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全国営業の成果を可視化するためのKPI設定と営業分析の実務

目次
はじめに:製造業の営業現場とKPIの重要性
製造業における営業活動は、単なる受注獲得だけではありません。
市場ニーズの把握から自社技術とのマッチング、そして生産工程を意識した商談設計まで、複雑なプロセスが絡み合っています。
このような中で、全国規模の営業組織をマネジメントしていくには、活動自体を「見える化」することが極めて重要です。
そのための指標となるのがKPI(重要業績評価指標)です。
KPI の設定は単なる数字管理ではありません。
営業戦略の方向性、現場の実態把握、そしてPDCA運用を支える羅針盤です。
昭和の高度成長期から続く「根性・人脈頼み」の営業スタイルから脱却し、データドリブンな営業現場に変革していくための第一歩となります。
本記事では、現場のリアルな課題や慣習を踏まえつつ、製造業営業のKPI設定から、その成果を最大化する営業分析の具体策まで解説します。
営業職を目指す方、サプライヤーの方にも「バイヤーは何を考えているのか?」という理解が深まる内容です。
KPIとは何か?なぜ製造業営業に不可欠なのか
KPIとは「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」の略称で、目標達成までの過程を数値化して可視化するものです。
営業におけるKPIとしては「受注件数」「売上高」「新規訪問件数」などが一般的ですが、製造業の場合、下記のような業界特有の事情があります。
複雑な営業サイクルとKPIの設計
製造業の営業は「設計提案⇒サンプル納入⇒テスト⇒正式受注⇒量産移行」と、プロセスごとに担当者も変わりやすく、一件あたりのリードタイムも長くなりがちです。
このため「月次売上」だけを追っても、全体の動きが見えません。
現実的なKPI設計としては、営業プロセスごとに細分化した「案件進捗KPI」が不可欠になります。
昭和的営業文化と「見える化」
日本の製造業営業は、得意先との「昔からの付き合い」や「阿吽の呼吸」に頼った部分が根強く残っています。
しかし、脱・属人化、業務の標準化を進めるには「誰が・いつ・何をやったか」が一目でわかるKPI設計が求められます。
実践的なKPI項目の設定例
製造業特有のプロセスを踏まえ、どのようなKPIが営業成果の「見える化」に有効か、具体例を解説します。
1. 新規引き合い・商談案件数
見込み案件の新規発生数を定点観測しておくことで、営業活動のフロントの強さを数値化できます。
売上急減時や案件不足の原因分析にも役立ちます。
2. サンプル・試作依頼件数(および商談転換率)
製造業営業では「カタログだけでは購買決定にならない」ケースが多く、サンプル納入からの試作実績が商談成立の鍵になります。
サンプル依頼件数、試作後の商談化率などをKPI化し、ボトルネック特定に活用します。
3. 案件進捗別パイプライン件数
「見積提出済」「テスト中」「承認待ち」といった営業パイプラインごとに件数管理し、営業活動のどこに渋滞が生じているかをリアルに把握します。
4. 主要顧客別の訪問/コンタクト頻度
特に既存顧客への深堀営業、定期的なコンタクトも数字で管理することで、フォロー漏れや関係性悪化を防止します。
5. 受注率・リードタイム短縮度合い
「どれだけ受注まで至ったか」だけでなく、「どれだけ早く次工程に進めるか」にもフォーカスし、生産・納期部門への影響も可視化します。
6. 顧客クレーム・納期遅延件数
クレーム・トラブル件数もKPIに組み込むことで、品質やサービス課題への営業現場からのアプローチがしやすくなります。
営業KPIを活用した営業分析・成果向上の実務
KPIを設定するだけでは意味がありません。
現場で本当に活かすためには、定期的な分析とアクションが不可欠です。
1. KPI結果の定期レビューと課題抽出
各営業担当者・拠点ごとに月次でKPIを一覧化し、進捗を可視化します。
良い数値だけを褒めるのではなく、ギャップや未達部分の要因にも注目します。
「案件数は多いが受注率が低い」「新規は取れるが既存顧客から離脱されている」など、現場目線で原因追及できるのがKPI管理の最大の強みです。
2. ダッシュボード・BIツールの活用
ExcelやBIツールを活用し、KPIをグラフ・チャートで可視化することで、「勘と経験」に頼らない透明な営業マネジメントが可能となります。
工場長やマネージャー職も、現場のリアルな動きを即座に把握しやすくなります。
3. PDCAサイクルへの組み込み
KPIの変化を踏まえ、営業戦術の見直し→アクション→再評価というPDCAサイクルをより高速&具体的に回せます。
現場で成果が上がっている手法は水平展開し、改善が必要な個所には適切なサポートを投入します。
営業KPI導入時のよくある課題・失敗例
KPI導入は万能薬ではないので、現場では様々な壁が立ちはだかります。
1. 「数値目標ありき」になり行動が硬直化
KPI達成だけが目的化すると、顧客本位の提案活動や信頼構築がおろそかになる場合があります。
数値と現場感覚、そのバランスを常に意識しましょう。
2. 業務負荷・現場の抵抗感
「営業日報で手一杯」「現場を知らない管理部門の数字遊び」など、KPI集計が現場に負担・不満となることも。
現場工夫を尊重し、できるだけ入力を簡素化すること、数字の意味合いまで丁寧に説明することが必要です。
3. KPIのメンテナンスが追いつかない
製品構成や市場戦略の変化に合わせ、KPI指標そのものも定期的に見直すことを習慣化しましょう。
形骸化した指標は現場のやる気を奪います。
アナログ現場でも「データ営業」で成果を出すためのコツ
昭和以来のアナログな現場でも、いきなり完璧なKPIマネジメントは無理です。
それでも「できるところから」一歩進めれば、現場の見える化は確実に進みます。
1. KPIは少数から始める(最初は2〜3項目でもOK)
2. 紙やホワイトボードで構わないので「毎週の見える化」を続ける
3. 褒める場面ではKPI活用、失敗時には指導よりも支援姿勢を持つ
4. 現場ならではの気付き・工夫はKPI管理に積極的に取り入れる
ポイントは、数字だけでは見えない「温度感」や「現場の背景」を常にセットで分析することです。
バイヤー目線・サプライヤー目線でKPIを見る〜相手が見ている「成果」とは
バイヤーが製造業の営業活動を見る際、単なる価格や納期だけでなく、「どれだけ柔軟に対応できるか」「どこまで品質管理できるか」を重視しています。
営業としては、提案プロセスや納品・品質対応といったKPIも成果指標として説明できるようにしておくと信頼獲得につながります。
サプライヤー側も同様に、自己評価・実績を数値で管理しておくことで、バイヤーに対して「データで語れるパートナー」としての印象を与えやすくなります。
KPIの活用は、川上・川下の両者にとって“共通言語”となるのです。
まとめ:実践的KPIで営業の新しい地平を切り拓く
製造業において営業KPIを「見える化」し、現場で本気で活用できる体制を作ることは、昭和型のアナログ営業からの大きな脱皮となります。
データに裏付けられた営業分析を通じて、戦略の練り直しや現場改革をより具体的・高速に推進できます。
これまでの「慣例」「勘」と新しい「データ」「KPI」を組み合わせて、多面的に営業を強化することが、製造業の持続的成長には欠かせません。
これからバイヤーや営業職を目指す方、サプライヤーの立場を強化したい方も、ぜひ自社・自部門の“見える化”第一歩にチャレンジしてください。
そして、現場こそが営業改革の主役であることを忘れずに、ともにより良い製造業の未来を築いていきましょう。
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