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レインウェアの縫い目防水を実現するシームテープ加工の技術

目次
レインウェアの防水性とシームテープ加工の重要性
レインウェアは、優れた防水機能が求められる製品です。
一般的に防水性というと生地そのものの性能に注目しがちですが、実際には縫い目部分の防水、すなわち“シームシーリング”の技術が最終的な品質を決定づけます。
製造現場において、この「縫い目防水」の信頼性を担保するシームテープ加工は、ごく当たり前の工程でありながら、まだまだ属人化やアナログなやり方が根強く残る分野です。
しかし、ここに着目し高度な技術や管理を適用することが、製品差別化やクレーム低減、さらには工場の自動化推進にも大きく寄与します。
本記事では、現場目線に徹してシームテープ加工の最新技術や課題、その改善・自動化の先端トレンド、そしてグローバルバイヤーやサプライヤーが持つべき現代の視点まで解説します。
シームテープとは何か? ー 現場での捉え方と基本知識
シームテープは主に熱可塑性樹脂で構成されたテープで、防水加工した生地の縫い目など水の侵入経路となりうる部分に貼り付けられます。
強い水圧や屈曲、摩擦にも耐えうる耐久性が必要であり、高温で圧着されることから素材とテープ、加工機械すべての適合が求められます。
この技術は70年代のゴアテックス開発とともに普及し、以来アウトドアウェア、スポーツウェア、そして作業服・医療用ガウンまで幅広く活用されてきました。
現場では「シームテープ工程は手間がかかる」「職人の感覚頼みで管理が属人化しやすい」という声も多く、品質の安定化とコスト低減の両立がテーマとなっています。
現場での課題:アナログ体質の壁
意外と見落とされがちなのが、シームテープ加工の「温度と加圧」の管理です。
これを間違えると、テープが剥がれる、浮く、波を打つなど、致命的な不具合が発生します。
多くの工場では今なお温度計やダイヤル式の圧力装置、作業員の経験に頼っているケースが多く、生産ロットによる品質ムラや歩留まり悪化の要因となっています。
シームテープ加工の技術革新と自動化の未来
最新のシームシーリングマシンと自動制御
近年ではデジタル温度・圧力制御を搭載した高精度シームシーリングマシンが現れています。
マシン自体が加熱ヘッドの温度・速度・加圧を自動で最適化するほか、作業履歴や異常検知データの記録も可能となり、IoT化と連携した「トレーサビリティ」が実現しています。
また、複雑な縫製パターンにも対応可能なロボットアーム型の自動圧着機の導入も、いくつかの先進的な縫製工場で事例が増えています。
これらの設備は初期投資こそ高いものの、長期的な品質安定や人員不足・熟練工の高齢化対策に直結します。
歩留まり向上と品質データ活用
自動化された現場では、加圧・加熱パラメータのレシピ化や異常発生時のフィードバック、さらには完成品の吸水検査や引張試験データと連携することで、従来の「勘と経験」から「データドリブン」な品質改善へと大きく舵を切っています。
この変化により、「後から不良」「市場流出によるクレーム」という、経営インパクトの大きいリスクを最小限に抑えこむことができるのです。
サステナブル素材や多層構造への対応
さらに近年、環境配慮型の熱可塑性ウレタンやバイオ素材シームテープの使用、極薄多層構造生地への対応も進んでいます。
これにより、「軽量・高耐久」「環境対応型」レインウェアという新たな付加価値が生まれつつあります。
バイヤー目線で知るべき「シームテープ加工」のチェックポイント
調達バイヤーや設計部門が生産委託先を選定する際、「生地スペック」「シーム性能」「加工体制」を総合的に見極める目が重要です。
実際の評価基準
・どの加工機を使い、どこまで自動化・データ化されているか
・加工温度・圧力管理方法と履歴、作業員教育レベル
・実製品での耐水圧・曲げ試験・経年劣化に関する検証体制
・異常発生時のフィードバックループ体制(不良低減・再発防止策)
・シームテープの環境配慮やリサイクル対応の有無
これらは単なる“現地監査”としてだけでなく、アフターサービスやODM/OEMパートナーとしての「信頼度」にも直結します。
サプライヤーや下請け側の戦略視点
一方サプライヤー側は、こうした“求められる性能や管理基準”を先回りし、標準化データの提示や生産工程の見える化、テスト片の無償送付など能動的な提案がポイントです。
伝統的な「人任せ・出来高頼み」から「品質で選ばれるサプライヤー」へ進化するためには、シームテープ工程こそ攻めの技術営業が有効です。
レインウェア縫製現場の昭和体質脱却に向けて
現場でよく見られる“アナログな壁”の実態として、以下の課題が挙げられます。
・旧式マシンや手作業の併用が続いている
・マニュアルが形骸化し、作業員の経験頼み
・「生地」と「テープ」の組合せ変更時の試験体制不足
・トラブル時の「原因不明」→対応が後追い
これらは一長一短ですが、バイヤーの「海外品質」とのギャップ解消、若手作業者の離職防止にも関わります。
既存現場でできることは十分にあります。
すぐに実践できる現場改善アイデア
1. マシン管理パラメータのログ化と標準値の掲示
2. シーム加工ごとの「失敗」「成功」事例の写真と分析掲示
3. 新素材・新テープ導入時の小ロット検証ライン設置
4. 熱源部・圧着部の点検頻度を1.5倍にUP
5. 漏水試験と引っ張り試験の全記録データ化
こうした地味で手間な“やり直し”こそ、実は再発防止や教育負担の削減につながります。
また、ベテラン作業者の知見をデータベース化し、標準マニュアルに落とし込む仕組みも有効です。
おわりに:製造業全体の“未来の布石”として
レインウェア、つまり防水縫製分野のひとつであるシームテープ加工は、単なる「地味な現場技術」ではありません。
今後は自動車や宇宙、災害用ウェア、医療等の新たな分野にも展開し、「異分野からの相乗り」「技術の横展開」がますます進むでしょう。
製造業の未来は、“勘と経験”と“データ主導”の両立にあります。
レインウェアの縫い目防水、その進化のプロセスにこそ、昭和から令和への製造業“進化論”が詰まっているのです。
工場の現場からバイヤー目線、サプライヤーが知るべきポイントまで、知見を持ち寄り「共創」することが、日本のものづくり全体の地平線を切り開く鍵であると断言します。
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