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トラックの確保が難しい中で受注量だけ増える矛盾

目次
はじめに:物流危機と製造業の現場
近年、物流業界ではトラックドライバーの人手不足や働き方改革による労働規制の厳格化など、かつてない供給制約が続いています。
こうした状況の中、受注量だけが増えていく現象が製造業の現場で起きています。
本来なら「作れば売れる」状況は歓迎すべきものですが、「運べない」ことで出荷が滞り、サプライチェーン全体に深刻なゆがみが生まれています。
この記事では、なぜこのような矛盾が起きているのか、その背景や最新の業界トレンド、現場視点での課題、そして改革のための第一歩について、実務経験ゆたかな視点で解説します。
また、これからバイヤーを目指す方、あるいはサプライヤーの立場でバイヤーの考え方を知りたい方が現場で活用できる知見にもふれます。
「ものは作れる」が「運べない」時代
需要回復と受注量の急増
2020年のコロナショックから徐々に景気回復が進み、製造業では各種部材や製品の受注量が急激に増加しました。
半導体やEV関連の需要が特に旺盛で、主要メーカーでは「稼働率100%超」という声も珍しくありません。
多くの現場からは、「これほど注文があるのは10年ぶり」といった声や、「設備投資を増やしたが追いつかない」という悲鳴すら聞こえてきます。
トラックの確保が年々困難に
一方で根本的な問題になるのが「物流」です。
2024年問題(時間外労働規制強化)への対応や高齢化、若年層のドライバー不足などにより、荷物を運ぶためのトラックと人手が絶対的に足りません。
このような状況下で、「作った製品が倉庫に山積みになる」「せっかく納期厳守で製造したのに、運送会社に断られた」という現象が現場で頻発しています。
皮肉なことに、注文が増えてもその分だけ工場出荷が実現しないのです。
現場管理者としてのジレンマ
工場長や生産管理責任者として、納期遅延や在庫の山に頭を悩ませることは多々ありました。
「どうして運送が止まってしまうのか」「物流と生産をどう連携させたらいいか」など、工場の枠を越えた調整力が求められる場面が増えています。
昭和的なアナログ慣習と現代の要請
いまだ根強い「当日手配」文化
昭和から続く「運送は前日に手配すればなんとかなる」「現場でなんとか調整する」という文化は、今や通用しなくなっています。
長年の経験や現場力を頼りに、トラック不足を人間力で何とかする場面も多かったのですが、近年はそれが破綻しています。
とくに多頻度少量納品の傾向が強まる中、現場個人に頼った運用には限界がきています。
アナログな進捗管理と情報断絶
今もなお、ホワイトボードや電話、ファックスで物流手配や出荷調整をおこなっている現場が少なくありません。
結果として、製造→出荷→物流までのリアルタイム連携ができず、出荷計画の遅延・変更が頻発し、かえって物流会社からの信頼が低下する悪循環に陥っています。
こうしたアナログなやり方は、「物流クライシス」の時代では命取りになります。
下請・サプライヤーの立場から
サプライヤー側も「納期さえ守ればいいはず」という一昔前の発想では通用せず、「上流での物流計画や制約」をきちんと共有し、バイヤー(買い手)と同じ土俵で物事を考える必要があります。
バイヤーがなぜ急に物流に過敏になっているのか、その背景にはこうした構造的変化があるという理解が欠かせません。
物流問題に強いバイヤー・現場になるために
需要予測と出荷計画の高度化
「作ったらすぐ出せる」という時代はすでに終わっています。
今後は、現場レベルでの需要予測精度の向上や、週次・月次での出荷計画をロジスティクス部門と明確に連携する必要があります。
また、AIやBIツールを活用した予測・可視化の進展にも注目したいところです。
バイヤーとしては、調達の見積依頼段階から納期・ロット・出荷頻度・梱包形態といった物流要件を明確に提示し、「いつ・どこで積み込むか」を具体化する力が求められます。
物流会社との共創・パートナーシップ構築
従来の「価格だけで運送会社を選ぶ」スタイルではなく、「この先も運べる仕組みを一緒に作る」協力体制が求められます。
たとえば繁閑に応じた固定契約の設定、共同輸送、ネットワークのシェア、帰り便活用など、物流パートナーと現場の垣根を越えた対話が欠かせません。
また緊急対応力のみならず、「計画通り」「段積み可能」など細かい要件整理がバイヤーの評価ポイントとなります。
サプライヤーとして意識すべきポイント
サプライヤー目線では「指定納期守った」「予定数きちんと出した」だけでは不十分です。
「出荷ロット小分けへの柔軟な対応」「納品時間帯や場所に対する協力」「物流会社紹介や再手配サポート」など、物流リスク全体を見据えた動きが期待されています。
現場としては、余裕ある搬出体制(即応庫出し)やパレット・梱包標準化の徹底にも積極的に取り組む必要があります。
DX・自動化で物流と製造現場をつなぐ
現場発DXの最前線
最近では、製造現場のIoTやセンサー情報を活用し、リアルタイムで物流と連動したシステムを導入する事例が増えています。
たとえば出荷予定量と実績をクラウドで共有、物流会社とAPIでつなぐことで「どのトラックが・どの時間帯に・どの製品を引き取るか」が一目でわかるシステム化が進められています。
これにより、出荷ミスやダブルブッキングを防ぎつつ、現場負担の最小化が可能になります。
省人化・自動化による負荷軽減
トラックが捕まらない中で、少数の便に効率よく積み込むことがますます重要になっています。
自動倉庫やピッキングロボットの導入、搬出タイミングの自動調整などに投資する企業も増えているのが現状です。
これらの導入によって、「港付近や中継倉庫での夜間作業」が減り、規制下でも効率よく物流に対応できる体制が構築されています。
製造・調達・物流一体の体制構築へ
最終的には「計画段階から物流パートナーを巻き込む」ことが、これからの強い現場・強いバイヤーの条件となります。
調達、製造、品質、物流部門が常に同じ情報を共有し、リスクや改善点を具体的に洗い出し、共に対策を立てるという文化を根付かせることが重要です。
まとめ:共存共栄の時代に向けて
「トラックの確保が難しい中で受注量だけ増える矛盾」は、単なる一時的な混乱ではありません。
むしろ令和の製造業の構造的課題であり、アナログ業界こそ大胆な変革と水平連携が求められています。
昭和型の慣習に安住せず、現場発のダイナミックな改革、現実を直視した実践的な対応こそがこれからの競争力です。
バイヤーを目指す方は現場への理解を深め、ロジスティクスとの協業意識を高めてください。
サプライヤーとしては「納期」だけでなく「物流リスク」「現場負担」まで気を配る戦略的姿勢が重要です。
皆さんの現場や担当業務が、ひとつ先の新しい地平線へと進むことを願っています。
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