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投稿日:2025年12月10日

新規部品メーカーの実力を読み誤り評価試験で破綻するリスク

新規部品メーカー選定がもたらす現場の緊張感

製造業において、部品調達は製品品質の根幹を支える極めて重要なプロセスです。
特に新規部品メーカーを起用する場合、その評価・選定は将来の安定生産や市場競争力に直結します。

しかし、近年の急激なサプライチェーン改革やコストダウン要請、国際情勢の変化を受けて、従来の「なじみのサプライヤー一辺倒」から新規メーカー開拓へと舵を切る企業も増えました。

一方で、現場では「新規メーカーの実力を正確に見極められず、後の評価試験で重大な不具合が発覚」というリスクがまだまだ根強く存在します。

私の20年超の現場経験をもとに、なぜあらかじめ読み誤りが起こるのか、昭和型の発想や慣習がどのような落とし穴となるのか。
そして、リスクを最小化するための具体的なアプローチ・対策について深堀りしていきます。

なぜ“実力”を見誤るのか?現場ならではの典型パターン

1. 紹介・実績トークの過信

新規部品メーカー選定の初期段階では「この業界で○○年やってきました」「○○社に多数納入実績があります」といった経歴・実績を強調する場面がよくあります。

現場が多忙で短期間の評価を迫られている場合、このような営業トークに引きずられ「なら安心」と安易に判断しがちです。
ところが、同じ“自動車業界納入”でも求めるスペックや品質水準は顧客によって大きく異なるのが実情です。

そのため、「A社ではOKだったが自社の評価基準ではNG」という事例が後を絶ちません。

2. カタログ値・仕様書への依存

製造業は「カタログ値信仰」の世界です。
部品ごとに細かく標準仕様・公称値が定められており、同じスペックであれば問題なし、と判断されがちです。

ですが、現場では「カタログに記載がない使用環境」や「マイナートラブル」が頻繁に発生します。
また、評価試験の環境が設計想定と微妙に異なるだけで、致命的な問題が浮上することもあります。

カタログ値や仕様書をうのみにすることは、評価試験の破綻リスクを高めます。

3. 銭勘定だけで見落とす“現場の声”

近年は調達部門主導で「毎年○%コストダウン」やグローバル調達強化が進められています。
机上のコスト比較だけでサプライヤーを評価しがちですが、現場が感じる「少々高くても手直しが最小限で済む」「工程の安定感がまるで違う」といった“実務感覚”を無視した結果、後の評価試験や量産立ち上げ時に「なぜこんな不具合が?」と大混乱に陥るケースが後を絶ちません。

昭和型の“根回し文化”がまだ色濃く、現場の小さな危機感が経営判断に反映されない――という構造的な弱点も背景にあります。

評価試験で破綻するリスクはどこに潜むか

1. 短納期化による“見切り採用”

一昔前であれば、新規メーカーの起用には長期にわたるサンプル評価や生産監査が伴いました。
しかし最近は「緊急調達」「半導体・樹脂部材の調達難」などで、形だけの評価プロセスでゴーサインが出る事例が増えています。

納入後に本格的な評価試験を行うと「予想外のはんだクラック・熱膨張問題」「耐久性未達」「異物混入」等、リカバリー不能な事態が発生し、生産ラインの混乱・顧客クレーム・多額の損失に繋がります。

2. “昭和の成り行き頼み”の体質

昔ながらの「実績ある業者なら多少の不具合も何とかしてくれる」「困ったら“勘と経験と度胸”で乗り切る」といった昭和型の現場文化が残る会社ほど、評価試験でのミスを隠蔽・なかったことにしがちです。

しかし、顧客の品質要求は年々厳格化・精緻化しており、かつて許容されていた“成り行き”や“どんぶり勘定”は通用しません。
現場のちょっとした報告漏れ・伝言ゲームが大損失に発展するリスクが高まっています。

3. “表層”だけの監査・現調

メーカーによる現場監査も、マニュアル化・書類主義が進む一方、実質的な製造プロセスまで踏み込めていないケースがあります。
監査時に「現場は綺麗」「帳票に問題なし」でも、実際のオペレーション上で“現場所作り”や「人繰りの弱さ」「潜在的な不良傾向」が見落とされ、「なぜ使い始めて突然品質が崩れるのか?」という事態が散見されます。

失敗を未然に防ぐためのラテラルシンキング的アプローチ

1. 評価軸の多次元化と“現場深掘り”

コスト・品質だけに縛られず、「サプライヤーの現場力・課題対応力」「管理者の目利き」で評価する多次元的なスクリーニングが重要です。

この時、机上の点数評価に偏るのではなく、現地現物での“ミスコミュニケーションの有無”“トラブル時の対応履歴”など、業界人ならではの肌感覚による評価軸を加えましょう。

部品単体としての評価では見抜けない“生産ラインへの波及影響”や、実際にトラブルがあった場合の部門全体の動きまで定性的に観察することをお勧めします。

2. “敢えて厳しい使い方”の現場テスト

カタログ・仕様通りの試験に加え、「敢えて通常より厳しい」「現場の想定外誤用」を織り込んだ試験・検証を主導することが肝心です。
これは現場をよく知るベテランや生産技術部門が強みを発揮できるポイントです。

多種多様な使用パターンを洗い出し「現場で本当にありがち」な状況で問題が生じないかを粘り強く検証しましょう。

3. “昭和”発想を逆手に取る人間力・関係性チェック

昭和時代の「現場相互の結びつき」や“顔と顔の情報交換”は、実は現代ならではのリスクマネジメントにも活かせます。

実際に現場で担当者同士が腹を割って議論する機会を持つことで、カタログやメール・帳票からこぼれ落ちる“小さな異変”や“不安”を早期にキャッチできます。

新規部品メーカーだけでなく、既存メーカーの体質変化や現場の不安も、アナログなコミュニケーションを大切にすることで素早く把握でき、それが失敗の未然防止につながります。

これから求められる「新時代のバイヤー力」とは

コスト競争・納期短縮・調達多様化の波が押し寄せる現代。
バイヤーや購買担当者には、業界標準の評価だけでなく「現場の本当の実力」を見抜く力、昭和から令和に至る“現場目線の情報収集・分析”が不可欠です。

時には「仕様通りだからOK」と言いたくなるシーンでも「現場でこんな癖は出ないか?」「今までのやり方を本当に適用して大丈夫か?」と一歩踏み込む疑問を持つ必要があります。

また、調達購買だけでなく、サプライヤー側もそこに気づき「自社の強み・弱みを率直に伝え、現場と連携する」姿勢が生き残りの鍵となります。

まとめ:高度化する製造業――本質を見抜く“目利き力”を磨こう

新規部品メーカーを起用する際のリスクは、仕様・履歴・監査だけでは読み切れません。
昭和時代から脈々と続く現場文化の弱点も、実は現場ならではの“気づき”や“人間力”に変えられます。

ラテラルシンキングで現場を深掘りし、実践的なテストや多面的評価で先回りすること。
机上のデータも大切ですが、それ以上に「現場の本当の実力」「小さな違和感」を積極的に汲み取ること。

新しい部品メーカーとの付き合い方こそ、経験と現場目線、そして新時代のバイヤー力をフルに発揮し、リスクを最小限に抑える絶好の舞台なのです。

今後も現場・バイヤー双方のスキル向上を目指し、業界全体で高い付加価値を生み出していきましょう。

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