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OEMトレーナーで品質を落とさずにコストを下げる“共通部材活用法”

目次
製造業の現場から見たOEMトレーナーの現状と課題
OEMトレーナー(受託製造によるトレーニングウェアなどの製品)は、ファッション業界やスポーツ用品業界のみならず、多くの製造業で重要なビジネスモデルとなっています。
しかし、OEM生産は受注先ごとに仕様やデザインが異なるため、多品種小ロット・短納期など、現場への負荷が増大しがちです。
一方で、資材や部材の調達コストは削減しつつも、品質の維持・向上が常に求められるという難しい課題を抱えています。
とりわけ、品質への要求が高まる昨今、価格訴求だけで攻め続けることには限界があります。
そこで注目したいのが、「共通部材(共通化されたパーツや資材)」の活用です。
これは昭和からの古い体質が色濃く残る工場や、小規模サプライヤーにも導入しやすく、なおかつ現代に必要なコストダウンと品質確保の両立に有効なアプローチです。
ここでは、OEMトレーナー製造の現場から見た共通部材活用法について、実践的に深掘りしていきます。
なぜ“共通部材”が今、OEMトレーナー現場に求められるのか
多品種化・短納期化する市場への対応
消費者の多様化によって、OEMトレーナーの用途やデザインは千差万別です。
カスタムメイドが主流になりつつあり、「少しの違い」「ブランドならではの特別感」といったニーズへ即応しなければいけません。
このニーズに対応するためには、ラインの柔軟な切り替えや部材在庫の管理が重要です。
共通部材を採用することで、在庫の集約・回転率の向上・廃棄ロスの低減を実現し、結果として生産効率と利益率が向上します。
コスト競争激化の中での勝ち残り策
OEM業界は“価格勝負”の側面が強いですが、「材料コストの引き下げ」はサプライチェーン全体の体質強化なければ実現できません。
共通部材を多品種にまたがって使うことで、大量発注によるスケールメリットを発揮しやすくなります。
取引先からの“値引き要望”に対しても、「ここまではコストダウンできる」「ここから先は品質保証・安定供給のために必要経費」と、論理的で根拠ある説明ができるのが大きな強みです。
共通部材活用のステップ:現場目線で具体化
1. パーツ・仕様の“棚卸し”と分類
まず最初に、自社の製品群の中で共通化できそうなパーツや資材を一つひとつ棚卸ししましょう。
スナップ、ジッパー、ゴム紐、裏生地など、形式・色・径や耐久性など、必要十分なスペックを見定めて分類していきます。
ここで重要なのは、「80:20の法則」を意識することです。
全体の80%を占める標準部材と、20%の特殊部材を切り分けることで、本当に共通化すべきものが明らかになります。
2. サプライヤーとの協働で汎用仕様を設計
購買部門や設計部門だけでなく、現場のベテランや職長、得意先のバイヤーともコミュニケーションを深めながら、“現場で使える共通仕様”を設計しましょう。
昭和的な慣習で「昔からこれ」となっている素材やバッチサイズでも、必要十分な品質とコストの落としどころを議論することで、今いるベテランも巻き込みやすくなります。
また、上流工程の設計段階から「Aパターン・Bパターン」を織り込む方が、“あとから無理やり寄せる”よりも現場負担も小さくて済みます。
3. 強みを生かす“標準仕様マスター”の運用
共通部材一覧の“標準仕様マスター”を運用し、受注時や開発検討時にどの仕様を使えるか即座に引き当てられる仕組みを作りましょう。
BOM(部品構成表)の管理と連動させて、原価試算や標準原価比較、納期見積の精度も格段にアップします。
標準仕様そのものは「生きたリスト」として定期的に見直し、工程トラブルや市場クレームのフィードバックも取り込むことで、社内知見が溜まり続けます。
品質を落とさないためのチェックポイント
基準化と標準化は“品質規格”とのバランスが命
共通部材を実現するにあたり、最低限非常に重視すべきは「品質規格」です。
物性試験や耐久性試験、安全性規格などは先方ブランドごとに微妙に違うケースがあります。
ここを「何でも共通化!安けりゃいいや!」と乱暴に進めてしまうと、市場クレームを招くリスクが高まります。
ですので、共通化部材の“適用範囲”を明文化し、必要に応じて「共通部材A(標準仕様)」「共通部材B(高耐久仕様)」のようなランク分けを行うことが現場実務のカギになります。
昭和式“目視検査万能主義”からの脱却
どうしても「ベテランの目利き」に頼りがちな現場では、共通部材の品質担保においても属人的な工程に陥りがちです。
しかし、デジタル化・自動化の波を活用して、画像検査やIoTによるトレーサビリティの導入を進めましょう。
これにより、品質異常の早期発見や工程内不適合の流出防止が強化され、“誰が担当しても安定した品質”が実現します。
【バイヤー目線】サプライヤーに求められること
バイヤー各社がサプライヤー選定で重視するのは、単なる安値攻勢ではなく、「品質×コスト×柔軟性×提案力」の四軸を高次元で両立できる力です。
共通部材の活用事例、標準原価の強み、トレーサビリティや品質保証体制について、自社の“引き出し”を持っていることは、信頼されるパートナーとして大きなアドバンテージとなります。
「なぜコストが下げられるのか?品質はどう担保されているのか?」といった質問へのロジカルな回答は、バイヤーが安心して任せたいと考える第一歩になります。
今、“アナログ工場”でも変われる理由
日本の中小工場・町工場では今なお「変化に消極的」「長年同じやり方」の風土が根強いですが、共通部材活用は大規模投資やICT化が難しくても取り組みやすい特徴があります。
要は、「意思決定の視点」と「現場を巻き込む合意形成」があれば、一歩ずつ始められるのです。
材料費高騰、人材不足、サプライチェーンの混乱など、激変する環境下で生き残るためにも、短サイクルで知恵を凝らして、現場と購買・営業が一丸となって取り組みましょう。
まとめ:共通部材活用でOEMトレーナービジネスはもっと強くなる
OEMトレーナーの分野で、品質を落とさずにコストを下げるためには、「共通部材活用」というアプローチが強力な武器になります。
昭和的なアナログ現場であっても、現状を棚卸しし、標準化・基準化・品質確保をしながら、サプライヤーやバイヤーとの信頼を深めていけば、コスト競争に巻き込まれるだけでなく、「選ばれる」存在になれます。
今こそラテラルシンキングで、古い枠を越えて新しい仕組みづくりに挑戦しましょう。
現場から“共通部材活用”を進めて、OEM事業の未来を切り拓きましょう。
現場から学び、現場とともに変革する「攻めの調達」「新しいものづくり」のヒントとして、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
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