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焼結部品のネットシェイプ化で二次切削を無くし総コストを下げる

目次
焼結部品とは何か?現場目線での基本再確認
焼結部品とは、粉末冶金(ふんまつやきん)技術を用いて作られる機械部品を指します。
粉末状の金属材料を型に入れて圧縮し、加熱(焼結)することで固めて形成します。
この技術は、大量生産時のコスト低減や材料利用効率の高さ、複雑な形状を一発で作れるという大きなメリットがあります。
とくに自動車、産業機器、家電などの分野で広く用いられてきましたが、「昭和的な発想」から抜けきれず、未だ切削などの二次加工前提で設計・調達されている現場も多く存在します。
しかし今、これを大きく転換できる潮流があります。
ネットシェイプ化とは?〜切削ゼロを目指す進化〜
ネットシェイプとは「ほぼ完成形」の意味です。
焼結工程で成形したまま二次切削や研削などの後加工を一切せず、そのまま求める形・寸法・機能が実現している状態のことです。
かつての焼結は“近似ネットシェイプ”が関の山で、最終仕上げのために「二次切削」工程が当たり前でした。
たとえば、ギアやブッシュ、カム部品などほぼ全てが、最後はNC旋盤やマシニングセンターなどの機械加工を必要としました。
しかし、粉体物性や成形金型・焼結制御技術の進歩により、二次切削なし、極めて高い制度で「真のネットシェイプ化」が可能になってきたのです。
いわば“昭和から令和へ”大きな進化といえるでしょう。
なぜネットシェイプ化が求められるのか?時代背景と現場の事情
1. 二次切削の負担とコスト圧迫
二次切削を要する場合、焼結工程の後に追加工程(切削・研削・バリ取り・洗浄など)が発生します。
この追加工数が、総製造コストの半分近くを占めることさえ珍しくありません。
自動車産業など100万個単位の大ロット生産であっても、加工作業員の人件費、設備投資、保守工数、工具消耗などが膨大です。
さらに寸法バラつきに対する再調整や歩留まり悪化、品質不良の発生率までも増加要因となります。
2. サプライチェーン全体での効率化
近年は関連工場やグローバルサプライヤーとの「分業」が一般的となり、1つの部品が何カ国・何工場も跨ぐことは珍しくありません。
各拠点での工程増は在庫・リードタイム・輸送コスト・コミュニケーションミスによる遅延など、多大なリスク要因の温床です。
焼結ネットシェイプ化が進めば、間のプロセス・リスクを大幅に削減できます。
また製造リードタイムも短縮され、需要変動に柔軟に対応できる“しなやかな製造現場”を実現できます。
3. SDGs・省エネ・廃棄物最小化への貢献
一発成形ができるということは、それだけ材料ロス=スクラップ発生が少ない点も見逃せません。
切削で発生した切りくず(スワーフ)の回収やリサイクル費用も削減でき、環境負荷低減やコスト効果も得られます。
また工具・電力消費も大きく抑制できるため、省エネやCO2排出低減の流れにも合致します。
焼結部品のネットシェイプ化推進における具体的アプローチ
1. 設計段階での“切削前提思想”からの脱却
最も重要なのは、“これまでの設計プロセス”そのものの見直しです。
現場あるあるとしてよく耳にするのは、「とにかく精度を出したい→最後は削ればいい」という発想。
図面にH7公差やミクロン単位の要求が並び、なにがなんでも切削が必要となる寸法設定になっています。
ここで、まず「焼結で達成可能な公差・形状・表面粗さの見極め」を最初の設計者が理解し、設計段階で切削レス実現に取り組むことが不可欠です。
設計と製造部門、それを受けるサプライヤー、調達担当が連携し合う“チーム”としてのアプローチこそ、ネットシェイプ化推進の鍵です。
2. 材料開発・金型技術の進化との連動
焼結の場合、特殊な合金や複数金属粉末の混合設計・新たなバインダ―など、材料側の進化も目覚ましいものがあります。
最新の粉末制御技術と、焼結時の温度・圧力プロセスの最適化、超高精度一体金型の開発が必須です。
現場では、常にサプライヤーと歩調を合わせて「DoE(実験計画法)」や「FMEA(故障モード影響分析)」などで要素技術を組み上げていくアプローチを取り入れましょう。
また焼結後の歪みや収縮など“癖”も工程設計段階で正確に予測し、データベース化していく地道な努力も不可欠です。
3. AI・シミュレーションの積極活用
今や成形・焼結プロセスはCAx(CAE/CAM)シミュレーションや、デジタルツイン技術でバーチャル上の検証が可能になっています。
部品形状ごとの変形・収縮解析、応力分布シミュレーションなどを設計フロント段階から徹底活用しましょう。
焼結メーカー、大学・研究機関との共同開発や、最新AIアルゴリズムの導入など「デジタル化+現場知見」の両輪で制度向上を図ることが重要です。
ネットシェイプ化がもたらす具体的な総コスト削減効果
1. 直接コストの大幅削減
まず材料利用効率が飛躍的に向上します。
従来の切削では丸棒やブロック材の半分以上が廃棄となることもありますが、ネットシェイプなら90%以上活用可能です。
切削レスのため加工人件費、マシン稼働費、工具・治具代が不要となり、投資回収も早まります。
現場の肌感覚で申し上げれば、従来比20%以上のダウンは珍しくありません。
2. 間接コスト・品質リスクも消滅
加工業者への支給や社内物流など「運搬・倉庫費用」が大幅減。
それによる在庫回転率向上やキャッシュフローの健全化、現場スペース有効利用でさらなるロスカットが可能です。
加えて、工程簡素化により不良発生源が劇的に減り、手戻りコストも抑制されます。
“歩留まり率99.8%”といった驚異的な数字も、現場で珍しくなくなっています。
3. 納期短縮・調達リードタイム革新
工程レス化とジャストインタイム調達が容易になり、全体の生産リードタイムも半分以下に圧縮できます。
現代の「少量多品種・変動生産」にも長けたサプライチェーン構築に直結します。
サプライヤー・バイヤー間での“真のパートナーシップ”が不可欠
ネットシェイプ化はサプライヤー単独では完結しません。
大手バイヤー(発注側)も、設計初期から現場レベルで実現可能な精度・形状・コストの交渉をする必要があります。
サプライヤーの知見やノウハウの吸い上げと共創、型代・開発費のフェアな分担、試作PDCAの互助体制――信頼関係の構築こそ実現の王道です。
「昔ながらの図面投げっぱなし商取引」から、Win-Winのデジタルパートナーシップへの転換が求められます。
まとめ:ネットシェイプ化こそ製造業アップデートの象徴
焼結部品のネットシェイプ化は、「工程の省略=コストダウン」を超えて、日本のモノづくり全体をアップデートする強力な武器です。
人手不足、資源高騰、サステナビリティ要求という時代の大波に、ネットシェイプ技術は見事に応えています。
調達担当者やサプライヤーだけでなく、設計、開発、製造、品質管理など現場全体が一体となり、旧来の常識を打ち破る“知の連携”を進めていきましょう。
「昭和時代の当たり前」から脱皮し、「付加価値」を生み出すネットシェイプ化――その推進こそ、これからの成長製造業に必須の競争力強化策です。
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