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スウェットの裏毛がふんわり仕上がる糸撚りと機械設定の関係

目次
はじめに
スウェット生地のクオリティを左右する最も重要な要素の一つが「裏毛のふんわり感」です。
特にアパレル分野では、単なる防寒着や作業着からファッション性を重視した商品が増えており、商品価値を決定づけるディテールとなります。
本記事では、長年製造業の現場で蓄積してきたノウハウをもとに、スウェット裏毛のふんわり感を生む糸撚りと機械設定の関係に深く迫り、現場主義で具体的な改善策と最新動向をご紹介します。
裏毛スウェットが愛される理由とは?
スウェットの裏毛は、いわゆる「パイル生地」と呼ばれるループ状になった組織で、肌に触れたときのふんわりした感触が特徴です。
この“ふんわり感”は消費者の購買動機に直結し、価格競争にさらされる製造業の現場でも「差別化される付加価値」として重要視されています。
従来は安さや機能優先で生産されていましたが、最近の消費者は“触感”や“着心地”といった情緒的な価値を強く求める傾向にシフトしており、裏毛の質が商品の売上や評判に大きく関与する時代に移行しています。
ふんわり裏毛と糸撚りの関係
そもそも撚り(より)とは何か
撚りとは、原料の繊維をより合わせて1本の糸にする工程です。
糸の太さや構造をコントロールしながら、強度・伸縮・感触などの物性を決定づけます。
「撚りが弱い」と空気を多く含みやすくなり、柔らかい手触り。
「撚りが強い」とシャリ感やハリが出やすく、耐久性は上がる反面、硬めの風合いになります。
裏毛用糸は撚り加減が命
裏毛スウェットの「ふんわり系」を目指す場合、ループ部分に使用する糸、いわゆる「裏糸」「パイル糸」は極力撚りを甘くした“甘撚り”か、「無撚糸(ぜろよりし)」を選定するのが原則です。
理由は、繊維の間に空気をたっぷり抱くことで、ふっくらとしたボリュームと軽さが生まれるからです。
一方、市場傾向として超甘撚りにしすぎると、洗濯後に毛羽立ちやすいリスクも出てきます。
そのため製造現場では「適度な撚りをどこに設定するか」が、原材料コストや、顧客が求めるふんわり感・耐久性の両立になるカギです。
糸メーカーとの協働
素材メーカー、撚糸メーカーとの連携も大切です。
標準的な甘撚り設定(1インチあたり100回転、40番手なら150~160回転など)からターゲットとする風合いを明確に伝え、何度も現物サンプルを比較しながらチューニングしていきます。
昭和世代から根強く続く「経験と勘」もありますが、近年は空気流量や湿度なども細かく管理する企業が増えています。
ふんわり仕上がる機械設定のポイント
編み機の種類とその特徴
スウェットの裏毛生地は「丸編み機(シンカ―編み機)」で生産されることが一般的です。
設計段階で、本体表面(表糸)、パイル部(裏糸)、中間糸の3本の糸を使い分け、厚みや風合いを調節しています。
最新機種ではマイコン制御や自動給糸装置も搭載されていますが、中堅・中小の工場では今も手動調整が主流です。
機械設定が与える“ふんわり感”への影響
シンカーの深さ
パイルループをどれだけ長く編み出すかは“シンカー深さ”が重要なファクターです。
深く設定することでループを長く取り、内部空間が増してふんわり感が大きくなります。
ただし、ループが長すぎると毛羽立ちやすくラフになり、最終的な耐久性も低下します。
テンション管理
テンション(糸の張力)を下げることで、糸が圧縮されにくくなり、空気の層が多く作られます。
一方で、テンション調整が甘いと編みムラ・寸法不良発生のリスクもあるため、技能とノウハウの蓄積が問われます。
速度と産業用IoT連携
旧来型機械の場合は速度を下げることで糸の余裕を保てますが、最新工場ではIoTセンサーを用いて温湿度・テンション・速度など多変数を自動記録し、AI分析で最適設定をフィードバックする事例も出てきました。
生産現場でも現場担当者の微調整と、自動記録・再現性とのハイブリッド運用にシフトする流れがみられます。
定期メンテナンスの重要性
いくら撚りや機械設定にこだわっても、針やシンカーの摩耗、糸案内装置の誤差など小さな「機械のあそび」が累積すると、ふんわり感や均一性は大きく劣化します。
現場では定期的な設備メンテナンスと、品質管理部門による測定データの“見える化”が必須です。
現場発!もっとふんわりを極めるラテラルシンキング
甘撚り+複合素材で新たな風合い追求
コットン100%だけでなく、近年はバイコム糸(2種類の異素材を撚る)、マイクロファイバー、テンセル混など様々な複合素材も導入されつつあります。
化学繊維の強度・クリンプ性(縮れ)を織り交ぜ、綿の包み込むような柔らかさを併せ持つ「ハイブリッド裏毛」の商品開発が進行中です。
また、反発感のあるふんわり感を求めて、筒状の中空糸を一部導入する試みも現れており、従来の“ふんわり=空気量が多いだけ”という常識のさらに先を行っています。
生産現場の「勘」と「データ」の融合
昭和世代の熟練技能者は、糸の張りや機械の振動音、繊維の匂いなど五感で異常を察知し、目標風合いに達しているかを「体感」で判断してきました。
これに対し最新工場では、AIカメラや自動計測機器をフル活用し、糸径変動や押圧値、噴霧情報などを秒単位で監視しています。
ポイントは「どちらが正しい」ではなく、「技能伝承×先端デジタル技術」のベストミックスを現場現実で追求する姿勢です。
省人化自動化をどうふんわり感につなげるか
自動化機器導入による省人化が進む中、単に“スピード・効率化”のみを追求すると、ふんわり感・生地の風合いが粗悪化しがちです。
近年は自動フィードバック型の装置や、AI判別による品質自動補正機能を実装し、「ふんわり感を人的チェックから定量分析へ」変換しています。
生産計画×品質保証×現場技能者の三位一体体制が、「高級感のある裏毛」時代の新常識となっています。
バイヤーやサプライヤー視点で考える「ふんわり品質」
バイヤー(調達担当)は、つい原価・納期・実績のみを重視しがちですが、「生地の差」こそが最終製品の競争力を左右します。
裏毛生地の企画~生産工程においては、
– 糸の種類・撚りの設計思想
– 原糸メーカーや紡績業者の熟練度
– 編み機メーカー・型番ごとの差異
– 検品や物性試験、官能評価フローの透明性
などサプライチェーン全体を俯瞰して把握し、自社商品に合わせた“工場選定・協業方針”を立てることが求められます。
またサプライヤー側も、単なる「発注通り納品する」だけでなく、
– なぜその撚りを推奨するのか、
– なぜその機械設定がふんわり感に効くのか
などを自信と理論で語れることが、長期的な信頼関係と価格競争力の確立に直結します。
まとめ:アナログの底力とデジタルの革新
スウェットの裏毛がふんわり仕上がるかどうかは、糸そのものの設計、機械の緻密な設定、そして現場の知恵とデータのハイブリッドマネジメントにかかっています。
「昭和の感覚」も「令和のイノベーション」も、課題に正しく向き合いながら柔軟に取り入れれば、必ず世界と戦える高品質が実現できます。
バイヤーもサプライヤーも、現状維持から一歩踏み出し、ラテラルシンキングの発想で“ふんわり裏毛”の新時代を切り開く主役となりましょう。
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