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ショットブラスト装置で使うゴムライナー部材の成形方法と剥離対策

目次
ショットブラスト装置のゴムライナーとは何か
ショットブラスト装置は、製造業の現場で広く使われている表面処理装置です。
ワーク(対象物)の表面にショット(鋼球や砂などの微細粒子)を高速で吹き付け、錆やスケールを除去したり、表面粗度を整えたりするために用いられます。
この過程では、装置内部の摩耗が激しくなります。
とりわけショットが衝突する部位は、高耐久性が求められるため、ゴムライナーが内部に設置されています。
ゴムライナーは弾性体で作られており、ショットやワークの衝撃を吸収・分散することで金属筐体へのダメージを最小限に抑える重要な役割を果たします。
ゴムライナー部材の主な成形方法
ゴムライナーの製造にはいくつかの代表的な成形方法があり、用途やコスト・仕上げ精度などの観点から選択されています。
1. コンプレッション成形(圧縮成形)
もっとも多く用いられているのがコンプレッション成形です。
予めゴムコンパウンドを所定量取り、金型内に挟み込んで圧力と熱を加えて成形します。
この方法の特徴は、比較的大型で単純形状のゴムライナーに適していること、初期型費が比較的安価で少量生産にも対応しやすいことです。
また、厚みや重厚感のあるライナーが必要な場合によく選択されます。
供給するゴムを均一に金型内に配分する職人の作業経験が、そのまま品質に直結します。
2. トランスファー(移送)成形
トランスファー成形は、コンプレッション成形に似ていますが、ゴム材料を予熱室で加熱・柔軟化してから金型へ圧送します。
これにより細かな形状や複雑な突起部、インサート金属の包埋成形もしやすくなります。
ショットブラスト装置の内部構造は意外と複雑で、穴あき部や段差の多いパーツにゴムライナーを密着させる必要があり、トランスファー成形が多用されます。
また歩留まりも向上しやすいのがメリットです。
3. インジェクション成形
大量生産や薄物形状ではインジェクション成形も使われます。
可塑化したゴムを高圧で金型内に射出し成形する方法です。
成形時間が短く、寸法精度も高めやすいですが、金型コストが高価なため、比較的量産の要求が高い消耗品ライナーなどで導入されます。
ただし、ショットブラスト装置のように肉厚が求められたり、頻繁なモデルチェンジ・カスタマイズが必要な場合は、導入ハードルが少し高まります。
昭和から抜け出せないアナログな現場と、ゴムライナーの実態
製造業ではいまだに「現場での勘」や「経験則」に依存した運用が根強く残っています。
とりわけゴムライナーの成形では、職人の”手加減”や絶妙な圧力・温度調整が品質を大きく左右しています。
受注生産が多いショットブラスト装置の修理・メンテナンス部品では、「少量多品種」「カスタム対応」「短納期」が当たり前になっています。
ところが、アナログな体制のままではリードタイムがズレこむことも少なくありません。
また、装置メーカーからの仕様は図面だけだったりする場合が多く、現地での実装状況によってゴムライナーが微妙にフィットしない(現場でカットして調整するなど)という対応も現実的に行われています。
こうした積み上げの黒子的な仕事が、いまだに製品を支えているのです。
ゴムライナー部材の剥離問題とその原因
ゴムライナーは金属母材の装置内部に接着剤で貼付またはインサート成形(ゴムと金属の同時加硫)されている場合が大半です。
しかし、使用中の「剥離」現象は、最も厄介かつ現場で多発するトラブルの一つです。
原因として代表的なものを挙げます。
1. 接着剤の塗布不良
ライナー裏面への接着剤が均一に塗布されていないと、加硫成形時に密着不良となり、使用途中で浮きや剥がれが発生します。
2. 金属下地の表面処理不良
装着する側の金属部分が油分・錆・異物で汚れていると、接着剤の密着性が極端に低下します。
現場での簡易清掃だけでは決して十分とは言えません。
3. 衝撃と摩耗
ショットブラスト装置は想像以上のエネルギーで運転されています。
強い衝撃、摩耗、さらにはサーマルショック(冷温の繰り返し)によって、ゴムと金属の界面に剥がれ力が加わります。
4. ゴム素材と接着剤相性、配合設計
用途や使用温度範囲を無視した配合設計をしてしまうと、ゴムが劣化(硬化や軟化)、分子レベルで接着力が低下します。
また、ブラスト材料が油分を含む場合、ライナー素材によっては膨潤劣化が促進され、剥離しやすくなります。
実践的な剥離対策と最新の業界動向
昭和時代と異なり、昨今は「剥がれて当たり前」から「いかに長く維持できるか」「メンテナンスコスト削減」に業界の焦点が移っています。
実際の現場目線で有効な剥離防止対策を紹介します。
1. 金属母材の前処理の徹底
サプライヤーの立ち位置では、出荷前に金属母材(インサート等)のグリットブラスト等による粗面化、脱脂・脱錆、十分な乾燥管理を徹底します。
むしろここに手間を惜しまない姿勢が長寿命化のカギです。
たとえ現場で「とりあえず貼ればいい」とオーダーされても、本質的な耐久性は下処理で決まることを理解しましょう。
2. 接着剤の選定と塗布自動化支援
近年では高性能な二液型接着剤や、特殊プライマーを組み合わせた接着系が登場しています。
大量ロットや形状が複雑な場合、ロボットによる塗布の自動化も徐々に進んでいます。
アナログ作業では作業者の差が品質バラツキに直結するため、自動化導入が熱望されています。
3. 熱加硫条件の最適化
配合ゴムに応じた適切な温度・加硫時間を忠実に守ることで、接着強度は大きく向上します。
ベテラン職人の経験に頼らず、温度記録・プロセス管理のデジタル化が進みつつあり、現場の「見える化」へとつながっています。
4. 定期メンテナンス指導とライナー交換サイクルの明確化
近年はIoTやAIを利用したショットブラスト装置の稼働管理が進展しつつあります。
摩耗傾向や異常値を早期検知できるようになれば、予防保全型への転換が現実味を帯びます。
サプライヤー側から現地メンテナンス指導、交換タイミングのガイダンスを提供することで、単なる「物売り」から「課題解決型パートナー」への進化が期待されます。
バイヤー・サプライヤーの視点からみる新たな地平線
かつてのバイヤーは「いかに安く調達するか」を至上命題として動いてきました。
しかし現在は、ゴムライナー部材一つにしても「装置のダウンタイム最小化」「トータルコスト削減」「ESGや環境配慮」など多様な要素での選択が求められています。
一方、サプライヤーの立場では現場活動やアフターサービスを通じて、バイヤーに「現場目線」のリアルを届けること、「剥離しにくい=現場で本当に使えるライナーとは何か」を一緒に模索する姿勢が重要です。
また、書類やスペックだけでなく、「現場で使ってみて」「フィードバックを受けて再設計」「現場検証サイクルで改善」といった双方向のPDCAがバイヤー・サプライヤー間で回り始めています。
ひと昔前には考えられなかったパートナーシップ型の関係性が、今後ますます広がることでしょう。
まとめ:昭和の知恵と令和のテクノロジーで現場から拓く製造業の未来
ゴムライナー部材の成形方法や剥離対策は、現場特有の知恵と進化し続ける新技術の融合分野です。
「昔ながらのやり方」と「テクノロジーによる進化」の両輪で、お互いが補完し合う仕組みがこれからの製造業には不可欠です。
バイヤーもサプライヤーも、今こそ現場のリアルな課題を共有・解決し、製造業のより良い未来に貢献していくべき時代です。
ぜひ深い現場目線でゴムライナー部材を見直し、新たな現場改革と次世代型のものづくりを一緒に実践していきましょう。
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