投稿日:2025年1月25日

転がり軸受の疲れのメカニズムと寿命予測および長寿命化技術

はじめに

転がり軸受は機械の至る所で使用され、その重要性は言うまでもありません。
その中で、転がり軸受の寿命を延ばし、予期せぬ故障を防ぐことは、製造業において非常に重要です。
この記事では転がり軸受の疲れのメカニズム、寿命の予測方法、そして寿命を延ばすための技術について詳しく解説します。

転がり軸受の疲れのメカニズム

疲れの原因

転がり軸受の疲れとは、主に材料内部で繰り返し応力が蓄積されることにより発生します。
軸受の転動体とレースとが接触する部分では、微細な塑性変形が繰り返され、その結果材料内部に微小な亀裂が発生します。
これが軸受の疲れにつながり、最終的には軸受の破損を引き起こします。

亀裂の進展

亀裂が発生すると、それが徐々に進展し、材料の強度が低下します。
転がり軸受に働く荷重は、亀裂の発生箇所に応力集中を引き起こし、亀裂の拡大を促進させます。
このようなプロセスを経て、最後に材料の表面に剥離や剥がれが発生し、軸受としての機能を失います。

寿命予測の方法

L10寿命

転がり軸受の寿命予測には、L10寿命がよく用いられます。
L10寿命とは、同種の軸受を使用した場合、その90%が疲労による故障なしに動作し続ける時間を指します。
これは、統計的手法を用いて推定され、軸受の設計や材質、使用条件に基づいて算出されます。

応力-ひずみ解析

寿命を正確に予測するためには、高度な応力-ひずみ解析が必要です。
特に材料の非線形挙動や、接触面での摩擦の影響を考慮し、詳細な数値シミュレーションを実施します。
解析結果を基に、より精密な寿命予測を行うことができ、設計段階での最適化につながります。

長寿命化技術

適切な材料の選定

長寿命化のためには、材料の選定が重要です。
高温や高荷重条件に耐えられる特殊鋼材やセラミック材料を選定することで、軸受の疲れ寿命を向上させることができます。
また、軸受の内部に微細なき裂が発生しにくい材料を選定することが重要です。

表面処理技術

表面の強化は、特に接触疲労の緩和に効果的です。
窒化処理や焼入れ処理などの表面処理技術を駆使することで、転動体との接触面を強化し、疲れ寿命を延ばすことができます。
さらに、潤滑性を高めるためのコーティング技術を活用することで、摩擦と摩耗を低減することが可能です。

潤滑油の選定と管理

軸受には適切な潤滑が欠かせません。
潤滑油の選定は、軸受の使用条件や環境に応じて適したものを選ぶことが重要です。
また、定期的な潤滑の管理や補充を行うことで、摩擦を最小限に抑え、軸受の長寿命化を実現します。

まとめ

転がり軸受の疲れは、非常に複雑で多岐にわたるメカニズムによって生じますが、その寿命を予測し延ばすための技術も進化しています。
適切な材料選定や表面処理、そして潤滑管理をしっかりと行うことで、軸受の耐久性を向上させることが可能です。
これらの技術を活用し、製品の信頼性を高め、予期せぬトラブルの削減につなげていきましょう。

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