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OEM企業がD2Cに移行する際に必要な販売チャネルと顧客データ活用法

目次
はじめに:OEM企業の新時代、D2Cへの挑戦
多くのOEM(他社ブランド製造)企業が、従来の受託製造ビジネスから自社ブランドによるD2C(Direct to Consumer)への移行を模索しています。
デジタル化の波や消費者ニーズの多様化、原価上昇による利益圧迫が背景にあり、OEMからD2Cへの転換は今後の製造業の生き残り戦略の中心テーマです。
しかし、長年BtoBに特化してきた製造現場にとって、D2Cは未知の領域とも言えます。
そこで今回の記事では、OEM企業がD2Cビジネスへ移行する際に、
「どの販売チャネルを選ぶべきか」
「顧客データをどのように収集・活用すべきか」
という2大テーマについて、現場目線で具体的に解説します。
昭和的なアナログ現場ですらも避けては通れないデジタル活用の勘所も、徹底して掘り下げていきます。
OEM企業の現状とD2C転換の課題
OEM企業の特性と業界構造から読み解く
OEM企業は、製品開発・製造力こそ強みですが、販売やマーケティングなど「川下」のプロセスが手薄なことが通常です。
また、「技術力重視」「協力関係重視」など昭和型の日本的商慣行が依然根強く、過去の実績や信用を重視する傾向があります。
一方で、利益率の観点からはOEM依存はリスクも多く、下請け構造のままでは将来展望も描きにくくなります。
D2Cへの脱皮は、多くの経営層が検討するものの、販売チャネル開拓やマーケティング、顧客把握など未体験領域が多く、「自分たちにもできるのか?」という不安が拭いきれません。
D2C化で最初にぶつかる壁
D2Cに移行する際の最初の壁は、「顧客=消費者」と直に向き合い、そのインサイトを理解する力です。
これまでは“製品を作ればバイヤー(取引先)が拡販してくれる”という構造ですが、D2Cでは自ら“顧客に売る”“顧客に学ぶ”必要が生じます。
さらに、どの販売チャネルを使っていくか、どうやって認知を拡大し、顧客データを取得・活用して持続的なビジネスモデルへ昇華させていくか、現場目線の戦略が必要です。
OEMからD2C移行時に選ぶべき販売チャネルの全体像
ECモールと自社ECサイトの違い
最も手堅いD2C販売チャネルがEC(電子商取引)です。
その中でも楽天市場やAmazonなどのモール型EC、BASEやShopifyなどで構築する自社ECサイトという2大潮流があります。
モール型ECは初期集客力・既存の流通基盤が大きな魅力ですが、手数料やブランディングの難しさ、顧客データの制限がデメリットです。
一方、自社ECは自由度が高く利益率も向上しますが、集客・広告・CRM(顧客関係管理)のノウハウが必須です。
スタートダッシュを優先するならモール型、商品とブランドを自走させたいなら中長期で自社ECを目指すのが王道です。
リアル店舗展開・ポップアップストアの活用
D2Cブームの中で見直されているのが実店舗によるブランド体験の提供です。
ポップアップストアや百貨店・専門店でのテスト販売は、消費者と直接対話でき、リアルなフィードバックを得られる点で極めて重要です。
「現場主義」を強みとする昭和型OEM企業は、リアルな消費者接点でこそ自信の強みを生かせます。
また、ビジネス向け展示会等でのテストマーケティングもチャネル開発の一環として有効です。
サブスクリプション・定期便モデル
消費者との関係構築・LTV(顧客生涯価値)向上を狙うなら、サブスクリプション型の定期便サービスに挑むのもD2Cならではの戦略です。
独自性の高い商材やリピート消費が期待できる商品であれば、データ活用やロイヤリティ強化に大きく貢献します。
OEM出身企業が競争力を発揮しやすい分野のひとつです。
インフルエンサー・SNS活用による拡散戦略
Z世代を中心にSNSでの口コミ・シェアが購買行動を左右します。
OEM時代にはなじみの少なかったマイクロインフルエンサーの起用や、TikTok・Instagramなど動画SNSを活用したプロモーションは、D2C転換時には必ず試したい手法です。
また、SNS上でのUGC(ユーザー生成コンテンツ)活用も、これまでのアナログ現場には無いダイナミズムを生み出します。
D2C実現に必要な顧客データの収集と活用法
顧客データ=未来の資産:その意義を再認識する
OEM―BtoB主体の時代で重要なのは「納期厳守・品質第一」でしたが、D2Cでは「顧客データをいかに収集・活用するか」が最大の価値創造ポイントです。
顧客データとは、ただの「購入履歴」にとどまらず、年齢・性別・行動ログ・レビュー内容・クレーム・好み・SNS反応など、あらゆる“現場の声”を指します。
この資産を基に、“なぜ売れるのか・なぜ売れないのか”を現場流にPDCAサイクルで徹底的に回すことが成長の鍵です。
データ取得のための具体的な設計ポイント
1.Web/ECでの会員登録・アンケート機能の徹底
デジタル活用が苦手な業界であっても、「会員登録による属性データ取得」と「購入後アンケート・レビュー依頼」はマストです。
顧客の不安や不満もデータとして資産にできます。
2.リアル接点でのフィードバック
ポップアップストアや展示会でのリアルな声はDX時代でも最大の武器です。
販売員の接客メモや、現場アンケートを必ずデジタル化し、後で統合分析できる体制を作ります。
3.SNS・広告連携での行動データ収集
広告やSNS投稿の反応率、クリック数、ハッシュタグキャンペーン参加回数など、オンライン上の「顧客の動き」もデータ化し、販売戦略や商品改善に生かします。
OEM企業ならではの顧客データ活用のコツ
D2C移行時にOEM企業が陥りやすいのが、「データは集めるが活用できない」という罠です。
ここで製造現場で培った「工程分析力」や「QCサークル的な主体性」が生きてきます。
例えば、
・売れ筋商品の購買属性を工程分析のようにプロセス化し、次回戦略にフィードバック
・不良品報告やクレームを、現場報告書と同じノウハウで分類分析し、商品開発へ反映
・各チャネル別の売れ行きデータを生産計画の変動要因と見立てて需給調整
など、「現場で慣れ親しんできた“なぜなぜ分析”」の発想をデータ活用に応用するのが実践的です。
昭和的アナログ現場が陥りやすい落とし穴とその克服法
意思決定のスピードと柔軟性の重要性
OEM企業の多くは「根回し・合意形成」に時間を割き、「まずやる!」という現場主導の新規事業が停滞しがちです。
D2Cに移行するなら、「部分的でもテスト販売で市場反応を見る」「とにかくプロトタイプで回す」など、アジャイル型の意識改革が求められます。
伝統的組織との“せめぎ合い”を乗り越える
営業・生産・開発など縦割りの部門体制だと、D2Cでは特に初動が遅れます。
経営層主導で「D2C推進チーム」「販路開拓プロジェクト」など横断型組織を組成し、現場メンバーにも裁量を与えることが重要です。
また、デジタル人材と現場ベテランの「融合型チーム」による知恵の掛け合わせが成果を生みます。
D2C移行でバイヤー・サプライヤー双方に生まれる価値
バイヤー目線:OEM発D2Cだからこそ付加価値が生まれる
バイヤーや卸売企業にとって、OEM企業発のD2Cブランドは高い製造力・品質という信頼感が強みです。
OEMの下請け力ではなく、自社開発力や現場改善型のノウハウを活かすことで、差別化可能なブランドへと成長できます。
特に「ストーリー性」「職人技」「安心安全」など、日本的価値観が新しい時代のマーケティング武器となります。
サプライヤー目線:バイヤーが何を見ているかを知る
D2Cビジネスで重要なのは消費者インサイトを理解し続けることです。
サプライヤーとしてOEM提供する立場であっても、「最終消費者が何を重視しているのか」「どこが商品の選定ポイントか」までデータから読み解く姿勢が、取引拡大や共同ブランド開発にも直結します。
バイヤーは「顧客データを集められるメーカー」=「消費者第一の思考」を持つサプライヤーと組みたがっています。
まとめ:ラテラルシンキングで未来の製造業へ
OEM企業のD2C進出は、単に“自社ブランドを売る”ことではありません。
組織の過去の経験や昭和流のノウハウも生かしながら、「デジタル技術」「顧客データ」「新販売チャネル」の3点をかけ合わせ、“現場力で培った強み”を最大化させることがポイントです。
販売チャネル選定と顧客データ活用こそが、これからの製造業の未来につながるカギとなります。
現場目線、ラテラルシンキング、そして顧客第一の柔軟な発想で、新しい地平線を切り拓いていきましょう。
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