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研究・開発テーマの選定および評価・運用のポイントと効果的な製品開発の進め方

目次
はじめに:製造業が直面する開発課題と本記事の位置づけ
製造業では、常に市場環境や顧客ニーズが目まぐるしく変化しています。
そのような状況下で企業の競争力を維持・向上させるためには、継続的な研究・開発(R&D)が重要なカギとなります。
しかし、特に伝統的なアナログ志向が強い現場では、「何を」「どのように」開発すべきか、そのテーマ選定から評価・運用までが属人的になりがちです。
この記事では、業界の現実を踏まえた上で、研究・開発テーマの選定から運用・評価まで、実践的かつ効果的な進め方をご紹介します。
これからバイヤーを目指す方、調達・購買に関わる方、サプライヤーとしてバイヤーの思考を知りたい方にも役立つ視点を提供します。
研究・開発テーマ選定の本質とは何か
なぜテーマ選定が重要なのか
製品開発のスタート地点は、「何を開発するか」というテーマ決定です。
この段階を見誤ると、市場から期待されないものを作ったり、リソースが浪費されるリスクが高まります。
特に昭和型の現場では、上層部や現場の声に振り回されたり、前例踏襲のテーマが横行しがちです。
しかし、テーマ選定こそがその後の開発全体を左右する「羅針盤」なのです。
現場でよく見られる失敗パターン
– 社内の都合や技術者の得意分野だけが優先される
– 昔からの「売れ筋」に固執し市場志向を見失う
– 目新しい技術テーマばかりを追いかけ収益貢献まで至らない
こうした失敗を防ぐには、「顧客価値」と「市場性」、「自社の強み」の3点バランスが肝要です。
ラテラルシンキングでテーマを再発見する
一歩抽象度を上げて、「顧客の課題」や「これまで見落としてきたプロセス」「サプライチェーンの痛点」などに目を向けることが、ブレークスルーのテーマ発見につながります。
たとえば、生産管理の現場で見過ごされていた「部品入荷の遅れ」に着目し、AIを使ったサプライチェーン予知管理システムの企画に結びつけた事例もあります。
部門を横断した着眼や、異業種とのコラボからもヒントが生まれやすくなります。
テーマ選定のための評価・絞り込みフレームワーク
評価項目の設定方法
テーマ候補が集まった段階で、何を軸に評価・絞り込むかが次のステップです。
現場目線では、以下の観点を重視することをおすすめします。
– 市場性(市場規模・成長性・参入障壁)
– 顧客ニーズの実在性・優先度
– 競合優位性(他社との差別ポイント)
– 自社アセットの活用度(設備・技術・人材)
– 投資インパクト(必要リソースと効果/リターン)
– リスクと対策の明確度
点数評価やマトリクスによる可視化も効果的です。
関係者の「思い込み」や「担当者バイアス」が入らないよう、クロスレビューを実施すると健全な議論が促進されます。
技術力orビジネス力、どちらが重要か
開発部門では技術的インパクトばかりが重視されがちですが、実際に成果を上げ続ける組織ほど、「事業・市場性」との両立を徹底しています。
業界の垣根を横断したアプローチや、現場ニーズへの本質的な解答となるテーマこそが、強い成長につながります。
研究・開発テーマの運用・マネジメントに不可欠な要素
運用フェーズで生じる典型的な課題
選定したテーマをいざ運用に移す際、現場ではさまざまな壁が現れます。
– 効率重視か革新追求かのジレンマ
– 計画と現実のギャップ(リードタイム・コスト・品質など)
– 属人化による“ブラックボックス化”
– 予算や人材不足
このような課題をクリアしなければ、せっかくのテーマ選定も“絵に描いた餅”となりがちです。
効果的なテーマ運用のためのチェックリスト
1. KGI/KPIの明確化
2. 現場との双方向コミュニケーション(現場の声をフィードバック)
3. 定期評価・見直しサイクルの確立(PDCAとラテラルシンキングの組み合わせ)
4. クロスファンクショナルなチーム運営
5. “失敗”を次につなげる仕組み(ナレッジ共有、再現性の担保)
特に、工場現場と企画・開発部門が「対話」をしながらボトルネックを共有すること、既存の常識にとらわれない柔軟な発想の導入が重要です。
アナログ業界こそ求められる「開発文化」の醸成
なぜ製造業はアナログから脱却できないのか
実際に現場では「昔ながらの手法」が今も根強く残っています。
これは「前例主義」「失敗への恐れ」「縦割り組織文化」などが影響しており、テーマ選定や評価・運用にも強いバイアスをかけています。
現場が変わるために必要な価値観
– 失敗を恐れず挑戦できる心理的安全性
– 顧客起点(Customer Centric)な思考
– 現場×IT(アナログとデジタルの融合)
– 丸投げではなく“現場巻き込み”型の運用
バイヤーやサプライヤーも含め、「どこかで誰かが何とかする」という姿勢から、全員参加型のR&D文化を育てることが今後ますます大切になります。
これからの製品開発を加速するためのヒント
現場バイヤー・サプライヤーだからこそできること
– 調達・購買部門はサプライチェーン全体の情報ハブとして、現場のニーズや市場動向を先取りし、研究・開発テーマ提案にも積極的にコミットする
– サプライヤーは「御用聞き」にとどまらず、顧客の潜在課題や改善提案にも踏み込むことで、テーマ作成に関する共創パートナーとなる
バイヤー・サプライヤーが顧客価値の提供者であり、新たな開発動向の提示役にもなれるよう視点転換を図るべきです。
工場自動化・デジタル化の波をとらえる
近年、工場の自動化やIoT、AI、ビッグデータ活用は、テーマ抽出の宝庫となっています。
「技術」よりも先に「現場の困りごと」を棚卸し、その中に埋もれた“新価値”や効率化の芽を発見できれば、大きな競争優位となるでしょう。
まとめ:未来志向のR&Dマネジメントを目指して
製造業の研究・開発テーマの選定から運用・評価に至るまでのプロセスは、一朝一夕で最適化できるものではありません。
しかし、現場のリアルな課題やアナログ的な強み・弱みを正面から捉え直し、ラテラルシンキングを交えることで、従来にない飛躍的な可能性が開かれます。
バイヤーやサプライヤー、調達購買、生産管理、品質管理など多様な立場のプレーヤーが、自らも価値創造の一翼を担うという意識を持つこと。
それが「自社にしかできない」製品開発を実現する大きな第一歩になります。
自分自身の現場体験やネットワーク、最新動向を融合させて、ぜひ“脱・昭和”型の研究・開発活動を推進していきましょう。
製造業の未来は、今この瞬間からのテーマ選定・評価・運用の質にかかっています。
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