投稿日:2024年8月16日

ステッピングモーター(Stepping Motor)の選定と製造業での利用方法

ステッピングモーター(Stepping Motor)とは

ステッピングモーターは、電気信号を機械的な運動に変換する装置であり、高精度な位置決めが可能なため、製造業やロボット工学などで幅広く利用されています。
電気信号に応じて一定の角度で回転するため、位置決め制御が高精度に行えるのが特徴です。
これにより、複雑な機械の制御や精密な動作が必要な場合に非常に有効です。

ステッピングモーターの仕組み

ステッピングモーターは、ステータとローターという二つの主要部品から構成されます。
ステータは固定されている部分であり、ローターは回転する部分です。
ステータには電磁コイルが設置されており、これに電流を流すことで磁場が生成され、ローターが特定の位置に引き寄せられます。
この一連の動作を細かく制御することで、高精度な位置決めが可能になります。

また、ステッピングモーターには、大きく分けて二つのモードがあります。
一つはフルステップモードで、もう一つはハーフステップモードです。
フルステップモードでは、ステータの各コイルに電流を順次供給することで確実に一定角度ずつ回転します。
一方、ハーフステップモードでは、フルステップモードの半分の角度で回転するため、より細かい位置決めが可能です。

フルステップモードとは

フルステップモードでは、ステータの各コイルに順次電流を供給してローターを回転させます。一回のフルステップあたり60度や90度回転するものが一般的です。
このモードの特徴は、制御が比較的シンプルであるため、システム設計が容易である点です。
ただし、回転のスムーズさや精度は限られることがあります。

ハーフステップモードとは

ハーフステップモードは、フルステップモードの半分の角度で回転動作を行います。
これにより、より高精度な位置決めが可能です。
また、回転のスムーズさも向上します。
そのため、多くの製造装置や精密機器においてこのモードが採用されています。

ステッピングモーターの選定方法

ステッピングモーターを選定する際には、以下のポイントに注意する必要があります。

1. トルク

トルクは、モーターが発生する力であり、機械の動作を決定する重要な要素です。
荷重や動作速度に応じた適切なトルクを持つモーターを選定することが必要です。
トルクが不足すると、動作が不安定になる可能性があります。

2. ステップ角

ステップ角は一回のステッピングで回転する角度を意味し、通常は0.9度、1.8度などが一般的です。
高精度な位置決めが要求される場合は、より小さいステップ角のモーターを選定する必要があります。

3. 動作頻度と速度

動作頻度や速度もモーター選定の重要な指標です。
頻繁に動作し、高速で回転する必要がある場合には、それに対応したモーターを選定する必要があります。
モーターの耐久性も考慮に入れることが重要です。

4. ドライブ回路

ステッピングモーターを駆動するためには、専用のドライブ回路が必要です。
この回路もモーターと一緒に選定する必要があり、適切な回路を選ぶことでモーターの性能を最大限に引き出すことができます。

製造業におけるステッピングモーターの利用方法

ステッピングモーターは製造業のさまざまな分野で利用されています。代表的な利用方法について以下に紹介します。

1. 産業ロボット

産業ロボットでは、精密な動作や複雑な動作が求められるため、ステッピングモーターが広く利用されています。
高精度位置決めが可能なため、部品の組立や搬送、検査などの作業において不可欠な存在です。

2. 数値制御装置(CNC機械)

CNC機械では、金属やプラスチックなどの素材を精密に加工するために、ステッピングモーターが利用されています。
高精度な位置決めが可能なため、複雑な形状の加工が可能になります。

3. 3Dプリンター

3Dプリンターでは、材料を層ごとに積み上げて立体物を生成します。
このため、ステッピングモーターによる高精度な位置決めが求められます。
X軸、Y軸、Z軸それぞれの動作が正確に制御されることで、高品質な印刷が可能になります。

4. 自動検査装置

自動検査装置では、製品の寸法や形状を精密に測定し、品質を確認するためにステッピングモーターが利用されています。
特に高精度が要求される検査作業において、ステッピングモーターの性能が発揮されます。

5. 自動巻線機

自動巻線機では、電線やケーブルを一定の張力で巻く作業が行われます。
巻きの速度や張力を正確に制御するためにステッピングモーターが利用されます。
これにより、均一な品質の製品が生産可能です。

最新の技術動向

ステッピングモーター技術は常に進化しており、最新の技術動向についても知っておくことが重要です。

1. マイクロステッピング技術

マイクロステッピング技術は、ステップ間をさらに細かく分割することで、より高精度な位置決めを実現する技術です。
これにより、モーターの回転が非常に滑らかになり、振動や騒音が減少します。
精密な動作が要求されるアプリケーションにおいて非常に有効です。

2. 高トルク・低振動モーター

新しい素材や設計技術により、高トルクかつ低振動のステッピングモーターが開発されています。
これにより、従来のモーターでは達成できなかった高速かつ高精度な動作が可能になっています。

3. インテリジェントドライブ技術

インテリジェントドライブ技術は、モーターの動作状態をリアルタイムで監視し、最適な制御を行う技術です。
温度や負荷などの情報を基に動作を自動で調整し、故障を未然に防ぐことができます。
これにより、システムの信頼性が向上し、長寿命化が実現します。

まとめ

ステッピングモーターはその高精度な位置決め能力から、製造業の多くの分野で重要な役割を果たしています。
モーターの選定にはトルク、ステップ角、動作頻度と速度、ドライブ回路などの複数の要素を考慮する必要があります。
また、最新の技術動向を把握することで、さらなる効率化と高精度な動作が可能になります。
製造業の現場でステッピングモーターを効果的に利用することで、製品の品質向上や生産性の向上が期待できます。

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