投稿日:2025年12月24日

売上構成を見直したいが踏み出せない理由

はじめに

製造業において「売上構成の見直し」は経営者や現場担当者にとって一度は必ず議題に上がるテーマです。

特に現代は、競争激化や市場ニーズの多様化、技術進化といった外部環境の変化が急速に進んでいます。

「このまま今の主力製品だけに頼っていて良いのだろうか?」

「値下げ要求に応じて、粗利が減り続けているのに打開策がない…」

そんな不安や課題意識を持っている方も多いのではないでしょうか。

しかし、そうした危機感がありながらも、現実には売上構成の大胆な見直しに踏み切れず現状維持を続ける企業が少なくありません。

なぜ、多くの工場や企業が「売上構成の見直し」に二の足を踏んでしまうのでしょうか。

本記事では、20年以上現場で働き経営にも携わった目線から、その理由や背景を深掘りします。

また売上構成改革の必要性と、実現のための現実的アプローチについてご紹介します。

売上構成とは何か?

「売上構成」の基礎を再確認

売上構成とは、企業の売上の内訳を指します。

主に
・取引先別(A社50%、B社30%…など)
・製品カテゴリ別(製品Xが60%、製品Yが20%…など)
・市場セグメント別(エレクトロニクス向け、自動車向け、海外向け…など)

といった軸で分析します。

この構成を把握することで「売上がどこに依存しているのか」「特定顧客や特定製品にリスクが偏っていないか」といった、自社のビジネスの健全性やリスクを分析できます。

なぜ売上構成の見直しが必要なのか

今まで大きな問題がなかったとしても、ビジネスは常に外部環境にさらされています。

・キーマンの転職・引退などで大口顧客の注文が急減
・得意先の事業方針が変わり受注量が激減
・製品寿命による売上の自然減少

といった要因で、数年単位で見れば「ある日突然、大きな売上源が崩れる」リスクを誰もが抱えています。

実際、2000年代以降のリーマンショック、東日本大震災、コロナ禍など、特定業界に依存していたサプライヤーが大打撃を受けた事例は枚挙に暇がありません。

なぜ見直しに踏み出せないのか

昭和型アナログ企業に強い“惰性”が残る理由

昭和の高度経済成長期を支えてきた製造業では、「一社一筋」「ひとつの取引に全力」という文化が美徳とされてきました。

経営者と大手バイヤーが「長年の付き合い」「紳士協定」で太いパイプを持ち、営業活動も紹介・飛び込み中心という事業運営も当たり前でした。

こうした時代背景から、下請け構造の魅力と限界の両方を感じてきたのが多くの工場経営者です。

長期契約・継続受注が安定収益につながると同時に、「新しいチャレンジはリスクだ」「付き合いを壊すのは良くない」という保守的マインドも根強く残ります。

現実的な「三つの壁」

私の経験則では、売上構成見直しが進まない背景には大きく以下3つのハードルがあります。

1.現状維持バイアス

売上構成を変えるには、当然新規市場への参入や既存ビジネスの見直しが必要です。

しかし新規顧客の獲得は労力もコストもかかります。

一方で今までのやり方を選び続ければ、当面の売上も現場の安定も守られます。

目先のメリットに縛られ「現状維持バイアス」に陥りやすいのです。

2.暗黙の取引継続プレッシャー

大口顧客や古参取引先に売上を依存している場合、
「ウチだけ後ろ足で砂をかけるわけには…」
「もしバイヤーが気分を害して取引を打ち切ったら…」
というプレッシャーが現場マネージャーや営業マンにのしかかります。

知らず知らずのうちに「変化」が忌避され、「ドル箱」依存の状態が常態化します。

3.新しい挑戦への社内合意の難しさ

仮にリーダーが見直しを提案したとしても、工場や営業、調達部門で利害が異なります。

工場:新製品生産の手間やロスを懸念
営業:新規客の開拓コストと効果に疑問
経営:失敗時のリスク管理に保守的
こうした複雑な社内対立も、見直しが進まない理由の一つです。

業界構造の変化とバイヤー・サプライヤー関係の実情

バイヤーに見えている世界

バイヤーの視点では「コストダウン」「リードタイム短縮」「品質安定」といった要求は絶え間なく増えています。

取引先のベンダーも、常に“競合と比較”されており、
「御社のポジションはいつでも代替可能」と暗にアピールされることもしばしばです。

この価値観の変化にキャッチアップできないベンダーは、ある日突然主力顧客から切られることにもつながります。

サプライヤー側が知るべき「バイヤー心理」

実はバイヤーも「新たな仕入先開拓」には毎回頭を悩ませています。

信頼感や安定品質に名実ともに応えられる現場力は、数あるベンダーの中でも希少な資産です。

ただし、そこに安住せず、「他社がやらない価値」や「市場環境の変化を見据えた提案」ができるサプライヤーは、バイヤーから長期的に信頼されやすいのも事実です。

現場発の「おしきせDX」と黒船的変化

近年話題となるスマートファクトリーやデジタル化。

「ペーパーレス」「生産管理システムの導入」など新規分野への投資も加速しています。

ですが、昭和時代からのやり方を根本的に変えるには強い現場力とトップの覚悟が必要です。

多くの中堅工場では「社内システム担当が一人で孤軍奮闘」「現場の反発とイノベーション疲れ」の板挟みに頭を抱えています。

「売上構成改革」へのラテラルな一手

一気に変えず「スモールスタート」する

「売上全体を一気に変えよう!」というのは現場にとって酷です。

まずは
・全売上の5〜10%程度、パイロット的な新市場にチャレンジ
・副次的な製品・サービスで客層分散を進める
…といった小さな進化を現場に根付かせることが、中長期での大きな改革につながります。

データ分析を起点にする

感覚や忖度ではなく、実際の売上・利益・コスト・クレーム発生率などファクトをデータで可視化し、“なぜ見直しが必要か”を論理的に共有しましょう。

これにより社内説得力が増し、合意形成のスピードも上がります。

現場の創意工夫を最大化する仕組みをつくる

製造現場には、日常業務で培われた現場知が数多く眠っています。

現場から挙がる
「このノウハウは他業界でも使えるのでは?」
「外販できる半製品、実はあるのでは?」
といった提案を定期に収集し、経営陣や営業とともに新商品化を検討する「現場巻き込み型」プロジェクトを推進しましょう。

実践的な売上構成見直しのステップ

現状分析から始めよう

最初にすべきは、「現在のビジネス構造の正確な把握」です。

サプライヤー各社、顧客構成、製品ごとの粗利や売上高を棚卸します。

「どの取引先・製品ラインが強みで、どこが課題なのか」を定量と定性で可視化します。

リスクの見える化と優先順位付け

依存度の高い売上や低採算製品、変化リスクが高い市場セグメントを「リスクマップ」に落とし込みましょう。

経営層・現場を巻き込んだレビュー会を定期的に設定すると、社内で危機意識が醸成されやすくなります。

小さなアクションプランを回す

具体的な改善アクションは、大仰である必要はありません。
・既存製品の新用途提案
・取引先多様化のための軽い打診
・社内ノウハウの新サービス化
など、できることからトライしてください。

その小さな一歩が現場の「変われる自信」に直結します。

まとめ:新たな時代の製造業へ——勇気ある一歩を踏み出そう

売上構成の見直しを本質的に阻害しているのは、「変化への抵抗」と「現状に甘える安心感」です。

イノベーションやチャレンジは、小さな成功から始まります。

経営層も現場も一体となり、「やったことのない市場」「売ったことのないお客さま」に恐れず手を伸ばしていきましょう。

現場に眠るノウハウや技術、そして自主改善力こそが、これからの製造業のパワーの源泉となります。

売上構成の見直しは、自社の未来を守る最大のリスクヘッジであり、挑戦のスタート地点です。

今こそ、一歩を踏み出しましょう。

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