調達購買アウトソーシング バナー

投稿日:2025年12月4日

改善しても数ヶ月後に同じ不良が復活する再発リスク

はじめに:再発不良という製造現場の永遠の課題

製造業において、改善活動は日常茶飯事といえます。
製造ラインで発生した不良品に対し、現場メンバーが一丸となって原因を追究し、再発防止策を講じるのは「ものづくり現場」の王道です。
しかし、多くの現場で共通して見られる悩みは、「一度は改善したものの、数ヶ月後には同じような不良が再発してしまう」という現象です。
この再発リスクをどう克服するかは、バイヤーやサプライヤーにとっても死活問題です。

本記事では、現場目線で見落としがちな再発リスクの本質、昭和時代から続く製造現場のアナログ体質、真の再発防止につながる考え方やアプローチを、ラテラルシンキングで深堀りしていきます。
現役バイヤーの方、バイヤーを目指す方、サプライヤーの立ち位置でバイヤーの思考パターンを知りたい方に向けて、実践的な知見をお届けします。

なぜ「再発」は繰り返されるのか?昭和的アナログ思考の壁

根本原因が曖昧な「その場しのぎ」の改善

現場で不良が発生すると、まず要求されるのが「納期重視のスピード対応」です。
取引先からのクレーム対応、品質保証部門からの矢のような指示、そして生産停止リスク。
これらを受け、現場はどうしても「とにかく早く現象を止めろ」という圧力にさらされます。

多くの現場では、応急処置として「ひとまず対症療法」的な対応が取られがちです。
例えば、「怪しい部品のロットを全品目視検査した」「作業員への口頭注意を徹底した」「表示ラベルを赤枠にした」などです。
根本原因が曖昧なまま、場当たり的な対応に追われる姿は、半世紀近く続くアナログ製造現場の“昭和的な仕事観”といえるでしょう。

チェックシートや手順書を作っただけで安心する思考停止

「対策としてチェックシートを追加した」「手順書を見直し、全員に配布した」といった対応は、不良再発リスクへの“お決まりパターン”です。
しかし、半年や一年が経過すると、当初は使われていたチェックシートはいつの間にか記入漏れや形式的な運用に陥り、手順書は棚の奥で埃をかぶっていることが珍しくありません。

つまり、「仕組みやルールで不良は再発しないはず」と思い込む、形だけの安心感が根付いています。
この“形骸化”こそ、昭和から続くアナログ製造現場の死角、ひいては再発リスクの温床です。

なぜ対策が効かないのか:バイヤー視点から見るギャップ

サプライヤーとバイヤーの「再発防止」に対する温度差

サプライヤーからの視点で最も痛感するのは、バイヤーの「再発防止」への要求と、現場の温度差です。
バイヤーは納入不良のたびに、「二度と起こさないでください」「再発防止をお願いします」と繰り返し要請します。

一方で、コストダウンや納期短縮、QCD(品質・コスト・納期)へのプレッシャーは増すばかりです。
本来、徹底的な再発防止には、
・現場プロセスの抜本的な見直し
・適切な人材教育
・工程や設備の改善投資
・工程管理やIoTによる自動化
といった不断の投資と努力が必要です。

しかし、現実には「コストや納期はそのままで、でも不良は出すな」という“無理難題”がサプライヤー側に暗黙のうちに課せられています。
このギャップが、形だけの対策や、本質を突いていない再発防止活動へとつながってしまいます。

バイヤーの本音:なぜ再発リスクを過剰に恐れるのか

バイヤーの立場から見ると、「再発」という言葉は顧客や経営層への説明責任に直結します。
再発=管理能力への信用失墜、という厳しい評価が下されかねません。

従って、バイヤー側は「一度起きた不良が、数ヶ月後にまた出た」だけで重大な問題として捉え、「二度目の再発=サプライヤー変更」や「取引縮小」といった極端な政策判断につながるリスクがあります。
このプレッシャーが、サプライヤーにとっての再発リスク管理の重みを何倍にも増しています。

現場の再発防止策が形骸化する3つの理由

1. 原因分析力の欠如と「なぜなぜ分析」の形式化

トヨタ生産方式で有名な「なぜなぜ分析(5Why)」ですが、実際の現場では本質に迫る“なぜ”を十分掘り下げていないケースが目立ちます。
・事象の表面的な原因にとどまる
・結論ありきで“辻褄合わせ”をしてしまう
・責任回避型の「人のせい」に終始する
結果、改善策も浅くなり、再発リスクが温存されるのです。

2. 標準化の名のもとに“抜け穴”が残されている

現場では「標準化」というキーワードが多用されますが、手順書やチェックシートが運用されていても、裏では“暗黙知”や“例外処理”が温存されています。
・忙しいときは確認作業を省略
・熟練者が後輩に独自ルートを教えてしまう
・工程変更や設備更新情報が伝達されない
こうした運用の隙間こそ、再発リスクの落とし穴です。

3. 教育・現場定着よりも「記録残し」偏重の風潮

是正報告書や再発防止報告書をきれいに作成し、教育した形を残す事がゴールになってしまう会社も少なくありません。
本来大事なのは、
・現場の一人ひとりが本質を理解し納得した運用を継続できるか
・現場スキルの世代を超えた伝承
これが抜けてしまうと、「時間の経過」とともに意識が薄れ、不良が忘れた頃に再発します。

「人と仕組みの両輪」で攻める再発リスクの最前線

昭和から令和へ:現場力の本質的進化が必要

昨今のスマートファクトリー化の流れや、製造業DX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中でも、現場で働く「人」に依存する部分は変わりません。
しかし、昭和から続くアナログ思考のままでは、業界自体の持続的成長も、グローバル競争にも打ち勝てません。

本当に再発リスクを抑え込む現場力とは、「現場で発生するすべてのアクシデントやイレギュラーを、個人の経験や勘に頼らず、組織知として体系化・仕組み化し、かつ人間の行動・判断に定着させること」です。

ヒューマンエラー対策の多層防御アプローチ

・誰がやっても同じ結果が出る「ポカヨケ(バカよけ)機構」
・工程管理のIoT化やカメラ監視による異常トリガー検知
・作業標準を絵や動画、対話型マニュアルなど多言語・直感的に工夫
・現場スタッフへの定期的なワークショップや意見交換会
・管理職による「現場巡視」と双方向コミュニケーション

こうした“多段階・多層化”によって、人間のヒューマンエラー、記憶への過信、慣れによる油断を最小限に抑える仕組みを整えなければなりません。

「失敗の可視化」と「学ぶ風土」が次世代の武器になる

不良再発は、単なるミスや現場の怠慢ではありません。
現代の現場は、多品種少量化、短納期、高度化する工程、グローバルサプライチェーンといった複雑な条件の中で“失敗をゼロにする”のは現実的ではありません。

だからこそ、現場で起きた改善事例やその失敗を「すぐにオープンに共有」し、「なぜ失敗したか」「どこに本質的な落とし穴があったか」を現場全体でナレッジとして蓄積する風土が鍵となります。

業界動向:デジタル変革がもたらす再発防止の新潮流

AI・IoT × 従来の現場知が合わさる次世代品質管理

最新の業界動向として、AIを活用した異常検知や、全工程データのIoT自動収集・解析による本質的な不良予兆可視化が進んでいます。

AIカメラや異音センサーによる「異常パターン自動発見」、大量のトレーサビリティデータを迅速に解析し、人間の勘では見抜けない「隠れた再発リスク」を早期に洗い出す。
こうしたデジタル変革は、昭和型現場管理に“爆発的な変化”をもたらす可能性があります。

ただし、デジタルシステムも万能ではありません。
やはり最後は現場の「気づき力」や「現場目線での判断」が不可欠です。

サプライヤーとバイヤーが「共創」する姿勢の重要性

再発リスクを本当にゼロに近づけるためには、「サプライヤー=品質の送り手」「バイヤー=要求する側」という従来型の関係から脱却し、両者が
・一緒に現場を歩き、
・一緒に問題点を洗い出し、
・共に知恵を絞って本質的な変化を起こす
こうした“現場起点の共創体験”が不可欠です。

バイヤーは「現場の課題や制約」を理解し、サプライヤーは「バイヤーが本当に欲しい価値」を理解する。
両者が情報をオープンに共有し合うことで、数ヶ月や数年単位で「持続可能な再発防止」が築かれるでしょう。

おわりに:再発リスクとどう向き合うか—現場・バイヤー・サプライヤーの新しい潮流

昭和から続くアナログな現場体質、形だけの対策・報告納品文化から脱却し、本質的な現場改善、現場スタッフの成長、デジタル活用と人の知恵を融合すること。
これが、数ヶ月後に同じ不良が復活する再発リスクを劇的に減らすための条件です。

製造業の未来は「人と仕組みの両輪」そして「バイヤー×サプライヤーの共創力」にかかっています。
“何度も再発を繰り返させない”現場力で、皆さまの現場とものづくりの発展に貢献できれば幸いです。

ノウハウ集ダウンロード

製造業の課題解決に役立つ、充実した資料集を今すぐダウンロード!
実用的なガイドや、製造業に特化した最新のノウハウを豊富にご用意しています。
あなたのビジネスを次のステージへ引き上げるための情報がここにあります。

NEWJI DX

製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。

製造業ニュース解説

製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。

お問い合わせ

コストダウンが重要だと分かっていても、 「何から手を付けるべきか分からない」「現場で止まってしまう」 そんな声を多く伺います。
貴社の調達・受発注・原価構造を整理し、 どこに改善余地があるのか、どこから着手すべきかを 一緒に整理するご相談を承っています。 まずは現状のお悩みをお聞かせください。

You cannot copy content of this page