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デザインレビューの役割と進め方製品開発への活かし方品質リスクアセスメントとの融合デザインレビューの事例

目次
デザインレビューとは何か 製造業における重要性
製造業の現場では、より良い製品を市場に送り出すために、設計段階での品質作り込みが不可欠です。
そこで重要な役割を果たすのが、「デザインレビュー(DR)」です。
品質トラブルの多くは設計段階に起因すると言われており、ミスや不具合を未然に防ぐ「先取り品質保証」の鍵がデザインレビューにあります。
昭和から続くアナログ的な手法や「なんとなくの合意」で進みがちな業界でも、設計審査の体系化はここ数年で大きく進展してきました。
デザインレビューは「単なる承認の会議」ではありません。
開発者・設計者のみならず、調達購買、生産管理、品質管理、さらには現場のオペレーターや外部サプライヤーまでが一同に会し、「設計意図」「ユーザー要求」「現場の観点」を多角的に検討する舞台です。
この多面的な視点の取り入れこそが、早期段階での問題発見と品質・コストの最適化に直結します。
なぜ、今、デザインレビューが再注目されているのか
昨今、デジタル設計やAI活用の進展によって開発リードタイムが短縮されています。
一方で、「速さ重視」による検討不足やヒューマンエラー、グローバル分業進展による複雑なサプライチェーンリスクも高まっています。
加えて、ISO 9001やIATF 16949などの国際規格でも「設計・開発の審査=DR」の実施が求められているため、業界全体で再びデザインレビューの充実と標準化が求められています。
現場目線で見れば、現場トラブルの発生時に「設計上の課題だったのに、なぜ気づかなかったのか」という後悔につながることが多々あります。
防ぐためには、設計者任せではなく、部署横断型の「設計コールラボ(共創)」をDRという仕組みで実践することが大きな意味を持つのです。
デザインレビューの基本プロセスと進め方
1. DRの開催タイミング
一般的な製造業のデザインレビューは、製品開発の大きな節目ごと——
・基本設計フェーズ(DR1)
・詳細設計・試作完了時(DR2)
・量産移行前(DR3)
といった形で実施されます。
これらは製品やプロジェクトの特性によってアレンジされますが、「節目ごとに必ず行うこと」が肝要です。
2. DRの参加メンバーと役割
DRは設計担当者だけでなく、品質、調達、生産技術、製造、営業、サービス、購買など、製品ライフサイクルの各フェーズに関わる主要メンバーが集まり実施します。
ここで「外部サプライヤー」の参加も新しい流れとして重要です。
圧倒的な現場知識を持つサプライヤーが、自社バイヤーの意図やリスクポイントを事前に把握し、提案や改善策を共有できれば、全体最適に近づきます。
現場では「調達購買はコストしか見ていない」「サプライヤーは従わせる対象」となりがちです。
ですが、これからは「顧客(メーカー)とサプライヤーがパートナーのような立場で知見を持ち寄る場」が理想的なデザインレビューの姿となります。
3. DRのアジェンダ設計と資料準備
DRの本来の目的は、「曖昧さ」や「思い込み」を解消し、設計品質とコストパフォーマンス、生産性、納期リスクを総合的に高めることです。
以下のようなアジェンダや資料が必須となります。
- 設計仕様書・部品図・工程図・機能分解表
- FMEA(故障モード影響解析)やFTA(故障の木解析)
- 品質リスクアセスメントシート(Pro/Con分析も活用)
- 生産・調達・ロジスティクス面の課題整理
- 前回DRでの指摘事項と是正結果
- 市場・顧客からの声(VOC、クレーム情報)
設計担当者が「ここに困っています」と正直に課題を共有しやすい雰囲気の醸成も、実効性あるDRの要です。
品質リスクアセスメントの融合 先回りリスク管理のすすめ
デザインレビューを実効的なものとするためには、品質リスクアセスメント手法(FMEAやFTA)との融合が不可欠です。
これら手法はあくまで「リストアップと評価」に過ぎませんが、DRで多様な知見を持つメンバーがリスクを具体的に議論することで、以下の効用が得られます。
- 埋もれていたリスクや設計意図の誤認を早期発見できる
- 発生確率・影響度・検出難易度などの甘さを正しく評価できる
- 設計ルールや標準化の議論ができ、以降のプロジェクトにも好影響を与える
たとえば、自動車用部品の開発DRでは、サプライヤー側から「材質変更による熱歪みリスク」に対する現場データや過去の失敗事例が持ち寄られ、設計変更や追加評価が迅速に決まった例もあります。
リスクアセスメントの精度向上は、「やらされているDR」から「価値を生むDR」への転換点なのです。
デザインレビューの実際の事例紹介
自動車部品メーカーA社の変革例
A社は、設計~量産移行プロセスでDRを3回実施しています。
従来は設計部門主導で、現物を囲みながら「問題なければ通しましょう」と合意する儀式的なものでした。
しかし、品質不良や量産遅延が頻発。
原因を分析すると「製造現場のノウハウ」「サプライヤーの工程管理力」が半ば無視されていたことが判明しました。
そこでA社は、バイヤー・生産管理・協力サプライヤーの上級技術者も交え、FMEAも使った多方面リスク指摘方式を導入。
具体的には、以下を実施しています。
- サプライヤー現場で使う治具や計測機器まで評価対象を拡大
- 調達担当がコストリスク(原材料市況変動や調達リードタイム)を細かく共有
- DR前の仮想工程検証(バーチャルシミュレーション)の義務化
- DR後の「是正アクションのフォローアップ会議」制度化
これにより、「図面上は問題ないが、実際には測定不能な公差設定」や、「バイヤー視点での部品標準化」など、現場実行性を重視した設計姿勢が定着しました。
結果、品質問題の初期流出が大幅に減少し、サプライヤーからのプロアクティブな提案も増加したのです。
バイヤーがリードする調達系DRの事例
精密機械業界B社では、昨今の部材調達リスク(脱中国・災害・感染症リスク)に備え、「調達DR」と称する独自施策を導入しています。
詳細設計DR時、調達部が単独で重要部材のサプライヤー信頼性・市場動向・価格変動リスクを分析し、可能な限りパートナーサプライヤーや複数調達化プランを設計者・生産管理と共有します。
この結果、部品品切れ等の緊急事態時でも「設計変更の最小化」「柔軟な発注切替」が可能となり、災害やパンデミックでも生産停止を回避した実績があります。
本社-buyer-現場-supplierが一体となり、「設計優先」から「供給安定性優先」など、状況に即した意思決定とアジャイルなDR体制への進化が見られます。
これからのデザインレビュー 昭和的手法からの脱却・真の協創へ
日本の製造業界には、「なんとなくの合意」「上司の鶴の一声でリスク棚上げ」「会議だけで進めて資料の有効活用がされない」といった昭和型DR文化が根強く残っています。
しかし、これからの時代は
・部門や企業の垣根を超えた知見凝縮
・サプライチェーンの当事者全員がオープンに意見交換
・バイヤーがサプライヤーの力を引き出し、提案力を重視する
という協創型デザインレビューへと進化が求められます。
現場に身を置いて実感するのは、「正直者が損をする」ではなく、「本音と客観データで真摯に課題共有した人・組織が最終的に勝つ」という事例が確実に増えてきていることです。
DRは単なる儀式ではなく、「一歩先のリスク管理と市場競争での卓越性」へのパスポートです。
逆に、形だけのDRを続けている企業は、サプライチェーン危機や社会的要請の変化(ESG・脱炭素・サイバーリスク等)に気づくのが遅れ、取り返しのつかない損失を被る恐れがあります。
まとめ―製造業の全員が知るべきデザインレビューの本質
デザインレビューは、品質・コスト・納期リスク低減のための「早期検証」の舞台です。
これを活用し尽くすためには、
- 多様な視点(現場・バイヤー・サプライヤー)を融合した「知の共創の場」とすること
- リスクアセスメントの定量・定性評価を織り込むこと
- DRの前後で是正措置や情報共有を徹底すること
- 昭和的手法を脱して、「オープン」「フラット」「スピーディ」な意思決定体制へ進化すること
が必要不可欠です。
調達購買やバイヤーを目指す方、またサプライヤー立場でメーカーの考えを理解したい方は、DRの現場に積極的に参加し、「自分の知恵で設計と品質を良くする」主体者となる姿勢が重要です。
デザインレビューの実効力が、強いモノづくり日本を再生させる鍵となることは間違いありません。
あなたの現場で、一歩踏み出したDR改革を始めませんか。
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