投稿日:2025年9月8日

オリジナル商品としてのペットウェアOEM成功の秘訣

はじめに

ペットブームが続く中、ペットウェア市場も右肩上がりで成長を続けています。

ファッション性だけでなく、機能性や安全性も重視されるようになった今、オリジナル商品としてのペットウェアOEM(相手先ブランドによる製造)への注目が高まっています。

この記事では、製造業の現場経験を活かし、OEMでペットウェアを成功させるための戦略や現場ならではの知見、業界の裏事情まで含めて徹底解説します。

ペットウェアOEM市場の現状と課題

拡大するペット市場とOEM需要

ペットウェアは小型犬の増加とともに市場が拡大しています。

加えて、ECサイトの普及で小ロット対応や企画提案型OEMの需要も増加しています。

一方、いまだに多くの中小メーカーが昭和的なアナログ受発注のままで、企画・生産管理・品質保証の各業務が縦割りになっているケースが目立ちます。

このギャップがビジネスチャンスであると同時に、進化を阻む壁にもなっています。

業界構造とOEMの立ち位置

ペットウェア業界は、商社・卸・メーカー・工場といった伝統的なピラミッド構造が根強く残っています。

OEMビジネスは、このピラミッドの“川中”~“川下”をつなぐ役割を担います。

しかし、アパレルと異なり製造側と販売側の分業体制が確立しづらく、職人的意識と現場裁量に依存する傾向も強いです。

これがシステム化やサプライチェーン強化の大きな障壁にもなっています。

ペットウェアOEMで成功するための基本戦略

1. 明確なブランドビジョンを持つ

OEMでオリジナル商品をつくるには、単なる商品供給の枠を超えて、ブランドの世界観やターゲット顧客層を明確にする必要があります。

コンセプトワークをしっかり練っておけば、OEMパートナーにも一貫性あるものづくりを依頼できます。

「どこにでもある商品」に埋没しない独自性や顧客への価値訴求こそが、長期的成功には不可欠です。

2. 川上から川下まで一気通貫した商品開発

OEM発注では、企画→サンプル作成→量産→品質保証と工程ごとに担当が分かれるケースが多いです。

ですが現場目線では、初期段階からフィードバックが受けられる体制が圧倒的に有利です。

発注量や生地在庫の都合も踏まえて、工場とのコストバランス・工程管理を最初から擦り合わせると失敗リスクが減らせます。

アナログ業界では特に「言った・言わない」「聞いていない」トラブルが多いため、定例MTGや共有クラウドの活用は有効です。

3. 小ロット&多品種対応力の差別化

近年はペットウェアもトレンドサイクルが短くなっています。

小ロット・多品種への柔軟な対応力を持つ工場をOEM先に選ぶことが大切です。

縫製・プリント・装飾など各工程ごとに得意な工場を“アッセンブリー”できるサプライヤーが理想です。

また、アナログながらも試作や変更に柔軟に応じてくれる現場ネットワークをもつことも他社との差別化に繋がります。

実践的な“現場目線”のものづくりノウハウ

1. 素材選定から洗濯表示までの徹底管理

ペットウェアでは人間の衣類以上に「耐久性」「安全性」「伸縮性」など多様な性能が求められます。

しかし、アパレル業界以上に表示ラベルや素材ロット管理が曖昧な現場も少なくありません。

現場の声からは「洗濯回数や犬種ごとの着用頻度」「ペットによる誤飲リスク」まで考慮された設計が求められます。

これらの情報を調達購買段階からOEMパートナーと共有し、明確なスペック基準を設けることが、品質事故防止につながります。

2. 国内生産と海外生産の最適バランス

コスト競争力強化のため多くのOEMは海外生産を検討しますが、ペットウェア分野では小ロット・高付加価値案件や品質厳守案件は国内生産が依然重要です。

特に初回ロット、不良率管理、EC向け短納期対応では国内工場の信頼性が生きます。

大量ロットやシンプルな既製デザインは海外提携工場に振り分ける、といった“二刀流”戦略が現場ベースで有効です。

3. 品質管理とトレーサビリティの徹底

ペットウェアOEMでクレームにつながりやすいのは「サイズ違い」「色落ち」「縫製不良」です。

現場では、検品基準を明文化しデータ化、各工程の“誰が・いつ・何をしたか”をトレースできる仕組みが重要です。

近年はRFIDタグやクラウド帳票連携など、昭和の“伝票&電話管理”からの脱却が進んでいます。

ハンディ端末やスマホを活用した「現場DX」を積極活用しクレーム率低減に結びつけることも肝要です。

業界の現状と今求められるバイヤー・サプライヤー像

業界のデジタル化とスピード重視の時代

従来のペット関連メーカーは長年の人脈や慣習で発注先選定・商品収集を行ってきました。

しかし、今後は競合との差別化やロス削減のためにも、サプライチェーン全体の「見える化」が必須となります。

バイヤーには「単なる価格交渉」だけではなく、「現場でのPDCA力」「情報活用能力」が強く求められます。

バイヤー・サプライヤーのあるべき連携

これからのバイヤーは、単に工場に注文を出して終わりの“御用聞き”ではなく、現場に深く入り込んで商品開発をリードする「プロデューサー型」にならなくてはなりません。

現場には「できません」「対応できません」から始まる職人文化が染みついていますが、バイヤーは「なぜ必要なのか」「こうしたい理由は何か」を伝えて納得してもらうことが肝です。

サプライヤーの立場でも「バイヤーが本当に目指す商品価値(顧客満足)とは何か」を能動的に探り、逆提案を出せる関係性が理想です。

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ペットウェア分野で私が培った成功事例と失敗事例

成功事例:現場巻き込み式サンプル開発

生地選定から各部仕様検討まで、最初から現場担当者をブリーフィングに巻き込みました。

彼らの「縫いずらい・加工しにくい・リードフックが邪魔」などリアルな声を吸い上げることで、設計修正→クレームゼロの商品化に成功。

現場が最初からプロジェクトに関わることで工場側もコミット感が強くなり、品質・納期共に大幅改善しました。

失敗事例:現場との“曖昧な発注”による仕様違い

メールだけで漠然と「このデザインで」と依頼したところ、現場解釈や伝言が食い違い、完成品の色や部材、サイズが想定と異なってしまった経験があります。

アナログ業界特有の「現場解釈バラバラ問題」は、必ず現物サンプルや仕様書をベースに、直接対話&画像で細部まで確認することで防ぐべきです。

さいごに:これからのペットウェアOEMの展望

ペットウェアOEMは、単なる外注ビジネスではなく、B2B2Cであることを意識した“体験づくり”の舞台です。

ユーザー(ペットオーナー)のライフスタイルや価値観の多様化に製造現場がどれだけ追随できるかが、今後のサバイバルを分けます。

アナログ業界ゆえに“泥臭く”“チームで汗をかく”やり方と、“デジタル管理やものづくりDX”を両立することが、令和時代の勝ち残り戦略といえるでしょう。

バイヤーもサプライヤーも、「現場の声を訊く」「情報を共有する」「失敗を恐れず挑戦する」姿勢が大切です。

私の経験が、みなさまのOEMビジネスやキャリア形成のヒントになれば幸いです。

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