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投稿日:2026年2月18日

RPA障害時の切り分けが難しすぎる現実

製造業におけるRPA障害切り分けの現実

RPA、すなわちロボティック・プロセス・オートメーションは、製造業の現場にも急速に普及しつつあります。

調達購買、生産管理、品質管理といった分野でもルーチンワーク自動化の効果が高く、多くの企業が取り入れています。

しかし導入する現場で最も頭を悩ませているのが、「障害発生時の原因切り分け」です。

なぜ、RPA障害の切り分けはこれほど難しいのでしょうか。

この課題の深層に、製造業特有のアナログ体質や、現場ごとの業務プロセスの個別性が隠れています。

本記事では、RPA障害切り分けの難しさと、その根本的要因、現場での対応策、そして今後に向けた打開策まで、現場経験に基づいて徹底解説します。

なぜRPA障害時の切り分けが難しいのか

多層的なシステム構造が障害の特定を困難にしている

製造業では、RPAが単体で動作するのではなく、既存システムや外部Webアプリケーション、エクセルマクロ、さらには紙帳票のデジタル化など、複数のプラットフォームが連携して業務が成り立っています。

RPAはこの複雑な業務フローの中で「橋渡し役」を担うことが多いため、異なるシステム間のわずかな仕様変更や通信の遅延、またヒューマンエラーでもすぐに障害が発生してしまいます。

このような状況では、

– RPA自体のロジックミスなのか
– 既存システム側の仕様変更、もしくは一時的な障害なのか
– 入力値のミスや例外データによるものか

を、まず見極めるところからスタートしなければなりません。

複数レイヤーを横断して障害が起きるため、原因を特定するまでに多大な時間と手間がかかります。

現場独自の「カスタマイズ地獄」

多くの製造現場では、導入したRPAロボットが各部門ごとのローカルルールや帳票のフォーマットに合わせ、独自カスタマイズされています。

導入段階ではしっかりとしたドキュメントが残されていないケースも少なくありません。

担当者が異動や退職で不在になっていると、ソースロジックの意図すら理解できない場合もあります。

俗人化の進んだアナログ業界だからこそ、「誰が何のために、どこをどう変更したのか」がブラックボックス化していることが多く、障害時には手探りで検証せざるを得ません。

製造業独自の「業務プロセスの変容」も原因に

製造現場では昼夜を問わず絶えず改善活動が進んでおり、小さな業務フロー変更が頻発しています。

帳票のフォーマットが急に変わる、品目コード体系が刷新される、取引先がシステムアップデートを行う――こうした“日常的な揺らぎ”がRPAの安定稼働に大きく影響します。

それにもかかわらず、業務側の小さな変更がRPA担当まできちんと伝達されるとは限りません。

気付かぬうちにロジックと現実が乖離し、障害発生時には「何が変わったのか」から調査する羽目になります。

実際の現場で起こる“切り分け”の泥沼

調達購買分野での実例

例えば調達購買部門で、発注書の作成や請求書突合のRPAを組んでいる場面を考えてみます。

ある日突然、RPAが異常終了するようになりました。

ログを追ってみると、仕入先システムの画面仕様がわずかに変わり、ボタン名が1文字変化していたことが判明しました。

RPAは、表示名で要素を認識していたため、マッチできず処理が止まったのです。

現場では「RPAが悪いの?」「仕入先が悪いの?」と混乱します。

実際にロボット側のメンテナンス担当者がソースや実行ログを一つ一つ検証し、現場の業務担当者ともヒアリングしながら原因をようやく突き止めました。

この間、業務は手作業に逆戻りし、生産性は大きく低下しました。

生産管理の進捗監視RPAでの失敗例

生産管理業務では、進捗データの取り込みや、実績集計の自動化がよく行われます。

ある工場では、日次で稼働データを集計・加工するRPAがプログラムされていました。

ある日、入力担当者がマスターデータを更新した際に、品目名に全角スペースがまぎれ混んでしまいました。

RPA側では、スペース有無のチェックロジックがなかったため、想定外データとしてエラーで停止。

しかも、ロボットはあくまで”黙々と停止”するだけで、現場にアラートが届かず、翌日の生産会議で進捗データが「ない」ことが発覚します。

ここでも要因特定まで半日を要しました。

このように、RPA障害の切り分けは局所的なトラブルにとどまらず、業務全体の流れを想像し、各プロセスの連携を検証しなければならない泥沼なのです。

なぜ「切り分け」が業界の足を引っ張るのか

現場の事業継続性リスク

RPAは、旧来手作業でやっていたプロセスを自動化しています。

その分、「RPAが動かない=業務が止まる」リスクが高くなります。

障害の解消に時間がかかれば、納期遅延や品質トラブル、外部サプライヤーへの信頼問題など経営インパクトにつながります。

現場は「便利になるほど、障害時のリスクが増す」というジレンマに陥っています。

バイヤー/サプライヤー間の摩擦

RPA障害が対外システムとの連携で発生した場合、「どちらが悪いのか」の押し付け合いが起きがちです。

バイヤー側は「納入遅れの原因は?」とサプライヤーに詰め寄り、サプライヤー側は「御社のRPAが悪いのでは?」と返してしまいます。

技術的に複雑な問題だけでなく、業務責任上の「あいまいさ」も摩擦要因となっています。

現場で実践できる“切り分け力”向上のポイント

1. ログの徹底活用と「見える化」

RPA実装時には、すべての処理フェーズで詳細なエラーログを出力する仕組みを徹底すべきです。

具体的には、次のようなログ設計が重要です。

– どの処理ステップの何番目で失敗したか(トレース情報)
– 入力値や受信データの内容(機密情報配慮は必要)
– エラー発生時の前後処理記録

これらを「人が読んで理解できる」レベルで残すことがポイントです。

また、運用現場ですぐに閲覧・出力できる簡易ダッシュボードを準備し、異常時の早期発見と共有を促進します。

2. 並列検証によるボトルネックの絞り込み

障害発生時には、RPA単体・既存基幹システム・関連外部システムそれぞれに対して、独立した検証を並行して行うくせをつけましょう。

たとえば

– バッチ処理だけを手動起動し再現性を見る
– RPA本体のシナリオ部分のみ「テスト入力」で動かしてみる
– 画面操作部分に「UI変更」がないか手作業で検証
– API連携の場合、単体APIをPostman等で個別テスト

こうした「並列的なアプローチ」が、切り分けの時間短縮に直結します。

3. ルール変更・業務変更時の“合意形成”ルート確立

現場の帳票フォーマットや業務プロセスで変更があった場合、必ずRPA運用担当者まで周知・相談が行われる仕組みを導入しましょう。

部門横断的な「業務変更時の連絡フロー」を作り、事前にテスト稼働、問題なければ正式運用へと段階化すれば、大半の障害を未然に防げます。

このルールが定着すれば、属人的になりがちなアナログ現場でも切り分けが劇的にやりやすくなります。

4. RPA運用担当の“業務理解力”を底上げ

現場ロボットのロジックやシステム仕様だけでなく、「その業務が現場でどう使われているのか」「どんなイレギュラーがあり得るのか」を把握しておくことが重要です。

RPA担当者が現場作業を短期間でも経験する、業務部門と月次で意見交換をするなど、相互理解を深める施策が、本当の意味での切り分け力強化につながります。

今後の打開策:デジタル時代の製造業に必要な視点

昭和の成功体験が色濃く残るアナログ製造業にとって、RPA障害の切り分けは「新時代の壁」といえます。

ですが、だからこそ突破する価値があります。

メーカー・バイヤー・サプライヤーそれぞれの立場で、「責任の切り分け」「ノウハウの可視化」「業務プロセスの標準化」を推進しましょう。

また今後は、AIやプロセスマイニング、ノーコードツールの登場で「障害自体を自己解決できる」ロボットも発展するでしょう。

ただし、現場力を鍛えること・業務プロセスの本質を理解したうえで最新テクノロジーを取り入れることが、切り分け不能の現実から脱却する一番の近道です。

製造業の皆さん、ぜひ現場目線でのRPA活用・障害対策を進め、デジタル時代の“強い現場”をともにつくりましょう。

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