- お役立ち記事
- 特殊アルミブロンズの砂型鋳造:海洋部品など高耐食性試作を短納期化
特殊アルミブロンズの砂型鋳造:海洋部品など高耐食性試作を短納期化

目次
はじめに
特殊アルミブロンズは、その優れた耐食性と機械的性質によって、広範な用途で使用されている金属合金です。特に海洋部品などの過酷な環境下で求められる高耐食性の部品製造においては、その真価が発揮されます。しかし、こうした材料を用いた部品の試作においては、精緻な砂型鋳造技術と迅速な納期管理が求められます。本記事では、製造現場の実践的な視点から、特殊アルミブロンズの砂型鋳造について、そのプロセスや短納期化への取り組みについて詳しく解説します。
特殊アルミブロンズの特性と用途
特殊アルミブロンズは、基本的に銅を基材とし、アルミニウム、鉄、ニッケルを加えた合金です。この組成により、非常に優れた耐食性や耐摩耗性、そして機械的強度を持つため、特に海洋分野や化学工業、さらには航空機や船舶の部品として使用されます。
高耐食性とその理由
アルミブロンズは、表面に形成されるアルミナ膜(酸化アルミニウム)によって、腐食からベースメタルを保護します。この膜は非常に安定しており、特に塩水や化学薬品に対する耐性が高いため、海洋部品として理想的なのです。
砂型鋳造との親和性
アルミブロンズの鋳造においては、砂型鋳造が特に多用されます。砂型鋳造は、鋳物の形状に対する柔軟性が高く、複雑な形状の部品を比較的簡単に作り出すことが可能だからです。また、試作段階において型の変更が容易なことから、製品設計の自由度が高まります。
砂型鋳造プロセスの流れ
砂型鋳造は、型作りから始まり、金属を鋳込んで完成品まで導く多段階のプロセスです。ここでは、主要なステップについて詳しく説明します。
パターン作成と型づくり
まずは、製品のパターンとなるモデルを作成します。これには木製や樹脂製のパターンが一般的です。このパターンを用いて砂型が作られます。砂型は、水分と混合材によって適度に固化させた鋳砂に、パターンを押し付けて形成されます。
金属の溶解と注湯
次に、アルミブロンズを溶解し、適切な温度に達した段階で砂型に注入します。注湯温度が高すぎると欠陥の原因となり、低すぎると鋳肌の不良を招くため、厳密な温度管理が必要です。
冷却と型ばらし
溶けた金属を型に注入した後、冷却を行います。冷却によって凝固した金属から鋳型を外すプロセスが型ばらしです。この後、製品の表面を仕上げるためのバリ取りやショットブラストが行われます。
短納期化への取り組み
現在、多くの製造業で短納期対応が求められています。特殊アルミブロンズを素材とする製品の試作においても、効率よく進行させるための複数の取り組みが実施されています。
デジタルプロセスの活用
近年では、3Dスキャニングや3Dプリンティングを活用した砂型の製造が盛んです。これにより、試作段階でのリードタイムを大幅に短縮することが可能となります。また、モデル設計から鋳造工程に至るまでの各プロセスをデジタル化することで、素早い意思決定が実現し、工程全体の効率化を図っています。
工程間コミュニケーションの強化
試作工程を通じ、エンジニアリングチームと鋳造チーム、品質管理チームが緊密に連携することが重要です。特に、部品の設計変更や不具合対策には迅速な対応が求められます。定例ミーティングや情報共有システムを導入することで、これをサポートしています。
品質管理とその重要性
特殊アルミブロンズの製品においては、その特性を発揮させるためには厳格な品質管理が欠かせません。
鋳造欠陥の検出と防止
鋳造欠陥の一例として、気泡、収縮孔、異物混入があります。これらを防止するためには、注湯速度や鋳型材質の選定、鋳込み時の環境管理が重要です。また、非破壊検査技術を活用することにより、製品に問題がないか即座に確認することが可能です。
性能試験による信頼性向上
製品の試作段階では、耐食性や機械的強度の試験が行われます。これにより、既存製品と比較して競争力があるか、顧客の要求に適合しているかを事前に確認することができます。
まとめ
特殊アルミブロンズの砂型鋳造は、その特性を活かし、過酷な環境でも長期間にわたって安定した性能を発揮する部品を提供するためのプロセスです。短納期化を達成するためには、デジタル技術の導入や工程間のコミュニケーションを強化し、プロセスを最適化していくことが不可欠です。品質管理の重要性を認識しつつ、継続的な改善に努めることで、製造業界の進化に貢献していきましょう。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)