- お役立ち記事
- 過去不良の教訓が引き継がれず同じ不良が繰り返される現場
過去不良の教訓が引き継がれず同じ不良が繰り返される現場

目次
はじめに:なぜ同じ不良が繰り返されるのか
製造業の現場では、過去に発生した不良やトラブルの経験が十分に活かされないまま、再び同じ不良が繰り返されることが多くあります。
私自身、現場で幾度となく「また同じ失敗が出てしまった」という声を耳にしてきました。
その原因は単なるヒューマンエラーだけでなく、業界の古い体質や情報共有の仕組み不足など、構造的な問題が根深く横たわっています。
この記事では、なぜ同じ不良が繰り返されるのか、そのメカニズムや現場の実態、そして今後どう改善していけばよいのかについて、現場目線かつラテラルシンキングによる深掘りをしていきます。
昭和の“現場主義”がもたらす教訓の断絶
昭和〜平成初期にかけて、製造現場は「現場で覚えろ」、「目で盗め」という文化が色濃く根付いていました。
このやり方はOJTを通じて多くの技術者を育てる一方で、経験やノウハウが属人化しやすいという課題を抱えています。
不良が発生した際、ベテランが経験則で対応し、その場では解決したように見えても、そのノウハウが全体に共有されることなく、数年後に異動や退職で“伝承の断絶”が発生してしまいます。
失われる“暗黙知“
日本の現場では『言わなくても分かるだろう』『空気を読め』という同調圧力が今も根強くあります。
しかし、多様な人材が働く現代では、そのやり方が通用しなくなっています。
暗黙知を顕在化させて標準化しなければ、過去の失敗は次世代に受け継がれません。
「本当に大事なノウハウほど引き継がれていない」現状を多くの工場で見てきました。
不良再発の原因:現場と管理の分断
近年、多くの製造業でIT化やマネジメント層の強化が進みました。
その結果、管理システム上では“是正処置”“再発防止案”が立案されても、現場での活動が伴わない“机上の空論”となるケースが増えています。
形だけの再発防止策
不良が起きれば、QCサークルや品質会議で原因分析が行われます。
しかし、報告書のための対策になりがちで、現場の作業者が納得感を持てないまま通り過ぎてしまうのです。
「そもそもその方法は現実的ではない」「現場で本当に実施できていない」といった声が現場から上がらなくなってしまいます。
本来は現場の声を吸い上げ、実際に運用できる仕組みに落とし込むことが重要です。
属人化と「やったつもり」現象
属人化が生むもう一つの問題が「やったつもり」現象です。
作業指示が文書化されていないまま“経験でカバー”しがちで、異動や世代交代のタイミングでノウハウが雲散霧消します。
また、手順や基準が曖昧なまま「前任者のやり方に従っているだけ」という状態も見受けられます。
バイヤー・サプライヤーの視点が変革を促す
日本の製造業は長らく「現場至上主義」が支配してきましたが、世界中から人材・技術・サプライヤーが交流する今日、従来のやり方が限界を迎えています。
ここで重要なのが、バイヤーやサプライヤーの視点から現場の課題を再定義することです。
バイヤーから見た“不良再発”のリスク
調達購買担当者(=バイヤー)は、自社だけでなくサプライチェーン全体の品質リスクを考えます。
もし同じ不良が繰り返されているサプライヤーがいた場合、
・過去の不良履歴が引き継がれていないのでは
・ナレッジマネジメントが機能していないのでは
という大きな不安を抱え、将来的な取引リスクと判断します。
結果として、情報共有やトラブル防止の仕組みが不十分な現場は、信頼を失いビジネスチャンスを逃すことになります。
サプライヤーの競争力を高めるには
サプライヤー側も「現場の失敗を正直に出し、すぐに共有する」「顧客の指摘を契機に自社の体質改善を図る」姿勢が不可欠です。
また、不良発生時の対応力や改善スピードが高い現場・企業ほど、バイヤーから高評価を得る傾向があります。
競争力強化の要諦は「過去の不良や失敗体験を小さな成功に変え、それを全社的な資産にする」ことに他なりません。
現場で「不良の再発」を防ぐ5つの実践策
では、同じ不良の再発を防ぐために、現場ではどのようなアプローチを取るべきなのでしょうか。
これは大手企業も中小現場でも有効な、現場目線かつ実践的な方法です。
1. ナレッジの形式知化・見える化
過去不良の事例や対策を、紙や口頭ではなくデジタルで一元管理し、関係者全員がすぐにアクセスできる環境を作ります。
ポイントは「現場で役立つかどうか」という観点。
単なる報告書のストックではなく、検索性・可読性・現場にとっての具体性を重視しましょう。
2. 失敗事例の“共有文化”の醸成
不良が発生したことを隠さず、むしろ積極的に“シェア”する文化が大切です。
週次や月次でオープンに「失敗を話す場」を設け、失敗を責めるのでなく、次に活かす前向きな雰囲気づくりが不可欠です。
3. 標準作業・手順書の継続的見直し
不良再発を防ぐ鉄板は「標準作業書」「手順書」の定期的な棚卸しです。
古い情報のまま放置せず、現場で“使いやすい手順書”を維持することが要です。
作業者のフィードバックを受けながら、都度アップデートしていきましょう。
4. 品質異常の“流入経路”を可視化
不良が発生した場合、その発生源(何が原因でどこから流入したのか)の流れを図式化して全員で確認しましょう。
原因の可視化こそが、根本対策の第一歩です。
図解やフローチャートを使うのが有効です。
5. 人材多様化時代の“伝える力”強化
技能実習生や外国人労働者、若手世代が増えている現場では「紙と口頭」伝達が限界になりつつあります。
スマートフォンやタブレットで動画・画像を活用する、言語・視覚的に分かりやすい指示を出す、など、伝達手段そのものの多様化が求められています。
新たな地平線:デジタルとアナログの融合現場へ
昭和型の属人的体質から、部分的なIT化、そして本格的なデジタルトランスフォーメーション(DX)への進化が業界課題です。
しかし、全てをデジタルにすれば解決という発想も早計です。
“分かりやすさ”をデジタルが後押し
新しいツールは「現場が分かりやすく使える」ための設計が大事です。
例えば、不良発生時の写真記録システム、音声での事例共有、班単位での改善タスク一覧化など、現場に即した“デジタルとアナログの最適なブレンド”が不可欠です。
現場全体のリテラシー差にも配慮し、誰もが「関わりやすく、分かりやすく」をテーマに設計するのが理想です。
まとめ:失敗体験を“進化の遺伝子”に変える
過去の失敗体験や不良事例は、決して“恥”ではありません。
むしろ「現場を進化させる遺伝子」であり、これをどう組織的に使いこなすかが、製造業における競争力の生命線です。
今こそ、現場+管理+バイヤー+サプライヤー、全員がオープンに「なぜ同じ不良が繰り返されるのか」を問い直し、お互いの知見をつなぐ時です。
デジタル化の波も活用し、現場力×ナレッジ共有の新たな融合に挑戦しましょう。
過去の教訓が強く根付く“現場DNA”を磨き、不良の再発なき“未来志向のものづくり”の文化を、今ここから始めましょう。
ノウハウ集ダウンロード
製造業の課題解決に役立つ、充実した資料集を今すぐダウンロード!
実用的なガイドや、製造業に特化した最新のノウハウを豊富にご用意しています。
あなたのビジネスを次のステージへ引き上げるための情報がここにあります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが重要だと分かっていても、
「何から手を付けるべきか分からない」「現場で止まってしまう」
そんな声を多く伺います。
貴社の調達・受発注・原価構造を整理し、
どこに改善余地があるのか、どこから着手すべきかを
一緒に整理するご相談を承っています。
まずは現状のお悩みをお聞かせください。