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ショットブラスト装置で使うスクレーパ部材の製法と清掃性能課題

目次
はじめに:ショットブラスト装置とスクレーパ部材とは
製造業の現場では、部品表面のスケールやさび、バリ除去など、各種表面処理が頻繁に行われています。
この中で欠かせない機械が「ショットブラスト装置」です。
その効率的な稼働を支えるのが、内部で回収された研削材(ショット)の回収や搬送に使われるスクレーパ部材です。
スクレーパは、まさに装置の“隠れた主役”ともいえます。
この部材の性能・耐久性・そして保守性は、ショットブラスト装置の安定稼働と品質維持に直結しています。
本記事では、スクレーパ部材の製法、そして日本のものづくり現場に根付く清掃性能課題や、今後の課題解決の方向性について、実践的な目線で解説します。
スクレーパ部材の役割と重要性
現場でのスクレーパの使われ方
ショットブラスト装置内では、金属小球(ショット)が高速でワーク表面に打ち付けられます。
この際、ワークから剥がれた異物や使い終わったショット、ほこり・油分などが混在した「廃材分」が装置下部に堆積します。
この廃材分を次工程に搬送するのがスクレーパの役割です。
スクレーパは、チェーンやベルトに装着されて動き、分離・回収を行います。
現場にとっては「いかに止めずに、効率良く搬送・清掃できるか」が生命線です。
一方、スクレーパの摩耗や、搬送経路の詰まり・堆積による故障は、ダイレクトに装置停止(生産ダウン)につながるため、保守現場では神経を尖らせている部分でもあります。
スクレーパ部材の要求性能
1. 高い耐摩耗性(金属粒や異物による摩耗対策)
2. 清掃性能(堆積物の搬送残りを最小化)
3. 長期間の寸法安定性・形状保持
4. 装着・交換性(メンテナンス性)
昭和の時代から使われてきたスクレーパは、頑強な鉄や特殊合金で作られる一方、設計や材質の進化は意外と遅れがちです。
「昔から変えていない」「これで機械的には動くから…」といった“現場あるある”も多く残っています。
主なスクレーパ部材の製法一覧
1. 鋼板切削タイプ
最も歴史が長い方式です。
厚み1.5mm~3.0mm程度の炭素鋼板をレーザーカットやプレスで打ち抜き、曲げ加工・端部のR処理を加えた後、穴あけしてチェーン等に装着します。
メリットは価格の安さと、簡易な補修・手配対応が容易な点です。
一方、摩耗しやすく、比較的短寿命です。
2. 耐摩耗鋳鉄タイプ
より耐摩耗性を高めたい用途では、耐摩耗性の高い白鋳鉄(HCWI)などを型に流し込んで成形する方式がとられます。
硬度の高い組織を持つため、通常鋼板の2倍近い寿命を持つことができるものも多いです。
加工コストは高いですが、長時間稼働の装置やマイナス環境(高温、腐食性雰囲気)ではこのタイプが重宝されています。
3. ウレタン・樹脂複合タイプ
近年増えているのが、外側にウレタンやエンプラ系樹脂をかぶせ、芯材を鉄や樹脂で補強したハイブリッドタイプです。
樹脂部分はワークやシュート面を傷つけない「柔軟性」と「削り残し防止性」を発揮しつつ、芯材で強度を保ちます。
特に自動清掃機構や、細かなクリアランス精度が求められる装置向けで採用が増えています。
4. 特殊コーティングタイプ
耐摩耗溶射やカーバイドコーティングなど、近年は溶射技術や表面改質を活かしたタイプもあります。
耐摩耗層の厚み・材料選択・コストとのバランス調整が技術者の腕の見せどころです。
依然として残る現場課題と業界のアナログ体質
根深い「清掃性能の課題」
どんな高耐久の材質や特殊な表面処理を施しても、スクレーパが現場で直面するのは「細かい堆積物が残る」「湿度や油分で引っ付きやすい」といった、物理的・化学的な現場課題です。
実際の生産現場ではシーズンごとの温度差や、製品によって出る粉塵の種類も違うため、一律最適解を出しにくいという側面があります。
また、日本のメーカー現場では現場担当者の「経験値」や「勘所」に頼って清掃周期や手作業保守が行われている場合が非常に多く、「IoT化」「可視化」「記録ベースでの最適運用」といったデジタル移行が遅れているのが現実です。
昭和から続く改良のジレンマと現場の事情
現場では「新製品=即時リプレイス」にはなりません。
なぜなら「今までこれで止まらなかった」「保守手順が変わるのは嫌だ」「金型や冶具変更が面倒」というマインドが根強くあるためです。
新しいスクレーパ部材の採用は、
・現場検証に時間がかかる
・既存設備との互換性問題
・費用対効果の可視化の難しさ
などが導入の壁となります。
このため、たとえ高性能品・清掃性向上タイプが出てきても、昭和時代からの部品リストをそのまま引き継いで採用し続けている工場が多いのです。
今後の課題解決アプローチと現場視点での提案
バイヤー・購買職が押さえるべき“現場目線”
製造業の現場では「価格」「寿命(耐久性)」「交換・保守性」が王道の比較軸ですが、スクレーパ部材においては「清掃性能評価=生産ライン停止時間最小化」という観点を重視すべきです。
例えば、ライン停止工数・定期保守に要するマンパワー・現場負担(腰痛リスクや夜間作業など)もトータルコストに含めて総評価しましょう。
バイヤーが「これまでのカタログスペック」だけでなく、現地現物・多工程の視点を持つことで、ベストな選定・交渉が可能となります。
IoT・センサー連携による現場可視化のすすめ
最新では、スクレーパの摩耗度や異常振動、搬送残量などをセンサーで監視し、リアルタイムで異常を検知できるIoT化事例が増えてきました。
これにより「人の五感頼み」を減らし、トラブル兆候を早期に発見しやすくなります。
導入初期コストはありますが、トータル保全コストを減らし、工場のスマート化に一歩近づけます。
型取り・カスタム設計による差別化
スクレーパ部材は実は「現場独自カスタム」が最も成果につながる分野の一つです。
現場ごとに粒径・湿度・搬送距離などが大きく違うため、現場担当+設計+購買が三位一体で、素材・位置・形状チューニングを詰めることで、劇的なダウンタイム短縮やコストダウンを実現できるケースが多いです。
標準品をそのまま使うのではなく、現場主導で「型取り」「治具作り」「ユーザーメイドの改良部材」を積極的に取り入れることが、アナログ脱却と強固なものづくり現場への第一歩です。
協力サプライヤーとの“本音”での連携強化
多くのサプライヤー(加工会社)は、現場現物を見ずに図面指示だけで作ることが多いですが、一度現場視察を行い、課題共有した上で製造側に加工ノウハウを活かして改良案を出してもらう――こうした「現場合同改善活動」が結局は最短距離となります。
バイヤーや購買職が本音で現場課題をサプライヤーへ開示し、共にQ(品質)C(コスト)D(納期)を伸ばしていく姿勢が、差別化ポイントです。
まとめ:昭和からの脱却と“進化する現場用スクレーパ”
ショットブラスト装置のスクレーパ部材は、たかが清掃部品と侮られることもありますが、そのパフォーマンスは生産安定稼働とコスト競争力の最重要ファクターです。
美しい理論やカタログスペックだけではなく、「現場の泥臭さ」「経験知」「地道な改善活動」が今も生き続けている分野です。
バイヤーや調達担当としては、現場・サプライヤー・設計陣の三位一体連携で、課題を“見える化”し、地道なチューニング・IoT連携を漸進的に進めていくこと――これが、昭和的なアナログを脱却し、令和時代の“強い日本のものづくり”を支える基盤になるはずです。
現場経験者として、また現場の泥臭さを知る者として、今後もこうした知見を発信し、より実践的な改善アイデアを提供し続けていきます。
今後の製造業界発展の一助となれることを願っております。
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