投稿日:2025年11月16日

スクリーン印刷の最終検査で見るべき品質基準と欠陥分類

はじめに

スクリーン印刷は、電子部品や回路基板、工業製品のマーキングなど、さまざまな製造現場で欠かせない工程です。
一見シンプルに思われがちですが、要求される品質水準は年々高くなり、最終検査における品質基準と欠陥分類の役割がますます重要になっています。
本記事では、現場経験を通じて培ったノウハウと、昭和から令和まで根強く続く業界動向、そしてこれからの製造業が目指すべき「標準化」や「自動化」の視点までを踏まえた、スクリーン印刷品質管理の実践的な知見を解説します。

スクリーン印刷における最終検査の重要性とは

スクリーン印刷品の役割と検査ポイントの違い

スクリーン印刷は、インクやペーストをマスクを通し基板や各種素材に転写する工程です。
特に電子回路基板では、最も小さなズレやかすれも製品の信頼性に直結します。
また、工業用ラベルや装飾品などでは、見た目の美しさや強度も製品価値を左右します。
用途により「求められる検査項目や基準」が異なる点に注意が必要です。

<電子部品・基板分野>
– 配線パターンの寸法精度
– ペースト塗布の厚みや幅
– 印刷かすれ・ブリッジ(断線やショート)
– インクのはみ出し・濃度ムラ

<装飾品・マーキング分野>
– 色ムラやにじみ、かすれ
– 文字・柄の正確さ
– ズレや重ね合わせ精度

「良品」判断の背景にある現場ロジック

実際の現場では、仕様書・図面で規定された「品質規格」に基づいて合否判断をします。
しかし、製品ごと・取引先ごとに基準が異なり、バイヤー要望(顧客の厳しい目線)を十分反映する必要があります。
時に「過剰品質」や「現場都合の甘い判定」といったトラブルも起こりがちです。

現場で重視すべきなのは
1. 最終顧客が何を求めているのか(機能性/外観/安全性など)
2. その要求水準は本当に現実的か(量産現場の歩留まり・コストバランスに即したものか)
3. 合否基準をサプライヤーとバイヤーで明文化し、誤解がないようにすること
です。

スクリーン印刷で代表的な欠陥分類

寸法・位置ずれ欠陥

– 印刷位置ずれ(オフセット)
– 基板・ワークとパターンが数十μm〜mm単位でズレる
– バイヤー観点: 基板パターンとの重ね合わせ時や後工程で電気的ショート発生リスク増
– パターン寸法不良
– ペーストやインクの幅・長さが仕様範囲から外れる
– 現場でよくある原因:マスクの摩耗、印刷条件(スキージ速度・圧力)の変動
– 重ね印刷による「ボケ」や「二重線」
– 複数カラーや多層印刷時によく見られる

外観欠陥

– にじみ・はみ出し
– パターン外へインクが漏れる
– 見栄えだけでなく、回路基板では絶縁不良の原因
– かすれ・抜け
– パターン一部にインクが乗らない、途中で薄くなる
– スクリーンメッシュ詰まりやインク粘度の変化が主因
– インク濃度ムラ・光沢不良
– 均一な印刷でないため、仕上がりが美しく見えない
– 異物混入
– ダストや他色インクの混在、表面のゴミ付着

機能的欠陥

– ブリッジ(ショート)
– 隣接パターン間にインクがつながり、本来絶縁されるべきパターン同士が通電してしまう
– 断線
– 印刷された導体部分にかすれや細断があり、信号や電流が流れない
– 厚み不良
– 必要な導電性や機械的強度が不足

現場での実践的な検査方法とノウハウ

目視検査と自動化検査の使い分け

昭和〜平成初期までは、人の目・経験に頼った目視検査が主流でした。
優れたベテラン作業者の「勘」や「慣れ」による微妙な判別能力は、今も一部現場に強く根付いています。
しかし、現在では
– 顕微鏡・カメラ付ルーペによる詳細観察
– 画像処理(AOI:自動光学検査)による欠陥自動判定
により、小型化・高密度化する製品品質を安定して管理できるようになってきています。

目視と自動化、それぞれのメリット・デメリットを知ったうえで使い分けることが肝心です。

– 目視の長所:微妙な色味・美観など、定性的な欠陥判定に対応。新しいトラブル原因の拾い上げも得意
– 目視の短所:人によるバラつき、見落とし、長時間の集中維持が困難
– 自動化検査の長所:定量的・客観的な数値管理。大量生産ラインで歩留まり向上、作業効率アップ
– 自動化の短所:新種欠陥の判定ミスや、規格外に敏感すぎて歩留まりを逆に下げる事例も。設備投資、維持コスト

判定基準の「見える化」と人材育成

現場では「どこまでを良品とし、どの程度の欠陥でNGとするか」の線引き(そこが最終品質レベルを決定します)が最大の焦点です。
そのために、以下の手順が不可欠です。

1. 欠陥サンプル(良品・不良品)の実物チャートを整備
2. 判定基準を写真や図解付きで「標準化」し、誰でも参照できるようにする
3. 定期的に、関係部門(現場オペ、検査員、技術、営業など)を交えた判定トレーニングを実施

特に、サプライヤーとバイヤー(発注側)が遠隔地にいる昨今は、現場同士での基準ズレ・期待値ズレを徹底的につぶすことがトラブル予防として非常に重要です。

バイヤー目線で重視すべきスクリーン印刷品質項目

バイヤーはサプライヤー選定や量産ラインの品質監査時、下記ポイントを重視します。

– サンプル検査の合否基準が明確か(実態に即した寸法・外観公差が数値で提示されるか)
– 標準化された検査工程と判定結果の履歴管理があるか(トレーサビリティ確保)
– 欠陥発生時のフィードバックループ(不良の原因特定⇔現場への指導⇔再発防止体制)が構築されているか
– スクリーン版や印刷設備の定期点検・維持管理体制
– 自動検査データの提供可否(画像データや数値での合否証明)

これらの視点は、単なる品質チェックに留まらず、リスク低減・安定供給にも直結します。
近年では、海外サプライヤーともやり取りするケースが増えているため、「グローバル基準」への対応力(ISO取得や国際的な判定基準の理解・導入)も求められます。

サプライヤーとして求められる対応力

サプライヤー側は、単に「規定されたスペックに合わせた納品」にとどまらず、以下の対応力が求められます。

– 不良発生時の迅速な原因究明と是正報告
– ルート分析やパレート分析による再発防止の論理展開
– 品質改善の「現場改善サイクル」の提案力
– バイヤー教育(バイヤーが見落としがちな生産現場のリアルな事情やリスクを伝える能力)
– 上流設計へのフィードバック(現場ではどうしても回避できない工程上の制約や、品質とコストの最適バランス提案)

これらは、部分最適でなく「全体最適」を目指す姿勢から生まれます。

今後のスクリーン印刷品質管理のトレンド

製造業DXやスマートファクトリー化が加速するなか、スクリーン印刷の品質管理も大きく進化しています。

– 画像AIによる自動判定・傾向分析
– 不良発生のリアルタイム予兆検知(ビッグデータ活用)
– クラウド型データ共有で、バイヤー・サプライヤー間の透明性を向上

ただし、いくらデジタル化が進んでも、最終的に
– 規格を明確化し
– 欠陥を確実に分類し
– 品質の合意形成を現場同士で担保する
この三つは普遍的な根本軸です。

昭和から続く「現場の職人気質」「目で見て納得できる文化」と、令和の「標準化」「自動化」を両立させることこそが、今後の競争力になります。

まとめ

スクリーン印刷の最終検査とは、決して「瑕疵を見つけて出荷停止する」ためだけの工程ではありません。
バイヤーの「本当に必要とする品質」に応え、現場の技術・改善力を発揮し続けるプロセスです。

検査基準や欠陥分類を曖昧にせず、常に「合意」と「見える化」を徹底すること。
これこそがサプライヤー・バイヤー双方の信頼を築き、製造業全体のレベルアップとコスト競争力を実現します。

未来の製造現場は、昭和の「目利き」と令和の「データ活用」、この両輪を回せる現場力が求められているのです。

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