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顧客の勝手な材料変更で不良率が跳ね上がる危険性

目次
はじめに:製造業現場で頻発する「勝手な材料変更」問題
製造業の現場では、サプライヤーやバイヤーの間で材料の選定・発注が日常的に行われています。
しかし、バイヤーや顧客の意向による「勝手な材料変更」が製品品質や生産プロセス、最終的には企業の信頼まで大きく揺るがすリスクをはらんでいることは、現場を知る方であれば想像に難くありません。
本記事では、下請け工場やサプライヤーの視点、そしてバイヤーや購買部門の視点、さらに現場管理者の立場からも「なぜ勝手な材料変更が発生するのか」「どんなリスクがあるのか」「具体的にどう対応すべきか」を深掘りします。
昭和のアナログな現場体質が根強く残るこの業界だからこそ起こる現象にも触れながら、読者の皆様と共に課題解決のヒントを探ります。
なぜ「勝手な材料変更」が起こるのか?その背景をひも解く
バイヤーや顧客が材料を変更したくなる事情
現場から見れば「勝手に材料を変えないで欲しい」というのが本音でしょう。
一方でバイヤーや顧客側にも事情があります。
たとえば、コスト削減要求があまりに強い場合や、供給不安、リードタイム(納期)の短縮などが挙げられます。
特に近年では、サプライチェーンの混乱や原材料高騰により「本来使いたい材料が手に入らない」「より安価な材料に切り替えたい」という要請が現場に頻繁に飛びます。
現場とのコミュニケーションギャップ
製品設計時に選定した材料は、その後の生産・品質に重大な影響を及ぼします。
にもかかわらず、営業・購買担当と現場のコミュニケーション不足や仕様書自体が曖昧な文化が根強く、正式な合意・評価なしに材料が「現場の了承なし」で変更されることも昭和世代の「なぁなぁ文化」ではありがちです。
勝手な材料変更がもたらす3つの大きなリスク
1. 不良率の増加・品質トラブルの多発
材料は単なる「パーツ」や「コスト要素」ではなく「設計・用途・現場条件に最適化」されて初めて安定した製品が作れます。
たとえば、硬度や耐熱性、寸法精度、純度、表面状態、はたまたロットごとの微妙なバラつきまで製品の出来に直結します。
特性の異なる代替材料を現場プロセスや設備条件はそのままに使えば、歩留まり(良品率)は一気に落ちます。
後工程でのクレーム、多発する顧客からの返品、生産ラインの長時間ストップ——誰もが避けたいリスクです。
2. 工場現場のモチベーションダウン・混乱
材料が変更されるたび、現場は前提を見直し、治具や条件変更、場合によっては新たな作業手順や検査が必要です。
手間を増やすだけでなく「自分たちの意見やノウハウが尊重されていない」という現場スタッフの不信や生産性ダウンにもつながります。
3. 企業の信頼低下、サプライチェーンへの悪影響
一度納入後に不良品が大量発生すると、ユーザー、取引先、協力会社…とサプライチェーン全体が大きなダメージを受けます。
顧客の信用喪失、想定外のコスト増、最悪の場合リコールや損害賠償に発展し、ブランドイメージ回復も容易ではありません。
実録:現場で起きた「勝手な材料変更」とその末路
事例1:コストダウン圧力、樹脂材料の安価化で不良率が4倍に
某プラスチック成形工場では、取引先のバイヤーが「中国製の安価な樹脂原材料でコスト削減を」と主張。
事前評価も不十分なまま現場に中国樹脂が投入されました。
結果、金型内での流動性と離型性が予想以上に悪く、形状不良、ヒケ、割れ不良が多発。
一気に不良率が4倍に増加し、納期遅延と手直しの残業が慢性化。
生産現場の士気は下がり、最終的には元の樹脂品番に戻してようやく安定。
安価な材料に移行した分、品質不良コストが予想以上に膨らみ「結局高くついた」と全員で反省する結果となりました。
事例2:金属材料のグレード落としで大手顧客との取引停止
ある精密機器メーカーの下請け工場は、材料費高騰を受けて仕入れ先をA社からB社に変更しました。
「スペック上は同じ」とバイヤーが判断したものの、微細加工時に表面粗さや曲げ強度の違いが顕在化。
量産後に大手顧客から「製品が寸法公差を満たさない」「外観不良が多い」と大量クレーム。
最終的に材料変更が仇となり「損害賠償」「取引停止」が通知され、長年の信頼関係が一瞬で崩壊しました。
昭和のアナログ体質が「材料変更リスク」に拍車?
昭和生まれのベテラン世代が多い製造業では、「現場力」や「経験値」に頼るあまり、あるべき書面や正式プロセスが曖昧なままに進むことが少なくありません。
– 変更管理の文書化やトレーサビリティが徹底されていない
– 「昔からこれでやっている」「うまくごまかして進めよう」という根強い慣習
– 経営陣も現場も「材料にこだわり過ぎてコストを抑制できていない」と誤解している
これでは、社内外から「勝手な材料変更」の誘惑とリスクが入り込みやすくなってしまいます。
正しい材料変更の手順・リスク低減策とは
1. 変更前の適切な評価・検証(バリデーション)が必須
材料を変更する場合は、サンプル試験・量産シミュレーション・サードパーティー分析など、実際の生産・使用環境に近い「バリデーション」を必ず現場責任者・品質管理部と連携しながら実施すべきです。
特に「小さな違い」が大きく効く精密加工や自動車・電子部品などは、数ロット分のパイロット生産や加速評価が必須です。
2. 変更理由や影響範囲を明示した書面化・関係者全員での合意
材料変更通知書、VE申請書、工程変更依頼書など、書類で「なぜ変更するのか」「どの範囲まで影響するか」「評価結果」を明記。
最低限、設計・生産技術・品質・調達・現場リーダーが確認し、責任の所在を明確にしておきましょう。
3. 変更プロセスのPDCA化・トレーサビリティ確保
変更後の不具合や問題再発に対してすぐに追跡調査ができるよう、材料ロット・生産日報・出荷先情報を明確に管理します。
変更プロジェクトごとに改善サイクル(PDCA)を回すことが、組織の安全網となります。
サプライヤー・現場が守るべき自衛策と提案力
– 「現場目線」で材料特性を定量情報として自社内にストック
– バイヤーや顧客の「コストダウン提案合戦」を胸を張って拒否すべきケースもある
– 「変えない理由」「変えた場合の全コスト予測」を数字と事例で共有
– 一方的な指示ではなく、材料変更時のリスクも合わせて「一括提案」するコミュニケーション力
これらは優良企業・選ばれるサプライヤーとして生き残るためにますます重要になってきます。
まとめ:20年現場で学んだ「材料変更リスク」への本質的対応
勝手な材料変更は、その場しのぎのコストダウンや納期対応に見えるかもしれません。
しかし長期的に見ると、「不良率の急増」「現場混乱」「企業信頼の喪失」といった致命的リスクにつながります。
現場に根ざした技術知見と数値データを基軸に、安易な材料変更に対しては「なぜダメなのか」を顧客・バイヤー・経営層にも堂々と説明できる体制づくりが求められます。
現場の声こそが、製造業の発展を支える最大の資産です。
一歩踏み込み、「守りながら攻める」調達・生産のあり方を今こそ考え直してみてはいかがでしょうか。
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