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叩解機用軸封部材の漏れが起こす操業トラブル

目次
はじめに:製造現場で多発する「叩解機用軸封部材」の漏れ問題
製紙産業やリサイクル工場を中心に広く活用されている叩解機は、原料を繊維状に解きほぐす重要な設備です。
その心臓部ともいえる「軸封部材(シャフトシール)」は、長年現場で働く者にとっては悩みの種であり続けています。
設備の高経年化や過酷な運転条件、そして時代遅れのアナログ体質が、何度手を打っても「漏れ」を繰り返す実態に拍車をかけています。
本稿では、元工場長・専門技術者として、叩解機用軸封部材の漏れが引き起こす具体的な操業トラブルや、現場ならではの“暗黙知的”な対策、そして業界のアナログ体質が背景に潜む理由に迫ります。
購買・調達担当者だけでなく、バイヤーを目指す方や、サプライヤー側として強く現場を理解したい方にも役立つ内容を目指します。
叩解機の軸封部材とは?
概要と役割
叩解機の軸封部材は、回転軸と外部を密閉するための部品です。
代表的なものには、パッキン、メカニカルシール(メカシール)、グランドパッキンなどがあり、主に「液漏れ」や「固形物の混入」を防ぐために設けられています。
また、パルプ製造現場では高濃度の繊維やスラリーが常に流れ、摩耗や化学腐食も激しいため、軸封部材には“耐久性+シール性”の両立が強く求められます。
なぜ「漏れ」が発生するのか?
なぜ多くの現場で軸封部からの漏れが絶えないのでしょうか。
主な原因は以下のとおりです。
– 回転軸の擦動によるシール面の摩耗
– 外部からの異物・スラリーの固着
– 軸の曲がりや振れによる密閉不良
– シール材の劣化(パッキンの硬化やひび割れなど)
– 過度の締付や無理な調整による部材損傷
– 経済優先によるグレード低下(安価な非純正部品の投入)
一見メンテナンスでどうにかなりそうに思えますが、「毎日、何台も短納期で直す」ことが常態となっており、根本原因の究明や抜本的な対策を後回しにしがちです。
漏れがもたらす製造現場の深刻なトラブル
軸封部材の漏れは、単なる「汚れ」や「給油の手間」にとどまりません。
その影響は現場全体の操業に直結します。
製品品質の劣化
漏れた液体や微粒子が原料や製品に混入します。
本来管理すべき水分量や繊維濃度がズレて、歩留まりの悪化、製品の均一性低下、最悪の場合は出荷停止などの重大なトラブルへと発展します。
機械トラブルの連鎖
漏れた液体がモーターや軸受けに流れ込み、二次故障を誘発します。
現場では「シールの漏れが巡り巡ってプレス機の破損にまで至った」という経験も珍しくありません。
計画外の緊急停止が多発すれば、生産計画が大幅に狂い、納期遅延やコスト増の原因となります。
作業環境・安全リスク
漏れた液体が床を濡らし、滑りやすい環境を生みます。
転倒事故や感電リスクが高まり、労働安全衛生上の大きな問題です。
さらに多湿・高温のため臭気やカビが発生しやすく、職場環境の悪化にもつながります。
本質的な利益の機会損失
本来であれば品質向上や設備改善、IoT自動化推進などに充てられるべきコストやマンパワーが、「漏れの対応」や「応急修理」に流れていきます。
人材不足が深刻化する中、技術的蓄積や成長が阻害されるのです。
トラブル対策の現場的本音:昭和式“応急処置”の限界
「とりあえず」の刷毛塗り・パテ止め・増し締め
昭和の製造業現場では、「ひとまず止める」ためにパッキンやパテ、ウエスで増し締め、グルーガンによる応急処置が半ば常識でした。
誰もが手軽に実践でき、コストも早期回収できますが、「再発」「症状悪化」「メンテナンス効率低下」の温床にもなっています。
これらは、現場力の高さが裏目に出てしまう典型例です。
なぜ抜本対策できないのか
– 交換に時間・コストがかかる
– 設備メーカーの対応遅れやパーツ供給遅延
– 「動くうちはなんとかなる」との現場心理
– 現場力頼りでノウハウ“属人化”
– 購買部門と設備現場の連携不足(調達・保守の分断)
本来は定期交換や長期視点の調達計画が重要ですが、実情は「その場しのぎ」への依存が根強く、問題の先送りになっています。
バイヤー・調達担当視点での施策と、今求められる「ラテラルシンキング」
「価格交渉」だけでは解決しない時代に突入
従来、バイヤー・調達に求められてきた主な役割は「コスト削減」でした。
しかし、高経年の設備・複雑化する現場要件・人手不足の時代には、調達戦略にも「現場の声を聴く」「長期利用視点」といった新しい切り口が必要です。
現場×調達×サプライヤーの三位一体で臨むシール部材対策
– サプライヤーとの連携強化——単なる値下げ交渉ではなく、不具合発生時の応急措置キット化や現場ヒアリングを重視。
– 定期メンテナンスの仕組み化——現場独自のノウハウ(誰がどのタイミングで修理しているか等)をデジタルで可視化。
– 標準部品仕様の段階的見直し——安易な汎用品依存から、高耐久・現場仕様カスタマイズへのシフト。
「同じことの繰り返し」から脱却し、「そもそもなぜ漏れるのか?」という根本原因をラテラルシンキング(水平思考)で深掘りする。それがバイヤーや調達職の“新たなあり方”となるでしょう。
具体的・実践的な改善策(現場知×ラテラル視点)
現場の温度感・振動データの“見える化”
最近では、IoTセンサーで軸封近傍の温度・振動を常時モニタリングし、「漏れ予兆」を定量的に把握する動きも増えています。
– 振動値を超えたらアラート通知
– 温度異常時は即点検・給油・交換指示
こうした仕組みは、従来「カンと経験」に頼ってきた保守作業の属人化を是正し、「未然防止」に大きく貢献します。
純正部品利用+高機能材料への投資
コストダウンを優先してノンブランド部品に切り替えるケースが多いですが、より摩耗に強い高機能パッキンや新型メカニカルシールの検討が今後必須となります。
初期コストは上がりますが、ダウンタイム削減や総合的なランニングコストの低減につながります。
“分かる人”の視点を全員が共有する仕組み
アナログ業界は現場熟練者の長年のノウハウ(暗黙知)が強い。
その知見を動画・写真・データベース化し「全員の知恵」として蓄積・継承することで、急速な世代交代や人手不足にも柔軟に対応できます。
業界アナログ体質からの脱却──現場から提案する「新しい叩解機の未来」
軸封部の漏れは、アナログ体質や場当たり主義が残る製造業現場の氷山の一角です。
現場の“都度対応力”はすばらしい反面、潜在損失や成長機会の損失は多大です。
工場のIoT化、デジタルトランスフォーメーションにおける最初の一歩が「軸封部材の漏れ対策」であり、それこそが“昭和式現場主義”からの進化であると確信します。
バイヤー・購買担当も「コスト一辺倒」から脱却し、現場とサプライヤーとのWin-Winな未来を共に描くことが、変革のカギとなるでしょう。
まとめ:叩解機用軸封漏れ──今こそ「変化」の絶好機
叩解機用軸封部材の漏れ問題は、製造業が「現場頼み」から「データと知恵の融合」に転じる絶好の機会です。
– なぜ漏れるのか?現場の本音で課題を掘り下げる
– 一時しのぎの応急処置から抜本的な改善へ
– バイヤー・サプライヤー・現場が一体となった“共創”の視点
こうしたラテラルな発想こそが、日本の製造業の新しい地平を拓く鍵となります。
現場の悩みと本質的な解決策を記事にまとめましたので、ぜひ皆様の現場・調達活動の一助となれば幸いです。
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