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社内情報が個人PCに依存し流出リスクが高まる課題

目次
はじめに:製造業の「情報管理」、その現状と課題
製造業において、情報管理の重要性がこれまで以上に高まっています。
生産ラインの設計図から原材料の調達情報、取引先リストまで、そのすべてが企業の競争力の源泉です。
しかし現場では、今なお「個人PC依存」が色濃く残っているのが現実です。
社員が業務情報を自分のパソコンに保存し、USBメモリやメールで外部とやり取り――。
こうした運用は、昭和から続く“属人化”“アナログ文化”の負の遺産とも言えるでしょう。
本記事では、こうした現場目線のリスクや実情、さらに制度・最新技術をどう現場に落とし込むかまで深堀します。
< h2>個人PC依存と製造業特有の問題構造
< h3>なぜ工場では「個人PC依存」が生まれるのか
製造現場は、現場改善やトラブル対応など日々の意思決定スピードが極めて重要です。
「この図面は自分のPC上に」
「この仕入先リストはExcelファイルでローカル保存」
「ちょっとした手順書も自分だけのフォルダに」
こうした運用は決して怠慢から発生しているのではありません。
現場に即した改善や、柔軟な対応が求められるからこそ、自分のPC・自分のノウハウに情報が貯まりやすいのです。
さらに長く続く人員不足、ベテラン依存も背景にあります。
< h3>サプライチェーン全体に広がる「属人化」の波紋
購買部門・生産管理部門では、取引先ごとに条件が異なることも少なくありません。
過去の交渉記録・調達条件・品質管理記録も、各担当者がローカルで管理しがちです。
「◯◯部長のパソコン中にしか、このファイルは無い」
「退職後、誰も過去交渉の履歴がわからなくなった」
こうした“情報のブラックボックス化”は、工場単位からグループ全体・下請け企業にも波及します。
< h3>アナログ文化が根強く残る理由
製造業は「形あるもの」が評価されやすく、IT投資や情報共有に及び腰な企業体質が根強く残っています。
手書きの日報、返信の遅いFAX運用など、昭和時代のやり方が温存されています。
クラウド活用や、情報セキュリティ教育も後回しになりがちで、「とりあえず今のままで困っていない」という“慣性の法則”が働いているといえるでしょう。
個人PC依存が引き起こす具体的なリスク
情報漏洩とその被害の深刻さ
個人PCに業務上の機密情報が蓄積されていくと、漏洩リスクが極端に跳ね上がります。
例えば営業リストや図面データ、原価情報などは、そのまま競合他社の手に渡れば企業存亡に関わる損失となり得ます。
さらにUSBメモリでのデータ持ち出しや、個人用クラウドサービスでのファイル管理などは、知らず知らずのうちにサイバー攻撃や内部不正の温床になります。
担当者退職による「ノウハウの消失」
長年の現場改善ノウハウや、購買交渉の記録が個人のパソコンやメールボックスのみに保存されていた場合、担当者が異動・退職すると、一瞬で“ブラックボックス化”してしまいます。
後任が同じレベルの仕事をするまでに数年かかる、そもそも引き継ぎすらできない、という現象が頻発します。
DX時代の足かせとなる「レガシー体質」
最近ではサプライチェーン全体での情報統合、トレーサビリティの確保が必須となりつつあります。
しかし現場が個人PC依存・属人的運用のままだと、全体最適を阻む“見えない壁”となります。
「現場のデータが自動的に集約できない」「スマートファクトリー化のボトルネックになる」といった問題にも直結します。
現場改善×情報セキュリティ――実践的な対策とは
ステップ1:情報の棚卸しと現状把握
まずは「どこに・誰が・何の情報を持っているのか」を現場レベルで徹底的に洗い出すことが出発点です。
部署横断でワークショップ型の棚卸し会を開き、エクセルファイル、図面、メール、紙文書の所在を見える化します。
ヒアリングでは「面倒な業務の隙間をローカル運用で解決する」という現場の本音・裏事情にも目を向けるべきです。
ステップ2:共通フォルダや文書管理システムの導入
現場で使いやすい共通フォルダや、簡易型の文書管理システム(DMS)から導入をはじめます。
最初は完璧ではなくとも、アクセス権限と履歴管理、検索性のあるシステムを用意することで「使えば便利」という体験を現場で積み上げることが重要です。
クラウド型ならサプライヤーや社外ともシームレスに情報共有しやすくなります。
ステップ3:教育と啓発、現場トップのコミットメント
「セキュリティ教育なんて形だけ」と思われがちですが、現場リーダー自らが旗振り役となり、“何がなぜ危険なのか”を具体的事例で共有することが効果的です。
さらに模範となる情報共有の成功体験を小さな単位で発信し、全社的なムーブメントを地道に育てることも欠かせません。
バイヤー視点で見る「情報管理の本質」とは
交渉優位性は「情報」に宿る
購買・調達部門にとって、過去の見積履歴、品質トラブルの再発情報、発注リードタイムの履歴などは、まさに“交渉カード”の宝庫です。
これらが担当者のローカルフォルダに眠っているだけでは、組織としての交渉力につながりません。
システム化や、データベースへの集約によって「組織知化」することで、真のバイヤー力が発揮されます。
サプライヤーの立場で考えるべきこと
サプライヤーが取引拡大や安定受注を目指すには、バイヤーの情報管理や意思決定プロセスを理解したうえで、求める情報を正確かつ迅速に提供することが求められます。
「いつまでも紙やFAXでやり取りしていないか?」
「相手担当者の退職で全履歴が消えてしまわないか?」
こうしたリスクを双方で認識し、システム連携・文書共有の提案を積極的に行うことが信頼構築につながります。
昭和アナログから令和DX時代へのブレイクスルー
“変わらない現場”を抜本から変えるラテラル発想
属人化やアナログ文化を「仕方ない」「昔からそうだから」と諦めてしまう時代は、すでに終わりを迎えています。
下記のようなラテラルシンキングを現場改善に取り込むことが、製造業の未来を開きます。
・情報流出は“個人”ではなく“会社”のリスクであることを、再定義する
・システムを“管理のため”ではなく“現場の生産効率を最大化する武器”と位置付ける
・現場主導でデジタルの改善タネを発掘し、トップダウンで迅速に支援する仕組みを整える
例:生産現場のリーダー自ら、現場ノウハウの動画マニュアルを全社クラウドに上げる。
従来属人的だった手順書が“見える化”され、教育コストも大幅削減。
結果、退職者が出ても業務継続性と品質維持が実現できた――
こうした好循環が波及すれば、企業文化自体が“昭和型”から“令和DX型”へと変化していきます。
まとめ:情報流出リスクを超えて、製造現場に未来を拓く
個人PCへの依存による情報流出リスクは、製造業が今まさに直面している最大級の課題です。
単なるセキュリティ対策に止まらず、「現場の知見」「交渉力」「ノウハウ継承」といった本質的な価値までもが、属人化・個人運用によって危機にさらされています。
対策のポイントは、現場に眠る情報財産を“見える化”し、組織知として蓄積・活用すること。
アナログ文化を乗り越え、DXの本質――すなわち、情報を握る者が製造現場の未来を握る――を体感できるような仕組みづくりが、いま求められています。
あなたの現場改善の第一歩が、日本のものづくりの次世代を切り拓くきっかけとなるはずです。
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