- お役立ち記事
- 配達ルートを地図アプリで共有し紙ルート表を廃止する小改善
配達ルートを地図アプリで共有し紙ルート表を廃止する小改善

目次
配達ルートを地図アプリで共有し紙ルート表を廃止する小改善とは
製造業の現場では、どうしても「昭和型」のアナログ業務が根強く残っています。
中でも、配達や物流の現場では、今も紙ベースのルート表が使われていることが少なくありません。
パートや契約社員など、ベテラン以外のスタッフが増える中で、「いつまでも紙のルート表でやり繰りできるはずがない」と現場から声が上がっている企業も多いのではないでしょうか。
この記事では、配達ルートを地図アプリで共有するという「小さな改善」が、実は現場目線で見るとどれほど大きな変革であるか、そして、それがどんな未来を切り開くのかにフォーカスします。
なぜ今でも紙ルート表が無くならないのか
現場には「紙」が根付いている
「その方が慣れているから」「誰でも見れば分かるから」といった理由で、配達ルートの案内表や顧客リストは紙で管理されてきました。
特に中小企業や、歴史のある会社ほど「紙」が安心材料として根付いています。
緊急時にネットワークに繋がらなくても、紙があればルート確認ができるというのも大きな理由です。
属人化・ノウハウのブラックボックス化
古くからいる社員が「頭で覚えている」「俺がやっているから大丈夫」という発想も、「紙ルート」文化が残る背景です。
この属人化は、働き方改革や人材活用を推進する流れとは逆行していますが、実は現場ではまだまだ多い現象です。
紙ルート表の“落とし穴”とは
ヒューマンエラーのリスク
製造業において、ヒューマンエラーは常にコストアップ・信頼低下のリスク要因です。
紙ルート表は手書き情報や修正による勘違い、取り違え、抜け落ちといったミスの温床となりがちです。
近年はパートタイマーや短期スタッフも増え、紙の情報の伝わりにくさが大きな障壁となっています。
業務の無駄・非効率の温床
紙ルート表を印刷する手間、更新・回収の手間、保管コストなども無視できません。
突発的なルート変更への柔軟な対応が遅れる要因にもなります。
加えて、現場担当が休暇や退職で抜けた場合、突然対応できなくなり、「あの人しか分からない仕事」としてリスクが顕在化します。
地図アプリの活用がもたらす“地殻変動”
情報のリアルタイム共有で属人化を打破
GoogleマップやYahoo!カーナビなどの地図アプリを活用すれば、配達・物流のルート情報をスタッフ全員で一元共有できます。
スマートフォンやタブレット端末から、誰でも最新のルート情報にアクセスが可能になります。
これにより、突然のシフト変更や緊急対応にも、未経験のスタッフでも柔軟に対応できます。
エラーゼロ・手戻りゼロへの道
例えば、Googleマイマップ機能を使えば、配送先をピン止めし、順番付けやコメントも追加できます。
アプリ上での修正はその場で即反映され、最新情報を全員が共有できます。
紙ベースで起こりがちな「見落とし」「書き間違い」「配達順ミス」が劇的に減り、手戻りや二度手間がなくなります。
現場のカイゼン文化にもフィット
筆者も工場長時代、改善提案の9割は「まずは小さな業務効率化」から始まりました。
地図アプリの活用は目立たない小改善ですが、現場での「分かりやすい」「やりやすい」という声が上がりやすく、日々の仕事が一気に合理化されます。
“紙から地図アプリ”が実現する5つのメリット
1. 生産性の向上
ルート伝達、確認、修正、再配布というフローを根底から簡素化できます。
配達ルートを「地図上で見える化」すれば、現場スタッフの生産性が見違えるほど上がります。
2. ナレッジ共有の自動化
これまで紙や口伝で属人化していたノウハウも、地図アプリ上で自動的にナレッジ共有が進みます。
新らしい配達担当でも、過去のルートや注意事項まで一目でわかるようになります。
3. 誰でも「見れば分かる」本当の標準化
ITリテラシーが高くないスタッフでも、アプリを開くだけで共通の情報が得られます。
これにより、「ベテランでなくても対応できる環境」が整い、現場の働きやすさと離職防止にも繋がります。
4. コスト削減・紙や手間の低減
紙の印刷コスト、保管・回収コストがなくなり、オフィスの「紙ゴミ」も劇的に減ります。
修正や再配布の手間がゼロになることで、緊急事態にも俊敏に対応可能です。
5. DX(デジタルトランスフォーメーション)への第一歩
「紙ルート表廃止」という小さな改善が、現場とITの距離を劇的に縮めます。
従業員の意識改革や、「次はどんな改善ができるだろう?」という前向きな雰囲気づくりへの第一歩になるのです。
アナログ業界にも受け入れられるポイント
“現場発”の導入が成功の鍵
トップダウンのIT導入は、「現場がついていけない」「使いこなせない」事例が多発します。
地図アプリの共有は、あくまで“現場の日常業務の延長”としてスタートでき、現場主導のカイゼンがしやすい特長があります。
コストと手間がかからない「小改善」だから実現しやすい
既存スマホを活用し、基本的には無料版アプリでも十分運用可能です。
大きなシステム投資やITベンダーとのやり取りといった工数をかけずに、現場ですぐに始められます。
「紙ルート表完全廃止」ではなく“併用スタート”が現実的
いきなり全てをペーパーレスにせず、最初は紙との併用からスタートするのも手です。
現場の抵抗感が和らぎ、スムーズに浸透します。
慣れてきた段階で、段階的にペーパーレス比率を上げていくのが現実的なアプローチです。
導入時の具体的な進め方
1. まずは一部エリア・限定チームで“お試し”導入
主要スタッフを巻き込んで、スマートフォンに地図アプリをインストールしてもらい、標準ルートを登録します。
マイマップや共有リンクを使い、情報の更新・追加を体験してもらいます。
2. 週次、月次で現場の声を吸い上げて改善
「使い勝手」「困った点」「追加して欲しい情報」など、現場からリアルタイムにフィードバックを受けます。
アプリの選定や運用ルールも現場主導でカスタマイズできます。
3. ステップを分けて“紙併用→ペーパーレス”を実現
最初の1ヶ月は紙ルートも併用し、徐々にアプリ運用へと移行。
問題なければ紙ベースのルート表を段階的に廃止していきます。
4. 説明会や操作研修もシンプルに短時間で
技術に自信がないスタッフへの操作説明会やQAも必須です。
マニュアルは「見開き1枚」レベルの簡単なものから始め、操作に自信がつく仕組みを整えましょう。
未来を切り開く「小さな一歩」の力
筆者自身、長年製造現場に携わる中で見てきたのは、一見小さな改善が現場を“根っこ”から変革するという事実です。
「紙ルート表の廃止」は決して派手なDXではありません。
しかし、現場目線で本当に仕事を楽にし、働く人のストレスやミスを減らす最も直接的なカイゼンです。
こうした実践と積み重ねが、最終的には「人材の多様化」や現場の「デジタル化」を推進し、ひいては製造業の持続的な成長に繋がっていきます。
まとめ
この記事では、配達ルート表を「紙から地図アプリへ」とシフトする小改善の現場効果、導入メリット、進め方をご紹介しました。
製造業の最前線で働く方々、バイヤーを目指す方、サプライヤーとしてバイヤーの現場目線を理解したい方にとって、「誰でも使えるIT小改善」は今後の必須スキルです。
まずは身近な現場で“できる小さな改革”から一歩を踏み出し、製造業に新しい風を吹き込みましょう。
必ずや、貴社の現場やキャリア発展のヒントになるはずです。
資料ダウンロード
QCD管理受発注クラウド「newji」は、受発注部門で必要なQCD管理全てを備えた、現場特化型兼クラウド型の今世紀最高の受発注管理システムとなります。
NEWJI DX
製造業に特化したデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指す請負開発型のコンサルティングサービスです。AI、iPaaS、および先端の技術を駆使して、製造プロセスの効率化、業務効率化、チームワーク強化、コスト削減、品質向上を実現します。このサービスは、製造業の課題を深く理解し、それに対する最適なデジタルソリューションを提供することで、企業が持続的な成長とイノベーションを達成できるようサポートします。
製造業ニュース解説
製造業、主に購買・調達部門にお勤めの方々に向けた情報を配信しております。
新任の方やベテランの方、管理職を対象とした幅広いコンテンツをご用意しております。
お問い合わせ
コストダウンが利益に直結する術だと理解していても、なかなか前に進めることができない状況。そんな時は、newjiのコストダウン自動化機能で大きく利益貢献しよう!
(β版非公開)