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外注先の納期回答をフォーム化し電話確認を半減する

目次
はじめに:アナログ製造業における納期回答の現状
製造業の現場では、調達や購買業務において外注先への納期確認が日常業務の大きなウェイトを占めています。
昭和の時代から続く“電話やFAXでのやりとり”が根強く残る現場も多く、エクセルでリスト管理をしていても、最終的には「念のため電話で確認した方が安心だ」と感じている担当者も少なくありません。
一方で、他の業種や海外ではWebフォームやEDI(電子データ交換)が進んでいます。
デジタル化が進むなかで、「納期回答だけは電話確認が当たり前」になっている現場は、効率化の最前線に立つチャンスでもあります。
本記事では、外注先の納期回答を「フォーム化」することで電話確認を半減し、工数削減・業務効率化を図る方法を、具体例を交えてご紹介します。
なぜ納期回答は“電話”がなくならないのか
アナログ文化の壁
製造業では「今までも電話でやってきた」「電話の方が確実」といった過去のやり方に強く固執する文化が根強いです。
また、外注先も高齢経営者や個人事業主が多いと、新しい通知手段の導入には消極的になることが現実です。
こうした文化的背景が、DXの遅れやデジタルツール導入のハードルになっています。
人間関係の安心感とリスクヘッジ
バイヤーもサプライヤーも「万が一、納期が遅れていたら…」という不安があります。
特に大量生産やジャストインタイムが要求されるラインでは、人力でダブルチェックする慣習が抜けません。
この“保険”が、電話文化を温存している大きな要因です。
納期回答フォーム導入のメリット
①抜け漏れの軽減と一元管理
納期回答を電話や口頭で受けていると、記録の曖昧さや聞き間違いが発生しがちです。
フォーム化することで、誰が・いつ・どの商品に対して納期を回答したのかが自動記録され、証跡が残ります。
これらはクレーム発生時にもトレーサビリティが確保でき、大きな安心材料となります。
②業務工数の大幅削減
10社20社と外注先がある場合、毎日電話をし続けるのは膨大な時間と労力の浪費です。
フォームで一斉にリマインド・回答収集できれば、月間100件の電話が20〜30件に削減できる実例もあります。
浮いた時間で調達戦略の立案や、より重要な業務に注力できます。
③外注先の“当事者意識”向上
外注先側にフォームで納期回答をしてもらうことで「自社が納期管理の当事者である」という意識が高まります。
電話だと受け身になりがちですが、フォームの場合は“自分で記入・提出”というアクションを伴うため責任感が育まれやすいのです。
フォーム化に失敗しない導入ステップ
1. 小さく始める&現場ヒアリング
全てを一気にデジタル化するのではなく、まずは主要サプライヤー2〜3社とテスト運用するのがベストです。
現場担当者や外注先の「本音の悩み」をヒアリングしながら、どうすれば無理なく運用できるか解決策を探りましょう。
2. シンプルかつ機能的なフォームを設計
パソコン操作に不慣れな外注先でも利用しやすい、最小限の項目数・明るく見やすい画面設計を心がけます。
入力必須項目は「製品名」「注文番号」「納期(○月○日納品可否)」など、最低限にとどめ、余計な説明や装飾は省きましょう。
GoogleフォームやMicrosoft Formsなどのクラウドサービスを使えば無料で手軽に開始できます。
3. 自動リマインド機能やアラートを活用
回答が未提出の場合、自動でリマインドメールを送る機能を使えば「つい忘れてしまった」という連絡漏れも抑制できます。
また、異常値(納期回答が予定より大幅に遅い等)には特別アラートが出るようにすると、重要案件への迅速なフォローが可能です。
4. どうしても電話のほうが良い外注先には?
一部の高齢サプライヤー、ITに苦手意識が強いパートナーには、フォームではなく従来通り電話やFAX対応を残しましょう。
大切なのは「100%フォーム化」にこだわらず、無理なく現場に馴染む“ハイブリッド運用”スタートであることです。
徐々に慣れてもらい、フォローアップや教育コンテンツを提供しつつ、数年かけて比率を高めていければ十分です。
実際に効果が出た現場事例
ある自動車部品メーカーでは、外注先100社のうち約7割をGoogleフォームによる納期回答に切り替えました。
導入前は「毎日が電話地獄」の状態でしたが、導入3ヶ月後には担当者の電話業務が7割も削減。
外注先の納期遅延も可視化され、重要アラートが出たときだけ電話フォローする体制に変化しました。
また、外注先からも
「納期データが自社のパソコンにも自動保存できるので便利」
「間違いが減り、納品トラブルがなくなった」
という声が挙がりました。
製造業の未来を変える“攻めの購買”へ
フォーム化で削減できるのは面倒な確認作業だけではありません。
データが蓄積されることで、「どのサプライヤーが納期トラブルを頻発しているか」「どの案件が慢性的にギリギリの手配になっているか」など、調達活動の見直しやリスク管理にもつながります。
従来は“守り”の業務だった購買・調達が、現場データと分析に基づく“攻めの交渉”へ進化することも可能です。
アナログ現場の“変革”に必要なマインドセットとは
DX化・フォーム化と言っても、最大の障壁は仕組みより“人の心”にあります。
大切なのは、「現場の不安や反発を否定しない」こと。
「今まで通り電話のほうが楽だ」という担当者の意識や、外注先のデジタル抵抗感を丁寧に受け止め、小さく試行錯誤を繰り返すことで醸成される“これなら大丈夫”という実感を積み上げていきましょう。
また、管理職や上層部も「電話問い合わせがなぜ非効率なのか」「データ化することで購買はこう進化する」というビジョンを現場にしっかり語ることが、変革成功のカギです。
まとめ:バイヤー・サプライヤー両視点で“納得感”ある進化を
電話確認を半減できれば、調達担当のみならず、バイヤーとサプライヤー双方にとって生産性向上・ミス削減・柔軟な働き方推進が可能になります。
フォーム導入は「決して難しくない一歩」。
現場目線・ラテラルシンキングの発想で、まずは一部案件・一部サプライヤーからスタートしてみてください。
昭和のアナログ文化と令和の効率化・データ活用を“いいとこ取り”した、新しい製造業の現場を一緒に作っていきましょう。