投稿日:2025年12月28日

バタフライバルブ部材のシート摩耗が漏れを起こす原因

はじめに

バタフライバルブは、配管ラインの流体制御において欠かせない存在です。
工場の自動化が進んでも、多くの設備で現役として活躍し続けています。
その中で、最も多いトラブルの一つが「漏れ」です。
多くの現場担当者やバイヤーにとって、「なぜバタフライバルブの漏れが起きるのか」「どんな点に注意すれば安定稼働が維持できるのか」は、永遠のテーマとも言えます。

この記事では、20年以上製造業の現場で蓄積してきたノウハウをもとに、バタフライバルブの「シート摩耗」による漏れの根本原因や対策について、実践的な視点から詳しく解説します。
また、部材選定や現場管理、サプライヤーとの付き合い方におけるポイントもご紹介します。

バタフライバルブの基礎知識

バタフライバルブは、弁体(ディスク)が流れを遮断や調整する構造で、配管に直列設置して使用されます。
コンパクトで安価なことから、用途を問わず多くのラインで使われています。

バタフライバルブの密閉性は、弁体が「シート」と呼ばれる部材へ圧着されることで確保されます。
このシートこそが漏れの発生・未然防止のカギを握っているのです。

シート部材の役割と材質の選択

シートはバタフライバルブの「心臓部」とも言えます。
弁体とシートの密着により、配管内の流体が外部に漏れることを防いでいます。

主なシート材質としては、以下のものがあります。

– EPDM(エチレンプロピレンゴム):耐薬品性や耐熱性に優れています
– NBR(ニトリルゴム):耐油性に優れています
– PTFE(テフロン):腐食液や高温に対応できます
– メタルシート:耐摩耗性や耐熱性重視の場合

配管する液体やガス、温度、圧力といった使用条件により、適切なシート素材を選ぶ必要があります。

シート摩耗が発生するメカニズム

では、なぜシートが摩耗し、最終的に漏れが発生するのでしょうか。

1. 弁操作による摩耗

バタフライバルブは流量調整や遮断のたびに開閉を繰り返します。
その度に弁体がシートと擦れあいます。
この「繰り返しの擦過運動」が、経年で少しずつシートをすり減らしていきます。
特に工場の自動運転ラインでは、人的管理時代に比べて操作回数が増加し、摩耗の進行が速まっている現場も多くなっています。

2. 流体による侵食・劣化

シート材がどれほど高品質でも、流れる液体やガスによる侵食は免れません。
酸性やアルカリ性の液体、油分を含むもの、高温流体などは、ゴムや樹脂を少しずつ化学的に分解・膨潤させ、物理的な強度や弾性を低下させます。
結果として、弁体とシートの接触面に僅かな隙間が生じ、漏れへとつながります。

3. 配管系の圧力変動・振動

現場では予測できない圧力ショックや、モーター・ポンプ由来の振動が発生することも珍しくありません。
これらがシートと弁体の「密着」をわずかに緩める要因となり、擦れや変形を加速させます。

4. 異物混入・固形物の影響

管理が行き届いた工場でも、配管や流体経路にサビやスケール、固形物混入は避けがたい問題です。
これらがバタフライバルブ内部に進入し、シートと弁体の間に挟まると、局所的に極端な摩耗や欠損が生じることがあります。

5. シートと弁体の相性

同じ材質でも、弁体側の仕上げ精度や表面状態が十分でない場合、摩耗性が高まります。
新規品導入時や部品交換時の「初期なじみ」でトラブルが多発するのは、オーダーミスや適合不十分に起因する場合が多いのです。

漏れの兆候と現場での対応

シート摩耗が進むと、はじめは微細な漏れ(シール漏れ)が発生します。
現場でこの兆候を見逃さないことが、重大なトラブル予防への第一歩です。

初期兆候の見極めポイント

– バルブ周辺が湿潤、結露している
– 弁体切替時に微小な液体にじみを確認
– 配管分岐手前の圧力が異常低下
– 通常時より操作トルクが増す、もしくは軽くなり過ぎている

これらの状態を定期巡回やIoT監視で早めにキャッチし、原因特定とシート交換の判断に役立てましょう。

バタフライバルブ導入・調達時に気をつけること

バイヤーや調達担当者にとって、バルブの「価格」や「納期」だけにとらわれがちなのは否めません。
しかし、現場目線でのトラブル低減には、以下の点を必ず押さえておくべきです。

正確な仕様ヒアリングと伝達

バタフライバルブ購入時は、使用流体・温度・圧力・頻度・設置環境(屋内外、腐食雰囲気の有無)を明確に。
これをサプライヤーに正確に伝達しないと、本来適合しない材質・構造のバルブが納品されてしまいます。
バイヤー自身が現場へ入り、「なぜこの材質が必要か」を理解したうえで調達することが事故防止につながります。

サプライヤーとの連携の重要性

シートやバタフライバルブ本体の「品質」は、単にカタログスペックだけで語れるものではありません。
信頼できるサプライヤーとの間で、継続的な意見交換や納入後のフィードバック提案を積み重ねることが、本当のコストダウンにつながります。
特にリピート発注時や新規立ち上げ時は、現場の課題を共有し、改善提案を求める姿勢が重要です。

アナログな現場特有の課題

昭和時代から続くアナログな現場では、「この型番を何十年も使っているから大丈夫」という思考が根強く残っています。
しかし、配管フッティングの仕様変更や、流体の原材料変更、工場自体の老朽化など、時代とともに使用条件が変化していきます。
現場目線で本当に現行バルブ・シートが最適かを常に見直すことが、漏れ事故、手戻り工事、ロス生産のリスクを減らす王道です。

長寿命化・対策事例

最後に、現場ですぐにでも実施できる「漏れ防止・長寿命化」対策をいくつか紹介します。

定期点検・予防保全の習慣化

バタフライバルブのシートは「消耗品」だと割り切って、定期点検や計画的な部品交換を推進しましょう。
工場として「シートの標準使用回数や時間」を基準化し、予防的な交換サイクルを導入することで、不意の漏れリスクをぐっと軽減できます。

バルブメーカー推奨の清掃・注油

弁体とシートの摺動部分に、メーカー指定のグリースを施すだけでも摩耗進行が目に見えて遅くなります。
また、配管洗浄や異物除去も怠らないようにしましょう。

シートの二重化・特殊材質化

特に摩耗が激しいラインや、シビアな流体環境では「二重シート」仕様や「メタル・シート」混成タイプのバルブ導入が有効です。
投資は増えますが、全体最適の視点で故障率・ダウンタイムの節減へ大きく寄与します。

まとめ

バタフライバルブのシート摩耗は、現場の声に耳を傾けてこそ見抜きやすい課題です。
「たかが漏れ」と侮ると、重大事故や生産停止、品質クレームの温床ともなりかねません。
バイヤー・サプライヤーともに、「現場と一体となった部材選び・保全戦略」が、令和の製造業に求められるスタンダードです。

現場で働く皆さん、そしてこれからバイヤーを志す皆さんには、単なる部品調達を越え「漏れの根本メカニズム」に目を向け、現場の安心と価値創出に貢献していただきたいと思います。

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