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イベント消耗品のコストダウン相談が長期化する理由

目次
イベント消耗品のコストダウン相談が長期化する理由
イベント運営の現場では、消耗品のコストダウンは避けて通れないテーマです。
しかし、実際にバイヤーや現場管理者がサプライヤーとコストダウン交渉を始めても、多くの現場で“思ったより時間がかかっている”という声が絶えません。
なぜイベント消耗品のコストダウン相談は、なかなか進まないのでしょうか。
それには、製造業に深く根付いた業界構造や、アナログな商習慣、そして“昭和型”マインドセットが複雑に絡み合っているのです。
この記事では、製造業の現場で多くのコストダウンプロジェクトを推進してきた経験から、現場目線でその理由を深掘りしつつ、バイヤーやサプライヤー、双方の視点で“きれいごと抜き”のリアルな現状と課題、そして具体的な打開策を探ります。
イベント消耗品に潜む「コスト構造の不透明感」
消耗品は“単価交渉”だけでは語れない
イベントで使用するテープ、名札、ペーパーウェアなどの消耗品は、一見すると「誰でも調達できる、どれも似たようなもの」と考えがちです。
そのため、調達におけるコストダウンも“より安い業者を探して単価を下げるだけ”と捉えられやすくなります。
しかし、消耗品は「消費頻度」「商品の入れ替わり」「物流・納期リスク」「多品種小ロット化」の波を常に受けています。
例えば同じガムテープでも、耐水・耐久性・粘着性などのスペックによって用途が細分化されています。
その上、多品種小ロット要求が増えています。
「急な追加手配」「現地納品」「組み立て済み状態での提供」など、付加価値要求も多様化しています。
こうした個々の対応工数や物流リスク、在庫コストは、サプライヤー側の“隠れコスト”となり、単純なカタログ価格では見えてきません。
バイヤーがこれらの隠れコストを理解ぜずに単純比較で交渉を行うと、必然的に議論が平行線となり、長期化しやすくなるのです。
現場優先vsコスト優先 “価値観のすれ違い”
イベント運営の現場は短納期・突発対応の連続です。
「多少高くても、遅れや納品ミスで現場が混乱するくらいなら“いつもの会社”に頼んでおこう」
この心理は今も強く残っています。
バイヤーが本気でコストダウンを求めても、現場目線では「急な仕様変更に柔軟対応してもらえるか」「いつもの担当者の安心感」の方が重要。
こうした“安心・信頼料”までもが、暗黙のうちにコストに含まれています。
サプライヤー側も、既存業務に組み込まれた細やかなサービスを明確な費用として再提示できず、バイヤー側が提示する“比較用単価”に本当の意味で合わせられません。
この価値観の溝が、調達交渉を“見えない綱引き”状態にしている要因です。
なぜ相談が長期化するのか? 製造業特有の事情から読み解く
1.サプライヤー側の“属人化”と情報更新の遅れ
昭和型のサプライチェーンでは、人脈や過去の取引実績が今も強くものを言います。
「○○さんの現場は△△商事に頼めば大丈夫」「細かい注文は全て電話かFAXで口頭確認」
こうしたアナログなやり取りは、近年の値上げラッシュやサプライチェーン混乱の中で脆弱さを露呈しています。
サプライヤー側も“うちの担当しかできない”ブラックボックス作業、“参考価格”や“昔からの慣習見積もり”で仕入れ原価の詳細を即答できません。
新しいコスト試算や提案は、「担当者の手作業」「他部署との調整」を挟むため、回答までに2週間以上かかることもざらです。
結果として、1回目の打ち合わせ→サプライヤーによる社内調整・見積もり→バイヤー側内部会議というキャッチボールが延々続く構造となり、交渉が3カ月以上にわたることも珍しくありません。
2.バイヤー側の“エビデンス志向”と社内合意の壁
大手企業を中心に、コンプライアンスや社内統制の厳格化が進みました。
バイヤーも「なぜこのサプライヤーを選んだのか」「なぜこの価格なら妥当なのか」を数字や資料で裏付けることが必須です。
現場が「〇〇さんにずっと頼んできたから」と説明しても、監査部門や関連部署から納得を得られません。
一方で、消耗品は市場価格の変動が激しく、全ての品目で“絶対的な基準価格”を持つのが難しい側面があります。
サプライヤーの情報開示や細かな見積根拠が曖昧なままだと、判断材料が揃わず、調査や承認プロセスに時間がかかります。
3.互いに“リスキーな変化”を避けがちな産業体質
昭和型製造業の“失敗しないことが最重要”という組織風土は、今も色濃く残っています。
バイヤーはコストダウンに失敗した場合の現場混乱や責任を回避するため、新規サプライヤーの導入に消極的になりがちです。
一方、サプライヤー側も、値下げ要請に応えた結果「利益を削りすぎてサービスが維持できなくなる」「数年後に契約を切られるリスク」を恐れて踏み込めません。
結果として、“ギリギリ納得できるライン”を探して水面下で駆け引きを続けるため、ゴールが遠のいてしまいます。
実践的コストダウン推進のための突破口とは
「隠れコスト」可視化で交渉の土台を変える
消耗品調達のコストダウンを加速させるには、まずは「単価」以外の費用構造を双方で整理することが肝心です。
運送費・保管費・納品回数・ラベル貼りや組み立てといった周辺作業まで一覧化し、何にコストがかかっているのかを“見える化”します。
具体的には以下のようなマトリクスを作成します。
| 項目 | 現在の委託先 | 新規見積候補A | 新規見積候補B |
|——————|————-|—————|—————|
| 単価 | 30円 | 28円 | 27円 |
| 納品梱包形態 | バラ | 小箱 | 小箱 |
| 納品回数/月 | 8回 | 3回 | 1回 |
| 配送費 | 0円(込み) | 1,000円/回 | 2,000円/回 |
| ピッキング手数料 | あり | なし | あり |
| 緊急発注対応体制 | 当日対応可能 | 応相談 | 対応困難 |
こういった一覧をもとに、「本当に必要なサービスは何か」を現場ごとに精査します。
バイヤーだけでなく、現場管理者・サプライヤー担当者も巻き込んだワークショップ形式での細部確認が有効です。
現場ヒアリングの“深堀り”と業務フローの棚卸し
“なぜ今までA社に頼んできたのか”
“どんな時に困ったのか”
“どういう作業が一番手間だったのか”
現場スタッフや担当者から、現実的な困りごとや“暗黙ルール”まで徹底的に洗い出しましょう。
その中で、「毎回同じ商品名で頼んでいたが、実は毎回色が違う」「納品場所が一定しておらず現場で差し替えなど無駄が発生」といった“非効率ポイント”が浮かび上がります。
これをサプライヤー側と共有し、「本来は梱包方法をシンプルに変更すれば安くできる」「定期配送化で物流コストを引き下げできる」といった現実的な改善アイデアが出てきます。
サプライヤーの“パートナー化”が長期的な糸口となる
イベント消耗品調達で重要なのは、「一時的な値下げ要求に終始しない」ことです。
必要なのは、「どうすれば供給側も適正な利益確保しつつコストダウンが両立できるか」という“共創型パートナーシップ”です。
例えば、サプライヤーと定期的に情報交換を行い、「近々こんなイベントが増える予定」「こういう新素材に切り替えたいが安く提供できるか」といった事前相談を習慣化します。
あるいは、「作業工程の一部を移管する」「まとめ発注・定期配送への協力」といったWin-Winアイディアを一緒に検討し、値引き分の補填となる新サービス・取引条件を同時に交渉します。
また、近年はデジタル化・可視化ツールの活用が進んできました。
低価格のWeb見積もりサービスや、在庫自動管理システムの導入によってサプライヤー側の人力作業負荷を下げることで、取引コストを確実に引き下げられます。
こうした仕組みの共同導入は、「社員の業務改善」「属人化リスクの解消」にもつながります。
コストダウン推進リーダーは“熱意ある調整役”となれ
コストダウンの相談が長期化すると、「もう嫌だ」「仕方がない」と諦めムードが蔓延します。
しかし、現場目線で細やかに業務・コスト構造を可視化し、“バイヤー・サプライヤー・現場”三位一体のチームで改善を続ければ、必ず突破口は見出せます。
業界特有のアナログ商習慣や属人化、変化への抵抗感を乗り越えるには、「なぜこのコストダウンが必要なのか」を現場目線で丁寧に説明し、時には当事者自らが“現場巻き込み型ファシリテーター”としてリードする覚悟が求められます。
調整工程を見える化し、小さな成功体験を増やすことで、組織のマインドセットも変わり始めるのです。
まとめ:コストダウン相談長期化の構造を見極め、突破する力を
イベント消耗品のコストダウン相談が長期化する理由は、単なる価格交渉力不足やサプライヤー側の頑なさにあるのではありません。
その背景には、製造業界全体に根付いたアナログな商習慣、属人化した業務フロー、リスク回避を優先しがちな体質、情報共有不足といった構造課題が横たわっています。
大切なのは、こうした業界の“土壌”を認識した上で、隠れたコスト構造を見える化し、現場・サプライヤー・バイヤーの三角連携で課題を真正面から議論することです。
その先には、「ただ安いだけではなく、安心できる体制」「サービス品質を維持しつつコスト最適化を実現」という新しい地平線が広がっているのです。
自社や現場の成功事例・失敗例を惜しまず公開し、業界全体で知見を共有することもより良い未来への第一歩となるでしょう。
昭和型の“人頼み・前例踏襲”から脱却し、ラテラルシンキングで物事の本質を突き詰める。
そんなバイヤーやサプライヤーが増えてこそ、製造業はより持続的な成長への道を歩めるはずです。
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