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イベント消耗品のコストダウン相談が経理と現場で食い違う理由

目次
はじめに:イベント消耗品コストダウンの現場と経理のギャップ
製造業において、イベントやスポット業務で使用される消耗品の調達・コストダウンは、日常的な課題です。
特に近年では、原材料の価格高騰やコスト削減プレッシャーがますます強まっています。
一方で、現場で必要とされる消耗品と、経理部門が重視するコストの捉え方には大きなギャップが生じることが多いです。
なぜ両者はしばしば食い違うのでしょうか。
この記事では、長年現場と経理双方に関わってきた経験から、その理由を深堀し、現場目線ながらも経営視点も満たす具体的なコストダウンアプローチを提案します。
現場と経理、それぞれの視点の違い
現場が捉える「必要経費」とは
現場ではイベント消耗品、例えば安全衛生用品や臨時備品、作業補助ツールなどは「必要な経費」として認識されています。
現場で実際に作業する人間にとって、安全・効率・品質の維持に直結するアイテムが多いため、「とにかく無いと困る/仕事が回らない」という意識が強いです。
調達時も「いつもどおり」「必要数はこれくらい」と過去の実績や現場ルールを重視しがちで、コストを細かく見直すことには消極的です。
経理が重視する「全体最適」の視点
一方、経理や経営企画といった管理部門は、「コストの見える化」「全体最適化」「無駄削減」といった定量的・客観的な指標を重視します。
定型品や材料費の削減だけでなく、消耗品についても予算超過の有無や使用頻度の妥当性、業者間での価格競争など、徹底したコスト管理を求めます。
時には、現場にとって微小な出費でも、部門横断で見れば莫大なコストになることがあるため、現場事情や安全面よりも純粋な金額への目線が優先されることもあります。
なぜ意識が食い違うのか?
「見えないコスト」と「見えるコスト」の違い
最大の要因は、現場が感じる「見えないコスト」(作業ロス、現場の安全、士気の低下など)と、経理が数字上で追いかける「見えるコスト」(購買実績、予算、単価)にギャップがあることです。
現場では、安価すぎる消耗品は品質や使い勝手の悪化につながり、作業効率の低下やトラブルの発生要因にもなりかねません。
逆に、経理では「消耗品コスト減=利益向上」と単純な数式で扱うことも少なくありません。
「意思疎通不全」と日本企業の組織文化
特に昭和時代からの組織カルチャーが強く残る日本の製造業では、現場から経理への情報伝達は「上司経由」「稟議ルート再優先」が根強く、直接的なコミュニケーションや意見調整が起こりづらい傾向にあります。
そのため現場も「経理の締め付けが厳しいから…」と諦めや反発感を持ちがちで、経理側も「現場は何も考えず使いたがる」と評価しがちです。
昭和の“取引慣行”も根強い壁
“いつもの業者”指名買い、アナログ手配の弊害
未だに「消耗品はいつもの商社」「見積もりはFAX中心」「条件比較せず最短手配」といったアナログ調達スタイルが強い会社が多く見られます。
これは過去の信頼やトラブル回避の意識が背景にあるものの、昨今のように原材料高騰・物流混乱が常態化する時代には「見直さない=コストアップ要因」へと変わってきました。
現場は「体育会系」のノリで調達担当者が単独で決定する例も多く、経理部門も「イベント費は小額だから深く突っ込まない」など、互いが「まあいいか」で済ませたツケが年々膨らんでいる会社が少なくありません。
抵抗勢力“現場ベテラン”と“経理の若手”の心理
古参の現場担当者は「昔からこれでうまく回ってる」「安物でトラブル起きたら誰が責任取る?」という保守的な心理が強く、逆に経理のリーダー層が若年化し現場経験が乏しい場合、現実を伴わない“コスト至上主義”に走りかねません。
双方が互いの論理や現実を知らずに「相手の視点は理解できない」と無理解・無関心が生まれることで、コストダウンという本来の目的がかえって遠のいてしまうのが現状です。
ラテラルシンキングでコストダウンを再発見する
「現場の声」を“定量化”し経理に伝える
コストダウンの本質は「無駄を省く」ことですが、現場のムリ・ムダ・ムラを現場内だけで消化し、数値化せずに終わらせてしまうのはもったいないことです。
たとえば「安い手袋はケガのリスクが2倍になる」「安価な養生シートは破損が多く、作業時間が20%延びる」など、実際のトラブルや潜在的損失を数値や写真・トラブルレポートで経理部門に届けましょう。
目に見えない“隠れたコスト”が具体化されれば、経理も「単なる消耗品費ではなく会社のリスク管理費」という新たな視点を持つことができます。
「調達プロセス改革」もコストダウンの近道
消耗品の発注・承認フローをデジタル化することで、誰が何をどれだけ発注しているか“見える化”し、現場も経理も共通データで議論できる基盤ができます。
社内チャットや調達システムで「現場の使い勝手」と「経理のコスト意識」がリアルタイムで共有されるだけでも、個別最適と全体最適の連携が大きく前進します。
“部門横断”のコストダウンチームで相乗効果
調達・現場・経理・品質などの担当者が月1回でも消耗品コストについて対話できる機会を設けましょう。
単なるコスト比較ではなく、「なぜ困っているか」「どこが無駄か」「どの業者が協力的か」を率直に意見交換します。
異なる視点の情報が交差することで、思わぬアイデア(例:協力会社まとめ買い、リサイクル活用、ロット単位発注など)が浮かびやすくなります。
この部門横断型アプローチが“ラテラルシンキング=水平思考”の最大の効果を発揮するポイントです。
バイヤー志望の方・サプライヤーの方へ:本音と期待
バイヤー志望者は「交渉力」と「現場理解」の両立がカギ
バイヤーを目指す方には、「現場の事情も理解しつつ、業者ともウィンウィンの交渉ができる中立的立場」が必要です。
コストダウンだけを追求するのではなく、「現場の使い勝手」「納期対応」「安全性」も含めて業者を評価し、単なる価格よりも“総合力”で提案・判断できる資質が求められます。
現場に信頼されるバイヤーほど“現場で一緒に手を動かす経験”が豊富であり、小さな声やトラブルにも耳を傾けられる柔軟性を持っています。
サプライヤー側は「バイヤーの論理」を知ると強い
サプライヤーにとって、「どこまでコストダウン要求に応じていいのか」「現場が抱える本音はどこか」を知ることは重要です。
バイヤーがなぜそこまで単価にこだわるのか、その背後に「経理・経営層の意向」や「社内調達フローの制約」がある場合も多いです。
現場担当者へのヒアリング、使用実績の共有など能動的に情報を取りに行き、自社の製品やサービスが「単なる安さ」ではなく「トータルの価値」として評価される工夫をしましょう。
まとめ:成功する消耗品コストダウンの条件
イベント消耗品のコストダウンは、現場と経理部門で意識や考え方が異なるため単純な掛け声だけでは上手くいきません。
両者の「当たり前」を疑い、部門横断で現実を数値化・可視化しながら対話を重ねることが、古い慣習に縛られた業界の“新たな地平線”を開くカギとなります。
時には現場、時には経理の論理を柔軟に使い分け、「安かろう悪かろう」に陥らず、現場を支える消耗品の価値を正しく評価する視点…
それが現代の製造業現場で、真に強いコストダウンを実現する第一歩なのです。