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国内ファブレス活用でピーク時の外注バッファを確保し単価上昇を抑える

目次
はじめに:国内ファブレス活用の必要性
製造業の現場では、受注の波による生産変動にどう対応するかが大きな課題となっています。
特にピーク時に自社工場だけでは生産能力が追いつかない場合、外注先の確保がカギを握ります。
しかし、近年は外注単価が上昇傾向にあり、想定よりもコスト高になる事例が増えています。
本記事では、国内ファブレス企業の活用によって、ピーク時にも十分な外注バッファを確保し、単価上昇を抑えるための現場実践知と、業界トレンドも織り交ぜて解説します。
また、従来のアナログな発想に留まらず、新たな地平線を開拓する「ラテラルシンキング」の視点からも深掘りしていきます。
国内ファブレス活用の現状と課題
外注依存が高まる背景
多品種少量生産や短納期対応、需要変動の大きい現代では、自社工場の生産能力だけで全ての対応をするのは難しくなっています。
景気や市場の波によって、発注量は大きく変動します。
この変動に柔軟に対応できる生産体制を構築するため、外注先への依存率は年々高まっています。
しかし、コロナ禍や人手不足により、外注先自体も受注制限や単価引き上げに動いています。
特にファブレスのような純粋な生産専門会社では、人手の確保が困難で、納期遅延や品質低下も懸念材料となっています。
ファブレスとは何か、そのメリット
ファブレスとは、自社で工場を持たずに生産のみを外部委託するビジネスモデルのことを指します。
設計開発や販売は自社が行い、製造部分を国内外の外注工場に依頼するスタイルです。
このビジネスモデルは、初期投資の削減、変動生産対応力の強化、最新の生産設備・技術の利用など、多くのメリットがあります。
国内でファブレス企業を利用することは、納期の短縮、柔軟なカスタマイズ、言語や文化的障壁の低減など、大きなアドバンテージにつながります。
外注単価上昇の実態
近年、原材料の高騰や人件費の上昇、SDGsやカーボンニュートラル対応の追加コストが、外注単価の上昇を促しています。
さらに問題なのは、ピーク時には外注先が「選ぶ側」となるため、条件の良い依頼(価格や納期)が優先され、安易に単価交渉が通らなくなった点です。
長年の取引があるサプライヤーでも、需給バランスの変化で急激な値上げや優先順位の低下が発生することもしばしばです。
ピーク時のバッファ確保の基本戦略
「日頃の関係構築」が外注バッファの最重要ポイント
製造現場では、「外注先は要望を言えば動いてくれるもの」と安易に考えがちです。
しかし、実際には各ファブレス企業も限られたリソースをどこに振り向けるか日々苦慮しています。
ピークで急な外注を依頼する際、日常的に良好な関係が築けているか否かが、優先順位を大きく左右します。
単に価格や納期だけで交渉するのではなく、平時から「定期的な情報共有」「現場見学」「技術交流」「サプライヤーの声に耳を傾ける場の設置」など、人間関係を丁寧に構築しておくことが大切です。
これが、緊急時に迅速なバッファ確保へ直結します。
現場の“とっさの一手”では遅い
多くの現場では、受注が急増した際「さあ外注先にお願いしよう」と動きます。
しかし、競合他社も似たような動きをしているため、すでに遅れを取っていることも少なくありません。
事前に需給予測を立て、ある程度平時から小ロット発注を継続するなど、外注先にとって「このバイヤーはありがたい」と思われる存在になっておくことが鍵です。
この関係性が、突発的な依頼でも優先度を上げる“隠れた担保”になります。
単価上昇を抑えるためのラテラルシンキング
アナログ発想からの脱却
多くの製造業現場では、「外注先=調整できるコスト」と考えがちです。
しかし、供給側もリソースが限られ、昨今では“バイヤー主導”ではなく“サプライヤー主導”に移りつつあります。
「今までのやり方」や「昭和的な値切り交渉」では、単価上昇に太刀打ちできなくなってきました。
価格一本槍の交渉ではなく、win-win関係を意識した“共創型パートナーシップ”への発想転換が必要です。
進化した原価開示とQCD提案力
従来は「安く作れるなら単価を下げろ」という要求がまかり通りました。
現在は外注先側からも、材料相場や工程ごとの原価を開示し、合理的な価格提示が求められるようになっています。
バイヤー側は、「なぜこの価格なのか」「どこを改善すべきか」を技術的視点も交えてディスカッションし、双方の製造プロセスや仕様を見直す姿勢が重要です。
例えば、部品点数や組立工数の削減などQCD(品質・コスト・納期)最適化に一緒に取り組むことで、安易な値下げ要求よりも総合的なコストダウン効果が生まれます。
バッファ余力を「複数社分散」で確保
一社に全てを任せると、いざという時の生産能力に限界が生まれます。
ラテラルシンキング的には、「バッファは分散してこそ真価を発揮する」と考えます。
複数の国内ファブレス企業との関係を維持し、お互いが競争しつつも協調する枠組みを作れば、リスク分散になり、単価上昇の抑制にも役立ちます。
また、メーカー側も「工程ごと」「部品ごと」などで外注先を使い分ける柔軟性を持つことで、どこか一つが逼迫しても他でカバーできる体制が整います。
これからのバイヤー・サプライヤー関係の鍵
サプライチェーンの透明化と協業
従来の外注管理では、発注先との「壁」を意図的に作ることで情報が閉じがちでした。
これからはサプライヤーと情報共有を密にし、お互いの強みを活かし合う「共創関係」にシフトすることが、単価上昇抑制とバッファ確保の最大要因になります。
ERPやMES(製造実行システム)などITも駆使し、需給情報をリアルタイムで共有。デジタルツールが普及しつつある今、アナログ的ヒューマンネットワークとデジタル管理を掛け合わせて、さらに強い繋がりを構築しましょう。
サプライヤー視点:バイヤーの“次の一手”を見抜く
サプライヤー側にとっても、バイヤーが何を考え、どこを重視しているかを知ることは大きな武器です。
価格だけでなく、「バッファ余力」「工程優位性」「特殊技術力」といった自社の付加価値をどうアピールするかが、今後の競争力に直結します。
また、受け身で単に「注文を待つ」のではなく、バイヤーへの生産改善提案や、繁閑波を意識した自社生産調整の主体的な提案も必要です。
これがバイヤーから「頼られるパートナー」として一目置かれる近道となります。
事例紹介:ファブレス活用で単価上昇を抑えた現場改善
ある精密機械メーカーでは、旺盛な需要期に国内ファブレス4社と平時から小ロットで分散発注していました。
毎月の情報交換会や現場見学会、工程トレーニングなどを自主的に開催し、単なる発注元・外注先の関係を超えて「共創型パートナーシップ」を育成。
結果的にピーク対応時も優先的に生産能力を確保でき、他社が20%以上の単価上昇を受けた時期でも、5%未満の上昇幅に抑えることができました。
また、サプライヤー側も「平時の小ロット受注が繁閑調整のバッファとなり、経営が安定」と高く評価し、長期的な信頼関係を築いています。
まとめ:現場目線で考えるファブレス活用の極意
国内ファブレス活用によるピーク時の外注バッファ確保と単価上昇抑制は、単なるコスト交渉や場当たり的な発注対応だけでは実現できません。
日々の地道な関係構築、工程や品質に踏み込んだQCD改善協業。
また、デジタルとアナログを融合した“現代型ネットワーク”によってのみ可能となります。
バイヤー側は「選ばれる発注先」となれるよう、サプライヤー目線も意識した戦略構築が不可欠です。
サプライヤー側も、「頼られる生産パートナー」として自社強みを自覚し、提案型・協調型へと進化させる姿勢が今後ますます重要になります。
業界動向をしっかりと見据えつつ、時代に即した柔軟なラテラルシンキングで、競争力あるサプライチェーンを共に築いていきましょう。
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