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消耗品の共通規格化で仕入れ先を集約しコストを下げる方法

目次
はじめに:製造現場を取り巻く消耗品課題
製造業の現場では、多種多様な消耗品が日常的に使用されています。
Oリングやグリス、ボルト・ナット、フィルター、手袋やマスクまで、その種類は膨大です。
それぞれの製品ラインや設備ごとに規格が異なり、現場ごと・担当者ごとに個別発注されることが多くなっています。
このような状況では、調達業務が煩雑になり、サプライヤーの数も増大します。
その結果、発注管理の手間や在庫リスク、また価格交渉力の低下によるコストアップなど、多くの課題につながるのです。
本記事では、昭和的なアナログ慣習が根強く残る製造業界の現場目線で、
「消耗品の共通規格化」と「仕入れ先の集約によるコストダウン」の具体的な進め方や、そのメリット・デメリット、導入事例までを詳しく解説します。
バイヤーやサプライヤーはもちろん、調達・生産管理担当者まで実践的に役立つ内容になっています。
なぜ消耗品調達は「ムダ」が生まれやすいのか
属人化と個別最適が慢性化する現場
消耗品調達の現場では、担当者ごと・現場ごとの“個別最適”が長年根付いています。
「以前から使っているから」
「このサプライヤーが一番早いから」
「AラインとBラインでは使い勝手が違うから別規格で」
といった理由で、調達プロセスや品目が分断されていることが多いものです。
こうした属人化・分断化が進むと、その結果として社内在庫の肥大化や余剰在庫、過剰発注、納期遅延、価格不統一といったさまざまなムダが発生します。
アナログ管理の弊害
多くの製造現場では、消耗品管理はExcelや手書き台帳で行われているのが現状です。
これが情報の見える化を阻み、全社最適の規格化・集約化への第一歩を遅らせています。
消耗品の「共通規格化」とは何か
共通規格化の基本的発想
共通規格化とは、複数の現場・生産ライン・拠点で使用している消耗品について、
「同じ種類・スペックでまとめて調達できるように標準を統一」することを指します。
例えば以下のようなケースです。
– 工場A・B・Cでそれぞれ異なるOリングを使っていたが、サイズや材質を標準化し同一製品で統一する
– 各ラインが別々の作業手袋を発注していたが、用途分類ごとに標準型番を設けて一本化する
このようなイメージです。
規格化の実践メリット
規格化の効果としては主に次の3点が挙げられます。
1. 調達コストの削減
2. 在庫管理の効率化
3. バイヤーの交渉力強化(量的優位)
一定ロット以上の購買が見込めることでサプライヤー側からも値引き提案が得られやすくなり、全体最適が進むのです。
仕入れ先(サプライヤー)の集約がなぜ必要なのか
分散調達のデメリット
現場別・使用部門別に仕入れ先がばらついていると、サプライヤー管理が煩雑になりやすく、全体購買価格の最大化が妨げられます。
発注・検品・請求・支払いの手間も膨らみ、経理面やコンプライアンス面でもロスが生まれます。
現場視点でも、同じような品番がサプライヤーごとにわずかに異なるので、現場混乱・ヒューマンエラーのリスクも高まります。
集約によるバイヤー側の主導権
規格化によって調達数量とロットを集約すると、サプライヤー選定時や価格交渉時にバイヤー側が主導権を握りやすくなります。
「一括集中購買」でより有利な条件引き出しや、緊急時の柔軟な調達にもつながるのです。
消耗品の共通規格化・集約プロジェクトのすすめ方
1. 現状調査とカタログ化
まずは各拠点・ライン・設備単位で実際に使用されている消耗品をすべて洗い出し、「現状の品目リスト」を作成します。
簡易なExcelで「型番・サプライヤー名・月間/年間使用量・使用場所」などを整理し、カタログ化します。
2. 主要アイテムの分類と共通化検討
リストを業務プロセスごと、用途ごと、サイズ・スペックごとに分類し、
「標準品にできる候補」と「仕様上どうしても統一できない例外品」に分けていきます。
業務や工程ごとの専門知識が必要ですので、現場リーダーや工場長、各部門のエース級担当者の協力が不可欠です。
3. バイヤー・購買部門主導でのサプライヤー選定
標準化・共通化できるアイテムは、複数サプライヤーから見積もりを取得し、年間使用量・納期柔軟性・緊急時対応力なども加味して選定します。
可能ならば「サプライヤー統一」「発注書・納品書の一元化」へ踏み込みます。
(一定割合はバックアップサプライヤーも確保できるとベストです)
4. 現場教育と運用フロー整備
規格化・発注ルール改定後は、現場への周知・教育が最重要です。
「標準化カタログを配布」「発注時は必ず型番で指定」「現場からのフィードバック窓口設置」などきめ細かな仕組み作りを行います。
5. 継続的なレビュー・PDCA
共通規格化・サプライヤー集約は“やりっぱなし”では意味がありません。
省力効果やコスト削減効果を定期的にモニタリングし、課題があれば都度フィードバックします。
新規ライン・新設備導入時は、早期から“標準化前提”で製品設計や設備仕様選定を行うことも重要です。
共通規格化とサプライヤー集約の現場事例
事例1:大手自動車部品メーカー・作業手袋の標準化
同社では、拠点単位でバラバラに調達していた作業手袋を、用途・強度・グリップ性能ごとに「標準型番を3種類」に絞り込みました。
全現場の発注を本社購買で一元管理することで、月60万円以上のコストダウンを実現し、
余剰在庫・緊急発注・ヒューマンエラーも大きく減りました。
事例2:プラントエンジニアリング企業・Oリング規格統一
過去、設備ごとに微妙にサイズが違っていたOリングを、「洗い出し→国際規格JIS化→余剰分削除」というステップで統一しました。
これにより、従来10社にまたがっていた仕入れ先が4社に集約され、価格交渉力が向上、年300万円の調達コスト減となりました。
昭和的アナログ現場の「抵抗」をどう乗り越えるか?
共通規格化・集約化を進める際、以下のような現場の“昭和的抵抗感”は避けて通れません。
– 「現場が一番よく現物を知っているから自分のやり方を変えたくない」
– 「専用品の方が品質・性能が良いはず」
– 「トラブル時に対応してくれる地場サプライヤーを切りたくない」
それでも、管理職経験上、繰り返し「現場との対話」を重ねながら、小さな成功事例の積み上げとフィードバック共有で
現場への納得感や“変化する意味”を丁寧に伝え続けることが最大の突破口となりました。
いきなり全社一斉ではなく、まずは特定ライン・モデル工場など小さな単位で効果を見せる“パイロット運用”から始めるのが現実解です。
IT活用と今後の展望
近年では、購買管理システムやクラウド型資材管理ソリューションなどの導入も現実味を帯びてきました。
品目の統一・共通化が進めば、よりIT化のメリット(自動発注、在庫最適化、購買履歴分析)が得やすくなります。
また、最近は大手サプライヤーが「消耗品コンシェルジュ」型サービス(選定・納期管理・値引交渉代行)を展開する例も増えています。
バイヤー志望・サプライヤー目線の参考ポイント
– バイヤー志望の方は、「複雑さをいかに標準化するか」「全社視点の俯瞰力」「現場とのコミュニケーション設計」がポイントです。
– サプライヤー側は、「標準化を推進するバイヤーの意図」を理解し、自社の提案力アップやサービス付加価値強化がますます重要になります。
まとめ:消耗品調達改革で製造業の競争力を高める
消耗品の共通規格化と仕入れ先の集約化は、地味な改善活動ですが、着実に現場のコスト競争力を高め
製造業の“現場力”を次のステージへと引き上げる基盤にもなります。
昭和的な慣習やアナログ文化が色濃く残る現場でも、
一歩一歩、「現場目線」「対話重視」で着実に進めていけば、必ず効果が出ます。
本記事で紹介した仕組みや考え方を、ぜひご自身の現場に合わせて応用し、
調達・生産管理・購買バイヤーそしてサプライヤーの皆様の成長や、ものづくり現場の改善にお役立てください。
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