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生産部門と物流部門の会議が噛み合わない根本的要因

目次
はじめに
製造業の現場では、生産部門と物流部門が密接に連携しなければなりません。
しかし、実際には「会議がいつも噛み合わない」「お互いに不満だけが募る」といった声を頻繁に耳にします。
なぜ生産部門と物流部門の会議はすれ違いが起きやすいのでしょうか。
長年現場に身を置き、両部門の仲介に頭を悩ませてきた立場から、根本的な要因を多角的に考察し、業界特有の構造や文化的背景も交えながら、打開策のヒントを探ります。
生産部門と物流部門の「立ち位置」の根本的な違い
最終目的と評価指標の違い
生産部門は「いかに効率良く、安定して質の高い製品をつくるか」が最大のミッションです。
そのため、生産計画や生産効率、品質を中心に議論が進み、評価もこれらのKPIに連動します。
一方、物流部門は「いかに計画通り・最適なタイミングでモノを動かすか」に責任を持ちます。
ここで重視されるのは納期遵守率や在庫最適化、運賃コストなどです。
この最終目的と評価基準の「根本的なズレ」が、会議での話の噛み合わなさに直結してしまうのです。
生産側が「機械トラブルだから仕方ない」「歩留まり優先」と主張しても、物流側は「計画が狂えば全体に波及効果が及ぶ」といったジレンマが生じやすくなります。
視点の時間軸の違い
生産現場では「今日・明日・今週」という日々の短期的な生産計画が重視され、現場の改善活動も日単位での積み上げが中心です。
一方、物流では月単位・四半期単位での出荷計画や需要予測が動いています。
この「時間軸の違い」も、会議での課題共有や打ち手の議論をズレさせる要因になっています。
業界で根強く残る昭和の「縦割り文化」
部門間の壁が厚い組織構造
多くの日本の製造業は、昭和時代に確立された「機能別組織」が今も根強く残っています。
情報共有や目標設定が部門ごとに最適化されやすく、横串の議論が苦手な体質が現在まで引き継がれています。
そのため生産部門、物流部門とも「自分たちのことは自分たちで」というスタンドプレー的なマインドになりやすい傾向があります。
これが「他部門の話を聞いても理解しづらい」「納得感が得られない」要因の一つでもあります。
非公式ルールと阿吽の呼吸
古き良き製造現場では、ベテラン同士の「暗黙の了解」「阿吽の呼吸」に頼る仕事の進め方が多く残っています。
新たな課題が発生しても、「あのときみたいに何とかしてよ」「この間はこうだったから」という過去の経験則が優先されがちです。
それに対し、物流部門では外部とのやり取りやシステム化が先行しているため、「根拠と事実に基づいた説明」を求めます。
こうしたギャップも会議のすれ違いを生みます。
デジタル化の波がもたらす新たな軋轢
データ活用レベルの差異
昭和型の現場改善の延長線では、いまだに紙やExcelに頼ったアナログな情報連携が主流です。
しかし、お客様やグローバル拠点の多くは「データドリブン」でのリアルタイムな情報共有を求めています。
物流部門は輸配送管理システム(TMS)や在庫管理システム(WMS)の導入が進んでいる一方、古い機器が多い生産現場側からは「現場の声がデータに乗らない」ジレンマも根深いです。
IT言語と現場言語の相互理解不足
物流部門が「APIで連携すれば即座に在庫状況が見える」と主張しても、生産現場からは「そんな簡単に現場が回るなら苦労しない」と反発が起きます。
この「IT言語」と「現場の泥臭い言語」が相手に伝わらないまま、議論が拗れてしまうパターンも非常に多いです。
「会議が噛み合わない」現場のリアルな悩み
「相手が何を知りたいか」が見えていない
会議に同席しても、お互い「自分の部署が困っていること」ばかり主張しがちです。
たとえば、生産計画の遅延を説明する生産側と、納期遵守率低下を指摘する物流側が、それぞれ「相手の課題の本質」に歩み寄る土台ができていません。
結果、「言いたいことだけ言って終わり」「議事録に書かれたところで変わらない」と消耗するだけの時間になるリスクが高くなります。
現場からのボトムアップが通りにくい
「現場の声」を拾い上げる会議設計が十分でない場合、現場と管理部門の連携ミスが生まれます。
現場から上がってきた小さな課題や、物流ドライバーの体感的な意見が「重視されていない」と感じると、真の根本解決が遠のきます。
根本要因から考える「打開策」
共通KPIの設定と部門横断の数値管理
対策の一つとして、「共通KPI(例:計画通り供給率)」の導入が重要です。
生産部門・物流部門の双方が納得できるゴールを持ち、お互いが数値の積み上げに関与する体制作りが、根本的な構造改革につながります。
部門間の責任の押し付け合いを防ぐためにも、原材料調達~最終出荷まで一気通貫の指標で会話できる仕組みが不可欠です。
現場主導の「ラテラルシンキング」的会議手法
課題解決の議論にあたっては、「なぜ噛み合わないのか」を前提に、多角的な視点を投入する必要があります。
たとえば、三現主義(現場・現物・現実)の徹底や、逆転発想を促すファシリテーションを活用し、お互いの現場で働く「生の声」や「実際の流れ」を互いの目線で理解する努力を続けましょう。
会議体も現場作業員やリーダークラスを巻き込んで「現場発想」を積極的に汲み取る仕掛けが大切です。
異文化交流的な意識醸成
生産部門と物流部門は、もはや「異なる文化圏」で働く存在と認識した方が実態に即しています。
だからこそ、お互いの語彙や価値観の違いを理解するためのミニ勉強会や、部門間ジョブローテーションの導入も有効です。
「相手の現場を見に行く」「一日体験で作業をしてみる」だけでも、会議でのすれ違いは劇的に減少します。
アナログ文化の中でできる「小さな一歩」
いきなり最新ツールやシステム導入を期待するのは難しい現場も多いはずです。
そんな時は、「紙の情報共有ボード」「進捗会議の冒頭5分だけ相互ヒアリング」といった、地に足の着いたアナログな改善から着手するのも得策です。
重要なのは「お互いの困りごとをまずは知ること、共有すること」。
昭和型現場であっても、対話が続けば必ず前進します。
まとめ:未来志向の現場連携に向けて
生産部門と物流部門の会議が噛み合わないのは、単なるコミュニケーションミスではありません。
評価基準や時間軸、文化的背景、ITリテラシー――さまざまな根本的要因が絡み合っています。
一方で、その一つひとつの違いを、「相手を知る」「共通目標を持つ」「現場の目線に立つ」ことで着実に乗り越えることが可能です。
古き良きアナログ現場にありがちな課題も、ラテラルシンキング的発想や現場参加型の工夫によって、必ず新しい打開策が生まれます。
みなさんの日々の会議が、単なる「消耗戦」から、付加価値を生み出す「創発の場」に進化する一助となれば幸いです。
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