が重要視されてきました。
特に糸やワイヤー、フィルム、シートなど、長尺材料を扱う工程では「糸切れ」のトラブルが生産効率や品質に多大な影響を及ぼします。
「糸切れは仕方がないもの」
こうした諦めにも似た慣習は、いまだ多くの工場現場で根強く残っています。
しかし海外企業との競争や人手不足が深刻化する今、糸切れの発生には積極的な対策が求められる時代となりました。
そこで注目されているのが、「リアルタイム張力モニタリング」と「自動補正制御」です。
この記事では、背景となる業界動向から、技術的な実践方法、そして調達・購買やサプライヤーとの関係強化まで、現場目線で深く解説します。
なぜ糸切れが問題視されるのか?現場のリアル
糸切れがもたらす5つのデメリット
まず糸切れが現場に及ぼす影響を整理しましょう。
1. 生産ラインの停止による大幅なロス
2. 不良品の発生や歩留まりの低下
3. 品質クレーム・納期遅延リスクの増加
4. 作業者・オペレーターの精神的な負担増大
5. 糸や材料の無駄な消費による原価高騰
特に現場では、「なぜ切れたのか」「再発をどう防ぐか」に対する体系的な分析が後回しになりがちです。
データの蓄積や活用がされず、“場当たり的な応急措置”に終始してしまうことが多いのが実情です。
背景にある製造業特有のアナログ体質
昭和から続くアナログな作業習慣を払拭できていない理由はさまざまです。
1つは「現場リーダーやベテラン作業者の暗黙知」を頼りにする風土です。
もう1つは、「投資コスト」や「導入・運用の難しさ」。
さらに、「失敗が許されないので冒険しない」。
こうした理由で、新技術の導入には消極的になりがちです。
しかしこのままでは競争力が下がり、人材確保や品質保証にも影響します。
今こそ現場の“新たな地平線”を切り拓く時です。
リアルタイム張力モニタリングとは:具体的仕組みと導入意義
張力管理の重要性と従来手法の課題
張力(テンション)は、糸・ワイヤー・フィルムなどの連続搬送工程で最も重要な管理パラメータの1つです。
従来は…
– 作業者が張力計を持って手動で点検
– 糸のたるみや切れは“目視と経験”が頼り
– 原因究明はトラブル発生後に記録簿を確認
このため不意の糸切れに対応できず、不良や止まり作業が頻発してきました。
リアルタイム張力モニタリングが変える現場
現在は、ロードセルや張力センサを使い、ライン稼働中も“リアルタイム計測”を実現できます。
主な構成例は以下の通りです。
– 張力センサによる24時間モニタリング
– PLCや産業用PCにてデータを収集・表示
– パソコンやスマホでダッシュボード化
– 上限・下限許容値を逸脱した場合のみアラート通知
これにより、“見る、計る、記録する”という人手負担を大幅に削減し、異常の早期発見が可能です。
自動補正制御で切れないラインへ:応答速度と安定化のカギ
自動補正制御の原理
モニタリングだけでは“異常検知”どまりですが、さらに踏み込んだ自動補正も今や主流です。
– 張力値に応じて原材料の供給速度を自動調整(巻出しモータの回転数制御など)
– 瞬時に最適張力へ戻すフィードバック制御(PID制御が代表例)
– トラブル発生時にはすばやく運転ストップや緊急処置
これにより、張力変動によるすり抜け糸切れや、張力不足によるたるみ・寄り・シワも激減します。
高度連携:工場全体のスマート化へ
さらに、ライン毎の張力値・糸切れ回数などをMESやIoT基盤に統合することで…
– 不具合傾向や再発リスクの可視化
– 変動要因(オペレータ交代、原材料LOT差など)の特定
– 保全計画や調達業務へのフィードバック
も可能になり、生産・品質・調達部門が一体で成長できる体制が構築できます。
バイヤー・調達部門の視点:サプライヤーに求める「糸切れゼロ」体制
なぜ調達トップが糸切れに注目するのか
国内外を問わず、「安定生産」が調達バイヤーの最重要テーマです。
特に自動車、エレクトロニクス、医薬品分野ではリコールリスクや納期遅延が死活問題となります。
購買・調達部門は、糸切れの削減がサプライヤー選定のポイントとなるケースが増えました。
なぜなら…
– 糸切れは不良・納期遅延の前兆
– 材料由来なのか製造技術由来なのか両面チェックが必須
– 張力管理履歴や過去のトラブル分析の有無を重視
現場の生産技術・品質保証部門だけでなく、調達購買が現場データまで踏み込む時代に移っています。
調達目線で重要な「糸切れゼロ提案」のポイント
バイヤーや調達部門の信頼を得たいサプライヤーは、単なる「値段」「納期」以上の価値を示す必要があります。
– ライン毎の張力データ記録とレビュー
– 糸切れ発生時の原因調査プロセスと報告体制
– どんな再発防止策・自動化投資を実施したか
– 客先監査への現場データ(エビデンス)提出
こうした取り組みが、価格競争に巻き込まれない「選ばれるサプライヤー」への第一歩となります。
導入に伴う現場の変革~人とデジタル技術の協調がカギ
よくある反発・障壁の乗り越え方
– 「手間が増えるのではないか?」
– 「設備投資が高額になるのでは?」
– 「現場の勘やノウハウが不要になるのでは?」
導入初期はこうした現場の不安が必ず現れます。
しかし、よく考えれば手作業による点検やトラブル時の復旧は「ムダな残業」「人的スキル依存」というリスクを多分に抱えています。
実際の現場では、自動化技術が
– 重労働や炎天下・夜間作業からの解放
– 問題発生時の記録や経過の自動収集
– 若手社員やパート社員でも均一品質を実現
など、人とデジタル技術が互いに強みを補完し合う事例が多く生まれています。
現場リーダー層が“納得して自ら提案”するには
大切なのは、リーダー層自らが
– どれだけ不良・糸切れが減ったか“数字で体感”
– 管理工数や人員コスト削減に直結するか“業務負担の可視化”
– トラブル発生時の“原因追求力”がどれだけ伸びるか
を実感できる運用&定期レビューです。
これにより“やらされ感”から“自分たちの武器”へ意識が変わっていきます。
糸切れゼロを目指して:今日からできる現場改善アクション
1. まずは「糸切れの数値化」からスタート
今どのくらい糸切れが発生しているかを、現状把握。
管理シートやExcelでも集計できます。
2. 現場ヒアリングも忘れずに
オペレータやラインリーダーに、
– どんな時に糸切れが起きやすいか
– どんな対応が大変か
– どんな工夫が有効だったか
をヒアリングし“現場の知恵”も反映します。
3. 小規模でも“自動化”・“モニタリング”のテスト
低コストなIoTセンサーや既存の計測機器での簡易テストから始め、データと現場感覚のギャップを調べます。
4. 成果=数値改善が出たら、全体展開や投資計画に
ピンポイントででも糸切れが減れば、費用対効果も出しやすくなります。
ここで管理層や調達部門、サプライヤーと連携しましょう。
まとめ:競争に勝つ現場はデータと経験が“融合”する
リアルタイム張力モニタリングと自動補正制御の導入は、単なる省人化やトラブル回避を超え、現場が自ら“強く進化”する大きな武器となります。
– 張力データを起点に製造・調達・サプライヤーが協働
– 不良率削減、歩留まり向上、納期遵守で顧客信頼を獲得
– データと経験値の融合による“人材育成”効果も
昭和のやり方から脱却し、「デジタル×熟練ノウハウ」の最前線で競争に勝ち抜く、そんな現場作りにチャレンジしてみませんか。
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