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ノベルティを減らすことで逆に手間が増えるケースの実態

目次
はじめに:ノベルティ削減の背景と製造業界の現状
製造業界では、経営効率化やサステナビリティ重視の流れから、ノベルティ(販促品や粗品など)の削減が進んでいます。
経費削減や在庫調整、環境問題への対応など、ノベルティ削減には複数のメリットがあります。
しかし、昭和から続く日本の製造業文化や現場目線で見たとき、単純に「無駄」と切り捨てるだけでは見過ごしてしまう課題も多数潜んでいます。
実際、ノベルティを減らすことで一見コストカットできたように見えて、逆に現場やバイヤー、サプライヤーの「手間」が増大し、生産性や人間関係にマイナスをもたらす事例も少なくありません。
本記事では、ノベルティ削減の「落とし穴」や隠れたコスト、実際の業界事例を交えつつ、より現実的な対処方針について深掘りしていきます。
ノベルティの役割:単なる「粗品」ではない現場メリット
ノベルティの歴史的役割
日本の製造業界では長らく「ノベルティ文化」が根強く続いてきました。
展示会や取引先訪問時、感謝の印や新製品案内などに添えられるノベルティは、単なる粗品以上の存在でした。
「物を渡すことで関係が始まる」「顔が見えない取引先の空気をやわらげる」などのコミュニケーション・ブリッジとして重宝されてきた歴史があります。
昭和の時代は、現場間の人間関係が取引の円滑化に直結していたため、ほんの小さなノベルティが潤滑油として極めて有効だったのです。
ノベルティがもたらす現場メリット
単に無料で物を配るのではなく、ノベルティは以下のような実利的なメリットも担っていました。
・商談前の会話ネタ、アイスブレイク
・展示会後の記憶定着・リマインダー効果
・社内やサプライヤー間での「間接的な情報共有」
・受け取る側も「手ぶらでは帰れない」という商習慣維持
とくに、細やかな気遣いやちょっとしたお土産文化が濃い日本のBtoB市場では、ノベルティの存在は根強かったのです。
ノベルティ削減が手間増加に繋がる実態
形骸化の裏に潜む人的コスト
近年ではSDGsや経費削減を旗印に「ノベルティ削減」が進められています。
予算がカットされ、配布品数が制限され、企画自体が取りやめられるケースも増えています。
一見コストダウンに見えますが、現場では「昨年まで配っていたのに今年はナシ」「いつもいただいていたものが無い」など、落差による違和感や説明対応のための手間が新たに発生します。
特に地方工場や中小サプライヤーとのやり取りには、「ノベルティ=気持ちの表現」と捉えている取引先も多く、これまでの文化や感覚にギャップが生まれやすいのです。
ノベルティ削減後の現場事例
私自身の経験でも、ノベルティの廃止後、商談冒頭で持ち出される話題の減少や、緊張感漂う場面が増えました。
内製購買や調達部署のメンバーからは「ノベルティが無いために、毎回用件だけの用事で終わってしまい、必要な情報ヒアリングや異動の挨拶など小さな雑談機会を持てなくなった」という声も耳にします。
また、サプライヤー側から「御社のノベルティが今年は届かないので、こちらも何も渡さなくてよいのか?」と確認が入ったり、毎年恒例の社内抽選会などイベントを開催していた工場では「何もできず寂しくなった」という人間関係上の困りごとも聞きます。
ノベルティは単なるモノ・コストの問題ではなく、「現場の潤滑油」として多層的な価値を持っていたことが改めて感じられます。
現場が被る“見えない工数”の実態
ノベルティを減らすことで、下記のような“見えない工数”が生まれます。
・定型化されていた一連業務が消え、別の代替対応が発生する
・「なぜ無くなったのか?」という背景説明の問い合わせ・調整業務
・イベント廃止による既存施策の見直し、新しい社内施策の立案
・コミュニケーション不足による意図しない情報伝達ミスや諸問題
これらは帳簿上は「コスト削減」扱いですが、実際には現場やスタッフの負担はむしろ増え、調達先・取引先との距離も広がってしまうリスクをはらんでいます。
なぜ減らせば手間が増えるのか?ラテラルシンキング的考察
顕在コストと潜在コストの違い
ノベルティを減らすことは「支出の削減」というメリットが強調されますが、「ノベルティがあったことで省けていた手間」には気づきにくいものです。
たとえば毎年恒例のノベルティ送付は、すでに社内フローとして定着しているため、担当者ごとの工数はほぼ固定化されています。
削減することで省ける手間は微小ですが、代わりに「社内外からの問い合わせ応答」や「付き合い方の再調整」「念押しや説明資料作成」など、臨時的で予測できない作業が発生します。
この“潜在コスト”こそが、製造業企業の現場で見落とされがちな点です。
アナログ文化が根強い業界特有の要素
日本の製造業は、デジタル化が叫ばれつつも、昭和から続く“慣習”が根強く残っています。
工場長や現場責任者は「顔の見える付き合い」「手土産・ノベルティが当たり前」という空気の中で生きてきました。
突然の削減は、この歴史的経緯や“場の空気”とのズレを顕著にしやすいのです。
単なる経費の問題として短絡的に判断するのではなく、社内外の摩擦や、スタッフの心理的負担増大を慎重に見きわめる必要があります。
バイヤーとサプライヤー、双方から見た課題とは
バイヤー側(調達側)から見た苦労
「ノベルティはもう不要」という方針が上層部から降りてくる。
一方で長年にわたるサプライヤーとの人的関係や、現場の和を考慮した場合、「いきなりゼロ」は難しい。
そんな狭間で苦労する調達・購買の方は多いです。
やりとりの中で「あちらはまだ持ってきてくれるのに、こちらは何も渡さないのは格好がつかない」という場面や、上司から「もう少し気を利かせろ」と言われるジレンマの声もよく耳にします。
サプライヤー側から見た困惑
サプライヤー側では「取引先の機嫌や、購買ご担当の好みに合わせてノベルティを用意してきた」という文化が根付いていました。
特に年末年始や異動時期など、わずかな粗品一つが「相手の気遣い」を示すシグナルとして使われていたのです。
突然の削減で「自分たちの努力が伝わらなくなった」「気持ちが冷たくなったように見える」と感じるサプライヤーも少なくありません。
現場への“説明コスト”や、今後の立ち居ふるまいに迷いが生じるため、逆に「業務手間」は増加します。
ノベルティ削減の新たな地平線―現場視点で再設計する
単なる「ゼロ」ではなく意味づけを変える
ノベルティ廃止=無駄を切る、という単純なロジックでは現場に混乱や手間・疲弊をもたらします。
一方で「せめて意味ある場面で」「ターゲットを絞って数量を減らす」「ローカルな伝統を守る分は確保」など、現場ごとにバランスする道もあります。
たとえば納入トラブル対応時にだけ「謝罪や感謝の意」を示す新しいノベルティのあり方や、デジタルポイント・オンラインギフトへの切替、社内・現場専用の記念品に限定して意義を残す事例など、自社の業務スタイルと現場目線を融合する工夫が求められます。
バイヤーとサプライヤーの新コミュニケーション戦略
ノベルティ削減の方向性自体は時代の流れです。
そのうえで重要なのは、「気遣い」や「関係構築」の手段をノベルティ以外でも設けることです。
例えば
・定期的な現場見学会やオンライン交流
・業界紙への寄稿、サプライヤー感謝状の発行
・ちょっとした社内イベントや記念品の工夫
これらの取り組みは、「物を渡す」から「体験やつながりをつくる」へと発想を転換するきっかけにもなります。
まとめ:現場と本社、双方の納得解を探る
本記事では、ノベルティ削減が逆に手間や工数増加を招く実態と背景を、歴史的・現場的な観点から紐解きました。
経費削減やサステナビリティの観点は重要ですが、業界ごとの文化背景や現場目線を無視した一律的な対応は、逆効果となる場合があります。
大切なのは、「ゼロかイチか」の議論ではなく、
・なぜノベルティが必要とされてきたのか
・どのような精神的・実務的価値があったのか
・削減の代わりに、現場が納得できる新しい施策が何か
を、現場・バイヤー・サプライヤーの三者で深掘り議論できることです。
昭和から令和、そしてその先へ。
現場目線のラテラルシンキングで、新しい付き合い・新しいノベルティの形をともに考えていきましょう。
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