- お役立ち記事
- 輸入禁止品目を扱うリスクと事前調査の徹底方法
輸入禁止品目を扱うリスクと事前調査の徹底方法

目次
はじめに:輸入禁止品目のリスクはなぜ重要か
製造業における調達業務は、日進月歩でグローバル化が進む中、避けて通れない重要な領域です。
その中でも特に「輸入禁止品目」をうっかり扱ってしまうリスクは、企業や担当者にとって極めて重大な問題となります。
なぜなら、違法輸入による法的制裁や社会的信用の失墜といった致命的な結果につながるためです。
本記事では、「なぜ輸入禁止品目のリスクが高いのか」「そのリスクをどう回避すべきか」という現場目線の実践的ノウハウを、昭和的な旧態依然とした企業文化の現状もふまえつつ、深く解説していきます。
輸入禁止品目とは何か?その具体例と法的背景
輸入禁止品目の定義
輸入禁止品目とは、各国(今回は主に日本)で法律によって輸入が禁止されている品目です。
具体的には、麻薬や特定化学品、絶滅危惧動植物、知的財産権を侵害する偽造品などが該当します。
また、農薬や特定食品、一定レベルを超える放射線を含む産品なども対象です。
関連する法令一覧
主に「関税法」「外為法(外国為替及び外国貿易法」「ワシントン条約」「薬機法」などが関連します。
これらの法律は年々改正されており、2024年現在も新しい品目の追加や規制強化が頻繁に行われています。
違反した場合のペナルティ
意図的かどうかに関わらず、輸入禁止品目を扱った場合、懲役や罰金等の刑事罰、法人としての営業停止、社会的な信用崩壊といった結果を招きます。
特に最近では、SNS拡散によるレピュテーションリスク(風評被害)も深刻になっています。
なぜ、未だにリスクを見逃す企業が多いのか
昭和的アナログ体質が根強く残る業界動向
製造業界には、依然として紙ベースや口頭伝承に頼った業務プロセスが色濃く残っています。
定期的な法令アップデートの習慣が浸透していない現場も多く、「去年まで大丈夫だった」という過去の慣例や伝聞が、最新ルールの見逃しにつながっています。
グローバルサプライチェーンの複雑化
数次請負・多階層サプライヤー時代、現地代理店や仲介業者経由での部品・原材料購入が一般化しています。
登録情報や書類まかせの安易な調達は、取引相手がこっそり規制品を混ぜたり、そもそも規制情報まで手が回っていないケースも多発します。
コスト・納期重視の精神構造
短納期、低コストを強要されがちな現場では、「納期・コスト最優先」の意識が根深いです。
調査や審査の手間は「無駄なコスト」と見なされがちで、リスクチェックがなおざりになる傾向がみられます。
調達担当者が抱える現場の「リアルな悩み」
・規制情報の更新作業まで手が回らない
・技術資料が不十分なまま見切り発注を強いられる
・口約束やFAX・電話で業者とやり取りを済ませてしまう
・現地語・英語で書かれた書面が読みこなせない
・サプライヤーの自己申告をうのみにしてしまう
こうした「現場のあるある」は、コンプライアンス意識が低い企業ほど蔓延しています。
逆にいえば、ここを突破口に抜本的な改善を成し遂げれば、リスクゼロ化だけでなく品質や安定調達力という観点でも他社に一歩差をつけられます。
事前調査の徹底方法:令和時代に合ったリスク回避実践術
1. 最新法規制情報の「見える化」と定期チェック
外為法や関税法など、関連する規制の最新情報は、経済産業省や税関の公式サイトで月次チェックを習慣づけましょう。
また、社内イントラや調達マニュアルに「今のNGリスト」を掲示し、取引先にも定期通知しておくと効果的です。
2. サプライヤーリスク評価の仕組み化
仕入れ先に対し「規制情報に関するアファメーション(確約書)」を必須とし、年次更新を義務化。
第三者認証(ISO9001やISO14001)の有無や、過去にインシデント報告がないかも要チェックです。
3. 調達・購買部門の教育強化
年1回の法令研修や、現場ヒアリングによる気づきのシェア会などを設け、過去のトラブル事例も教材として活用しましょう。
若い担当者には、OJTだけでなくeラーニングやeメールで法令情報をライトに流す工夫がおすすめです。
4. 技術部門・品質管理部門との連携最重視
調達担当者だけが調べるのではなく、設計部門や品質部門とも情報共有し、全社的な規制品目NGリスト作成を徹底します。
特に製造現場で「少しでも怪しい」と感じたら技術者を巻き込んで調査を行う文化作りが重要です。
5. デジタル化(SaaSツール)の活用
最新ではSaaS型のリスクチェッカー(法令データベース照会や品目確認ツール)が登場しています。
製品名やHSコードを入力するだけで規制対象か否かを即時判定してくれるサービスを積極的に導入しましょう。
サプライヤー側に求められる姿勢とは
バイヤー(買い手)側の論理だけでなく、サプライヤー(売り手)側も
「自社製品に規制品目が混入していないか」
「出荷先国の最新法令に適合しているか」
を常に自己検証する責任があります。
価格競争が厳しい時勢だからこそ、リスクコミュニケーションやコンプライアンス意識の高さが差別化要素となります。
「取引先にきちんとリストを提示する」「法令アップデートの際はすぐ連絡する」「自己申告の証拠をクラウドで保管する」など、デジタルツール活用も売上に直結します。
トラブルが起きたときの実践対応フロー
もし輸入禁止品目を意図せず扱ってしまった場合、以下の対応フローを即座に実行しましょう。
1. 発覚した時点で全品回収・販売停止
2. 社内事故報告書の提出と関係者ヒアリング実施
3. 所轄の税関・経済産業省への速やかな自己申告
4. サプライヤーや協力会社とも原因調査と再発防止策の連携
5. 法務・総務部とも連携して、社外説明責任を果たす
すばやく誠実な初動が被害拡大・信用失墜リスクの最小化につながります。
まとめ:変革の鍵は「継続」と「組織横断」
本記事で示したとおり、輸入禁止品目に関するリスクは「根拠なき安心」から現場に忍び込むものです。
そのためには、個人任せでなく仕組みとして
「常に最新情報をキャッチし、全社員が共通認識を持つ」
「属人化させず、調達・生産管理・品質管理が横断的にリスクチェックする」
「デジタルツールや外部知見をフル活用する」
ことが近代的な企業体質への第一歩です。
工場のフロアで働く皆さん、そして将来バイヤーやサプライヤーを志す皆さんも、地道な事前調査と準備が自身と会社を守る最高の“武器”となることを忘れず、不断の努力を重ねていきましょう。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)